わが国では近年、「M&A(企業の合併・買収、資本提携など)」が注目を集めています。事業承継対策としてだけでなく、既存事業の拡大や新分野進出、ベンチャー企業の出口戦略としてもM&Aは有用であり、大企業のみならず、中小企業においても積極的に活用されてきています。
しかしながら、M&Aというと「難しくてよくわからない」「中小企業でも本当にメリットや可能性があるのか」という印象・疑問をお持ちの方がまだまだ多いのも事実です。その結果、M&Aについてよく知らなかったために、そのメリットを享受しそびれている中小企業もかなり多いのではないでしょうか。
そこで、大商メールマガジンでは、主に中小企業の方を対象とした、「中小企業のためのM&A講座」を今回1月9日号から連載します。M&A全般にわたる基礎知識と、大商が実施しているM&A支援事業について、初心者でもわかりやすいよう平易に解説していきますので、どうぞご期待下さい。 |
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注1:本講座は平成14年1月〜7月にかけて連載したものです。
注2:本講座は平成16年2月に小冊子化されました。ご希望の方は事務局までお問い合わせ下さい。 |
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| 第1回「あいさつ」 |
はじめまして!経済部でM&A事業の担当をしている上谷(うえたに)と申します。今週から18回(予定)にわたり、M&A(企業の合併・買収、資本提携等)についての連載を執筆させていただきます。
この連載は、中小企業の皆さん、特に経営者や幹部社員の方々に「M&A」についてもっと知ってもらい、身近に感じてもらうことが主眼です。そして、必要な時に、M&Aという手法を有効に使えるようになっていただければと願っております。M&Aに全くなじみのない人でもご理解いただけるよう、なるべく平易に、わかりやすく書くつもりですので、どうぞよろしくお付き合い下さい。
今日は初回ということで、ご挨拶も兼ねて簡単に自己紹介を。私は昭和42年生まれの34才。大阪商工会議所のプロパー職員で、勤続満10年で初めてもらえるリフレッシュ休暇を今年取得しました。要するに11年目ですね。
M&A事業の担当なんて一見小難しいことをしてるので、経済学部や法学部の出身?と思われたりするのですが、実は大学では心理学を専攻していました。「全然関係ないやん」と言われそうですが、それが実は関係ないようで微妙にあるんです。それはまた機会があれば、触れることにいたしましょう。
私が最初にM&A業務の担当となったのは平成8年ですから、もうかれこれ5年以上M&A業務に携わっていることになります。平成11年9月〜13年3月まではM&A専門会社に出向し、まさに現場で中小企業のM&A実務を経験しました。
私も担当となった当初は、M&Aの「え」の字も知らなかったわけですが、今は実務全般に関しても基礎的なことは理解しているつもりです。
ということで、初回のごあいさつはこの辺にいたしまして、次回からが本番です。まずは、中小企業とM&Aの関係について。「M&Aなんて、大手だけの話で、中小企業には関係あらへん」と思っている方、それはちがいます。では、どうちがうのか。それは次号で。 |
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| 第2回「中小企業とM&A(1)」 |
こんにちは!経済部の上谷です。
M&Aの連載2回目の今日は、中小企業とM&A(企業の合併・買収、資本提携等)の関係について。
近年、後継者難に悩む中小企業が非常に増えています。跡継ぎとなる息子さんや親族がいない、あるいはいても他の会社に勤めていて継ぐ意志がない。特に最近は後者のケースが多いんじゃないでしょうか。では、こういう時、どうしたらよいか。
実は選択肢はそんなに多くありません。株式公開する、番頭さん(No.2)に継がせる、廃業・清算する、そして他社に会社を譲渡する。この4つくらいしかないんですね、方法としては。
