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| 会社(事業)の譲渡を考えたり、売り手としてM&Aに関心を持たれる理由・経緯は、企業・経営者によって様々です。後継者難、業績不振、資本力強化、経営者としての自信喪失、別事業を展開したい…等々ですが、理由がなんであれ、こういうデリケートな問題と直面せざるを得なくなった経営者の方の精神的負担は、さぞかし重いものがあると思います。誰にも相談できず、どう決断したらよいかわからず、1人悶々と悩んでいる方は非常に多いのではないでしょうか。 実は、私どもの事業においても、M&Aに具体的に踏み出そうという決意をきちんと固めた上で相談に来られる方はきわめて少数です。多くの方は、M&Aを選択肢として考えつつも、様々な不安や迷いを抱え、恐る恐るといった感じでご相談に来られます。それはなぜかと言えば、やはりM&Aについて色々わからない部分が多いからではないでしょうか。具体的に踏み出すにも、その先はどうなっているのかがイメージできないから、躊躇してしまうのではないでしょうか。 そこで、ここではまず、売り手としてご相談に来られる皆様からよく聞かれる質問をいくつか取り上げ、平易にご説明したいと思います。それによって、少しでも皆様の疑問の解決、不安の解消につながれば幸いです。譲渡希望の企業から一番質問を受けるのは、大きく言って、次の3つです。 |
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| では、順に追って一緒に考えていきましょう。 |
| これは、規模が比較的小さい企業の経営者から、特によく聞かれます。「うちは年商1億円しかありませんが…」「うちは従業員わずか10人の会社ですが…」といった感じです。どうやらこの質問の背景には、「うちみたいな小さい会社は、売れるわけないのでは」といった悲観的な思い込みもあるようです。 結論から言いますと、一概に「こういう会社なら売れる、売れない」と言い切ることはできません。規模・財務内容等で一定の基準があるわけでもありません。一般に、会社の規模が大きいと可能性が高いと思われがちで、そういう傾向が全くないとは言えませんが、かなり大きい会社でも売れないことはもちろんありますし、逆にかなり零細な企業が成約することもあります。 M&Aとは、会社同士の「お見合い・結婚」のようなものです。1人だけでは結婚できませんから、相手との「いい縁」があるかどうかも重要な要素になります。縁と同時に「運」も必要かもしれません。「運」がよければ「良縁」に巡り会え、話がスムーズに進んでいく…という部分があるのです。M&Aには、そういう面があることも理解しておいて下さい。自社とマッチする相手がうまく現れるかは、実際にやってみなければわからないことであり、だからこそ、その会社の内容・現状だけで、売れるかどうか簡単には判断できないのです。 しかし、これではなんだか煙に巻かれたみたいと思われるかもしれません。「こういう会社は売れやすい」という明確な基準を示すのは難しいのですが、逆に「こういう会社は一般的に売れにくい」というものはあります。参考までに、それをいくつか列挙してみます。 |
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| ここでは個々の項目については詳説しませんが、要するに「買い手から見て魅力に乏しい会社、リスクが高い会社は売れにくい」ということが言えます。これを裏返せば、自社の魅力・特長・ウリとなる部分がある会社は、売れる可能性があるということです。 振り返って、一度自分の会社を冷静に見つめ直してみて下さい。うちはここがウリだ、魅力だと言えるような部分はあるでしょうか?そして、自社のいい部分・悪い部分をトータルで見たら、どちらの方が勝(まさ)っているでしょうか? |
| この問いは、M&Aの「企業評価」に密接に関連する話です。これだけで本1冊分くらいのテーマとなりますから、詳しく知りたい方は大商発刊の「M&Aハンドブック」の第10章「企業評価」をお読みいただきたいと思いますが、ここでは簡単に考え方を示すことにします。 中小企業のM&Aの企業評価では、「時価純資産」がベースとなることが一般的です。簿価純資産は、決算書の「資本の部」の合計金額(自己資本合計)のことです。これを時価に置き換えたものが時価純資産ですが、とりあえず、資産全体のうち時価で見たら変動しそうなもの(不動産、有価証券など)を時価に置き換えて時価総資産を計算し、そこから負債合計を引いたら、アバウトではありますが「時価純資産」が出ると考えてもらって結構です。 たとえば、年商3億円、簿価純資産(自己資本合計)5千万円の企業で、幸いにして不動産の含み益が2千万円あったとすれば、時価純資産は7千万円となります。これが売却金額の1つの目安となります。「売却金額は、年商と比例するのですか?」と聞かれることもありますが、基本的には関係ないことがおわかり頂けるかと思います。あとは営業権(のれん代)の評価の問題もありますが、ここでは割愛させて頂きます。 実際のM&Aで金額の交渉・決定には他の要因も絡んできますから、これだけですべてが決まるわけではもちろんありませんが、基本的な考え方の1つとして参考にして頂けるかと思います。「うちはどれくらいになりそうだろうか?」と気になる方は、一度、自社の決算書をもとに、時価純資産を計算されてみてはいかがでしょうか。 |
| これもまた「うちは売れるのか?」と同じで、やってみなければわからない部分が多いものです。自社とニーズや条件が合致する「いい相手」と短期間で巡り合えれば、比較的スピーディーに成約までたどりつけますし、いくら探してもなかなか良縁がなければ、結構長い期間がかかることもあります。この「相手探し」にどれくらい時間がかかるかに よって、成約までの期間は大きく変動します。 よって、この質問に対する答は、「スピーディーに進めば約半年ですが、通常は1年前後、場合によってはもっとかかることもあります」というのが偽らざるところです。平均的に言って、やはり1年くらいはかかることが多いとご認識下さい。 これは、M&Aの実務において買い手候補に打診する際、候補企業が5社あるとしたら、通常は5社一斉に打診するのではなく、1社1社順番に、可能性が高そうな候補先から打診していくやり方を取るのが多いということも関係しています。まずA社に打診し、A社が2週間検討した結果、見送りになった。その後、B社に打診し、B社は大企業なので結論が出るのに時間がかかり、1ヶ月以上経って見送りになった。その後、C社に打診し…という繰り返しを行うのが一般的であり、それゆえ、どうしても相手先の探索には、ある程度の期間が必要となってしまうのです。また、有望な相手先が見つかったあとも、交渉を詰めていって成約するのに2〜3ヶ月はかかります。交渉が難航すれば、さらに延びることは言うまでもありません。 今述べたようなことから、たとえば「あと2〜3ヶ月以内に絶対成約しないと困る」という状況になってからの相談は、対応が相当に困難となります。M&A成約の可能性を高めるためにも、時間的にある程度余裕を持った状態で、早めに着手することをお勧めいたします。 |
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