まず株式公開ですが、これは相当の規模や利益がないと難しいですから、実現可能性としてはきわめて低い。じゃ、番頭さんに継がせよう。彼なら経営能力も意欲もある。身内で後継者がいないのなら、彼が最適だ――これでうまく行けばよいのですが、実は意外とこれもハードルが高いのです。なぜか?1つには、経営者としての経験が全くない人物に対し、取引先や金融機関からの信用・信頼が得られるかどうか。2つには、彼に現社長が保有する株を買い取るお金があるかどうか、です。もちろんこの2点をクリアできる場合もあるでしょうが、これらがネックになって番頭さんへの継承を断念せざるを得ないことはままあるのです。
そうすると、残る選択肢は2つですが、廃業・清算は取引先に迷惑をかけますし、従業員も解雇しないといけない。この厳しい時代に、自分に長年ついてきてくれた社員を失職させるのは、社長としても身を切られるように辛いにちがいありません。それゆえ、廃業・清算はできる限り避けたいと考えるのが普通でしょう。となると、残る選択肢は、他社に会社を譲渡する、すなわち「M&A」なのです。
実際のところ、中小企業の社長が会社の譲渡を考える理由として、一番多いのは後継者難でしょう。ただ、非常に残念なことに、後継者難に悩む中小企業の社長の中で、M&Aという選択肢を知らない方がまだまだたくさんいます。M&Aでうまく譲渡先が見つかり、成約すれば、こんなにハッピーになれる話はないんですが。(どうハッピーかは、「M&Aのメリット」の時にご説明します)
ということで、今回は、後継者難の中小企業とM&Aは大いに関係があるということをお話ししました。次回は、後継者難以外のケースを一緒に見てみましょう。 |
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| 第3回「中小企業とM&A(2)」 |
こんにちは!経済部の上谷です。
前回はどうでしたか?本編に入るとどうしても話が堅めになりますが、コーヒーでも飲みながら(私もコーヒー大好きです)、どうか肩の力を抜いて読んで下さいね。
前回は「後継者難の会社とM&Aが大いに関係あり」と書きました。今日はそれ以外のケースです。どんなケースがあるでしょうか?たとえば――
・技術志向で製品開発力はあるが、販売力が弱くて思うように製品が売れない会社
・有望な新事業のアイデアがあり、今すぐにでも乗り出したいのに、必要資金がないがためにチャンスを逃している会社
・業界内の競争が激化して、同族の中小企業のままで生き残っていけるか、不安を感じている会社
・本業だけでは不安なので新分野進出を図りたいが、自社で一から立ち上げるのは時間がかかりすぎると悩んでいる会社
こういう会社って、きっと多いですよね。「あ、うちもそうやわ・・」と思われる方もいるかもしれません。こういう会社はどうしているのでしょうか?自助努力でなんとかすべく日々奮闘している会社も多いでしょう。ですが、日本人の大好きな(?)ガンバリズムだけでは「なんともならない」こともあります。
実はこういう時こそ、M&Aなのです。上に書いた会社の悩み・不安は、すべてM&Aを行うことで解消可能です。自社に足りない部分を外部と連携することで補う、これこそがM&Aの本質の1つです。運転(設備)資金が足りない時には、金融機関から借入をしますよね?M&Aも、基本的にはそれと同じことなのです。
ただ、M&Aは(ニーズの合う)相手あっての話ですから、常に実行可能な万能薬というわけではありません。ですが、M&Aという手段があることにすら気付かない、or知っていても考えようともしない中小企業が圧倒的に多いのも事実です。これはあまりにも、モッタイナイ!中小企業こそ、M&Aをもっと積極的に利用すべきなのです。長年、M&A事業の担当をしていて、本当にそう思います。
御社は、古くさい固定観念に縛られて、自社だけで無理し過ぎていませんか?その観念を解き放し、M&Aを活用すれば、新しい道が開けるかもしれませんよ。 |
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| 第4回「M&Aとは何か(1)」 |
こんにちは!経済部の上谷です。
前回は自分で原稿を書きながら、最後の方は少し熱くなってしまいました。でも寒い時期ですから、熱くなるくらいがちょうどいいかも?
さて、今回からは「M&Aって、具体的にはどういうことでっか?」という疑問にお答えすべく、2回に分けてご説明します。一口にM&Aといっても、様々な形態、やり方がありますが、一般によく用いられるのは「株式譲渡」「合併」「営業譲渡」「新株(増資)引受」の4方法です。まず今回は、前者2つを。
株式譲渡は、売り手企業が既存の発行済株式を譲渡することで、会社の経営権を買い手に譲り渡すものです。資本金1千万円の株式会社で、株主は社長1人の場合、その持ち株全部を買い手に譲渡するようなケースですね。「M&A=売り手の会社は消滅」と誤解している人もいますが、株式譲渡は株主が代わるだけですから、売り手の会社は存続します。要するに、買い手の子会社になるということです。
この方法では、買い手は、売り手の会社ごとそっくり買うという形になります。株式譲渡は、手続きが比較的簡単で、引き継ぎがスムーズにしやすいことから、中小企業のM&Aに際して、最もよく用いられる方法です。
合併は、複数の会社(大抵は2つ)が合体して1つの会社になることです。規模の大きいA社が、小さいB社を吸収するようなケースで、この場合、A社が存続会社となり、B社は会社としては消滅します。これを「吸収合併」と言います。
吸収合併では、吸収されるB社の資産、負債、技術、人材等のすべてをA社が包括的に引き継ぎ、その代わり、消滅するB社の株主には存続会社であるA社の株式が交付(AB両社の1株当たりの価値を算出して、比率を決定)されます。
合併は、規模やシェアの拡大を図る際に用いられやすい方法ですが、手続きがやや煩雑なことや、合併後の社内体制の整備や企業文化の統合などに手間がかかることもあり、中小企業同士の合併はあまり多くありません。
少し難しかったですか?ここはこの字数でこれ以上平易に書くのは難しくて。。。
逆に「この辺はわかっとる」という方は、次週は飛ばして頂いても結構ですよ。 |
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| 第5回「M&Aとは何か(2)」 |
こんにちは!経済部の上谷です。
この連載を読まれた方から、少しずつ問い合わせを頂くようになりました。あり がとうございます!とても励みになりますので、今後も質問や感想などございまし たら、ぜひお願いします。メールも大歓迎です。
さて、今日は「営業譲渡」「新株(増資)引受」について、ご説明します。 営業譲渡は、企業が行っている事業(営業資産)そのものを、買い手に譲渡する 方法です。一部門だけの譲渡も、すべての事業の譲渡も可能です。前回述べた株式 譲渡は、会社という器ごと譲渡しますが、器は残して中身の事業だけを譲渡するの が営業譲渡です。この方法では、買い手は欲しい事業、欲しい部分だけを個別に手 に入れることができるメリットがあるほか、会社ごと引き継ぐ形ではないので、債 務は自動的には継承されません(合意の上で引き継ぐことは可能)。ただ、手続き 面では、株式譲渡に比べてやや煩雑というデメリットはあります。 一方、売り手は、不採算部門や本業と無関係な事業を譲渡することで、事業の再 構築や経営のスリム化を行うことができます。
次に、新株(増資)引受は、売り手企業が新株を発行(増資)し、それを買い手 が引き受け、大株主になることで、実質的な経営権を取得する方法です。株式取得 によるM&Aという点では株式譲渡と同じですが、大きく異なるのは、M&Aの対 価(お金)は既存株主(個人)に入らず、株式払込金として会社に入るという点で す。そのため、この方法は、売り手企業の経営状態がよくない時に、資本力強化や 財務内容の健全化を図るためにもしばしば用いられます。
やや簡潔過ぎるかもしれませんが、まずは大きな違いだけ押さえていただけたら 結構です。次回はいよいよ、M&Aのメリット(売り手)です。お楽しみに! |
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| 第6回「M&Aのメリット(売り手)(1)」 |
こんにちは!経済部の上谷です。
まだまだ寒い日が続きますが、だんだんと日は長くなってきて、春まであと少しという感じですね。日本の景気にも、早く春が来ればよいのですが。。。
さて今回は、M&Aの売り手側のメリットについてです。まず、後継者難の中小企業が譲渡(株式譲渡)するケースを考えてみましょう。その前に、vol.2を思い出して下さい。後継者難の企業の選択肢は意外と少なく、最後まで残ったのは廃業・清算か、M&Aでした。では、この2つを比較すると、どうなるか――
結論から言いますと、以下の理由で“圧倒的に”M&Aの方がメリット大です。
【1】会社が存続し、取引先や従業員などに迷惑をかけないで済む。
【2】会社の経営基盤の強化につながる。
【3】株主の手取額も、廃業・清算よりかなり多くなる。
1は字面の通りです。補足しますと、M&Aで従業員の処遇を不安に思われる方がいますが、実際は雇用・条件ともにそのまま引き継がれるケースがほとんどです。(明らかに人員過剰であるような場合は、もちろん別ですが)
2の理由は、一般的に、大手・中堅企業が買い手となることが多いからです。資本力のある大手企業の傘下に入る(子会社となる)ことで、売り手は親会社の支えを得て経営基盤が強化され、同時に、資金繰りの悩みからも解放されます。
3は、1つには税制の違いがあります。株式譲渡なら26%ですが、廃業・清算はより高率の税がかかります。しかし、実はそれ以外の要因の方が大きいでしょう。「うちは資産が大きいから、清算しても結構な額が残るんちゃうか」とそろばんをはじく経営者もいるかもしれませんが、それはまさに取らぬ狸のなんとやらで、実際に清算するとなれば、簿価通りに売却できず大幅にディスカウントせざるを得なかったり、逆に処分費用が発生したりで、資産は見る見る目減りしてしまうのです。詳細は専門書に譲りますが、税制だけで約2倍、実際の手取額の差はさらに大きく開くでしょう。
「後継者難だが、他社に譲渡するくらいなら清算する」という日本武士的美学もあるでしょうが、社長はそれでよくても、社員や取引先は非常に困ります。たとえ経営主体が変わっても、会社は存続してこそ価値があるのです。まして、M&Aにこれだけのメリットがあるなら、検討しない手はないと思いませんか?
字数が尽きたので予定変更し、次回も引き続き「売り手のメリット」です。 |
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| 第7回「M&Aのメリット(売り手)(2)」 |
こんにちは!経済部の上谷です。
このたび、M&A事業のホームページが大幅にリニューアルいたしました!!内容が充実した上に、雰囲気も一新!我ながらなかなか気に入っています。ぜひ一度ご来訪下さい。HPにてお待ちしています!
さて、今回は売り手のメリット(2)です。会社の譲渡は、ともすれば後ろ向きなものに見られがちですが、業績堅調な中小企業が一段の飛躍、発展を図るために、(あえて)譲渡するケースもあります。
「なんで調子のいい時に、会社を売るねん?」という疑問の声が聞こえてきそうですが、「会社の成長・発展」に何よりも重点を置いて考えた場合、これはきわめて賢明な戦略であり、得られるメリットも大きいのです。
もともと中小企業は、どうしても大企業に比べて「人材・資金・販売力」などが相対的に弱いものです。この弱い部分を補って会社をもっと伸ばしていきたい――このテーマを突き詰めていくと、それを実現する有力な手段の1つとして、M&Aがクローズアップされます。大手企業の傘下に入り、自社の強みは生かしつつ、弱い部分は大手企業に全面的にサポートしてもらう。これで、会社が中期的にさらに成長できる可能性がぐんと高まります。あるいは独自では難しかった新規事業の展開が、M&A後に買い手企業の助力を得て実現させることもできます。
このようにM&Aによって、自分が創り、育てた会社がさらに大きく花開いていくのを見るのは、売り手の社長にとっても大きな喜びであり、メリットと言えるのではないでしょうか。また、こういう目的でM&Aを志向される会社は、買い手が見つかりやすく、互いにきわめてハッピーなM&Aとなる可能性が高いのです。
最後に、会社の譲渡をお考えの方、将来その方向に進む可能性がある方に声を大にして言いたいのですが、決して「会社の譲渡=失敗、恥」ではありません!
会社を譲渡する(できる)ということは、御社に魅力を感じて買いたいと思う相手がいるということであり、むしろ誇りに思うべきことなのです。少なくとも私はそんな魅力的な会社に育てた社長に、敬意を表します。
さて、次回は買い手側のメリットです。お楽しみに! |
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| 第8回「M&Aのメリット(買い手)」 |
こんにちは!M&A担当の上谷です。
3月12日のM&Aセミナーに、広報して1週間ですでに100名以上の申込があり、びっくりするやらうれしいやら。まだ若干の余裕がありますので、ご関心の方はお早めにお問い合わせ下さい!なお、HPからでも申込可能です。
さて、今回は買い手のメリットについてですが、これは当然のことながら、元々の目的や理由によって異なります。なぜM&Aをしたいのか?どのような事業戦略に基づいているのか?どんな分野の、どんな特徴を持つ企業を買収したいのか?ということですね。買い手はまず、これらの点を明確にし、対象を絞り込むことが重要です。ただ漠然と「いい会社があれば欲しい」ということではイケマセン。
こうして明確な事業戦略を立てて、真摯な姿勢でM&Aに臨み、成約すれば、一般的に、以下の2点のメリットを享受できるのではないでしょうか。
【1】機動的に既存事業の拡大、事業の多角化、弱体部門の強化などができる
【2】相対的に投資コストが安く、リスクが少ない
1については、自社で一から「ヒト・モノ・カネ」を投入して、新規事業を立ち上げたり、他地域に進出することと比べると、M&Aでは既存の会社を買うわけですから、大幅に時間を短縮することができ、機動的な事業戦略が可能となります。よく言われることですが、M&Aの最大のメリットは、いわゆる「時間を買う」点にあるといっても過言ではありません。別の言い方をすれば、今や、事業展開に時間をかける(かかる)というのは、それ自体が大きなリスク要因なのです。
2は、M&Aで買収するのと同じ規模の企業や商圏を、すべて自前で整えようとすると、時間ばかりか、はるかに大きなコストがかかってしまいます。M&Aは、初期の投資コストが相対的に安いという点でもメリットがあります。また、既存の会社を買うわけですから、これまでの売上・利益動向から、M&A後の事業展開をある程度正確に推測することができます。これが新規事業ですと、せっかく時間とコストをかけて立ち上げても、うまく軌道に乗る保証はありません。このような点を考えると、M&Aはリスクが少ない戦略と言えるのではないでしょうか。
次回は、大商のM&A事業についてです。「なんや、宣伝か・・・」と言わず、少し我慢して、お付き合い下さいね。 |
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| 第9回「大阪商工会議所のM&A市場」 |
こんにちは!M&A担当の上谷です。
今年もあっという間に3月ですね。ホント早いものです。年度末でお忙しい方も多いでしょうが、仕事の合間にでも、このメルマガは目を通して下さいねー。
さて、今回は大商のM&A支援事業(通称「M&A市場」)をご紹介します。平成9年4月にスタートしたこの事業、簡単に言えば、まず会議所がM&Aに関する各種ご相談を承り、具体ニーズに即してM&A取扱業者(金融機関、専門会社等)への橋渡しをして、その後、業者が具体的なM&A実務(企業評価や相手先探し、交渉上の助言等)を行い、成約に結びつけていくというものです。
このM&A市場の特徴は、ずばり、以下の4点です。
【1】商工会議所の窓口で、随時、気軽にご相談できる
【2】M&Aの専門家が実務を行う
【3】秘密厳守
【4】業者10社のネットワークが利用でき、成約の可能性が高まる
特に1の、M&Aというデリケートな話を、公的機関である商工会議所で気軽に相談できる点が好評で、日々多くの相談が寄せられています。M&Aに関することなら、具体的なご相談だけでなく、一般的なご質問でもOK!親身で柔軟な応対を心がけていますので、ぜひ一度お気軽にお問い合わせ下さい。秘密は厳守しますし、相談するだけなら(何回でも)一切費用はかかりません。
このM&A市場では、スタート以来すでに10件の成約が誕生しており、公的機関の取り組みの中では全国最多の成約実績です。これは、業者10社とネットワークを組み、緊密な連携のもとに、キメ細やかな事業運営によるものと自負しています。なお、M&A市場の具体的な手順、その他ご説明したいことはホームページに掲載していますので、詳細はそちらをご覧下さい。
最後に。大商としては、より多くの企業・経営者にこのM&A市場をご利用頂き、喜んで頂きたいと願っています。でも、1人悶々と悩まれていたら、私どもも何もお手伝いすることができません。M&Aに、ご関心や聞きたいことがあるあなた!ぜひ勇気を出して、大商の門を叩いてみて下さい。きっと現状よりよくなることはあっても、悪くなることは何もないはずです。
担当者の私がてんてこまいして困ってしまうくらいの、多くの方々からの問い合わせ・相談を心からお待ちしています。殺到しても手は抜きませんよ! |
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| 第10回「M&Aの進め方(1)」 |
こんにちは!M&A担当の上谷です。
だいぶ暖かく、春らしくなってきましたね。今年は桜の開花も早いとか。ということは、今年はやはり暖冬だったということなのでしょうね。
さて、今回からはM&Aの進め方についてです。今日はまず、売り手側に立った、条件交渉に至るまでの基本的な手順をご説明しましょう。
【売り手側の手順】−条件交渉に至るまで−
1.仲介機関への相談
まず最初は、信頼できる仲介機関(金融機関、M&A専門会社等)に相談することです。自ら相手を探し、直接交渉する方法もありますが、話が壊れた時などのリスクが大きく、あまりお勧めできません。その点、仲介機関はM&Aに関する情報・ノウハウを蓄積しているので、的確なアドバイスを得ることができ、安心して話を進めることができます。どこに相談したらよいかわからない場合は、10社の仲介機関とネットワークを持つ大阪商工会議所もお勧めですよ。
2.各種資料の提出
仲介機関に対して、自社に関する各種資料を提出します。自社の特徴、強みなどのアピールできる点も含めて、仲介機関から依頼されたもの(会社概要、決算書、登記簿謄本等)をできるだけきちんと揃えます。また、仲介機関からヒアリングを受けると思いますが、何事も包み隠さず、正直に話すようにして下さい。
ここで隠し事をすると、あとで大きなツケとなってはねかえる可能性大です。
提出された資料などに基づき、仲介機関は企業評価(株価評価)を行います。
3.相手先への打診
仲介機関が買い手候補先を選定し、秘密保持に留意しながら打診します。1社ずつ順に打診することが多いですが、並行して複数社に打診する場合もあります。最初は、社名を伏せた資料(A4の1枚もの)で打診し、相手が興味を示せば、秘密保持契約を締結した上で、詳細な資料を提示していきます。
なお、打診の際は、売り手の意向(打診の順番やこの企業は外してほしい等)が第一に尊重されますので、何か希望があれば遠慮なく仲介機関に伝えて下さい。
次回は、買い手側の、条件交渉に至るまでの手順をご説明します。 |
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| 第11回「M&Aの進め方(2)」 |
こんにちは!M&A担当の上谷です。
すでにご存じの方も多いと思いますが、大阪商工会議所は大阪工業会との統合に向けた検討を行っていくことになりました。経済団体にも「M&A」の波が押し寄せてきているわけで、時代の流れをひしひしと痛感しています。
さて、今回は買い手側に立った、条件交渉に至るまでの基本的な手順です。
【買い手側の手順】−条件交渉に至るまで−
1.事業戦略の策定と候補先の選定
M&Aは、買収自体が目的ではなく、それによって会社が成長・発展することですから、まず自社の事業戦略をきちんと策定することが必要です。その上で、M&Aの対象となる分野・業種、候補企業等を絞り込みましょう。こんな企業を買収すれば、自社にとってこのようなメリットがある、と具体的なイメージを固めることが大事です。
2.相手企業の情報入手
事業戦略やM&Aの対象が固まれば、情報を収集します。自らの活動で情報を集めて直接打診する方法もありますが、一般的には、仲介機関に相談してニーズに合致しそうな企業があれば、紹介してもらうのがよいでしょう。その際には、できるだけ具体的なニーズを伝えることが重要です。ニーズを絞り込めずに「製造業なら何でも」などと言うと、一番の興味がどこにあるのかわからず、仲介機関も逆に紹介しにくいものです。ただ、M&Aは「縁」のものですから、自社のニーズに合う案件となかなか出会えない場合もあることをご理解下さい。具体的な案件の紹介があれば、仲介機関を通じて相手企業の概要等を確認します。
3.メリット、スキーム等の検討
入手した相手企業の情報をもとに、自社にとって事業戦略上のメリットやシナジー(相乗)効果があるか等を検討します。秘密保持契約を締結した後は、相手企業の詳細な情報も提示されますから、買収金額の概算はどれくらいか、どのようなM&Aのスキーム(形態)がよいのかなど、仲介機関のアドバイスにも耳を傾けながら、検討を重ねます。この後の条件交渉をスムーズに進めるためにも、ここでじっくり検討を行い、自社の考え・希望をまとめておくことが肝要です。
次回はいよいよM&Aの山場となる、条件交渉以降の手順をご説明します! |
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| 第12回「M&Aの進め方(3)」 |
こんにちは!M&A担当の上谷です。
花冷えというのでしょうか、急にまた寒くなりましたね。先日、久々に日本橋をうろうろしてたのですが、かなり寒くて上着が手放せませんでした。春だと油断して風邪などひかれないように、皆さんも気をつけて下さいね。
さて今回は、条件交渉から最終決済までの手順をご説明します。
【売り手・買い手の交渉から最終決済までの手順】
1.条件交渉
両者の間で「M&Aをやりましょう」という方向性が決まれば、具体的な条件交渉に入ります。交渉する主な項目は、1.M&Aのスキーム(形態)、2.価格、3.役員・従業員の処遇、ですが、他にも最終決済までのスケジュールや簿外債務が後で出てきた場合の処理等についても、協議・交渉します。交渉事とはいえ、互いに誠意を持って建設的な話し合いをすることが大事です。
2.基本合意書の締結
両者がM&Aの主要な条件について折り合えば、基本合意書を締結します。両者が合意した条件を明示した上で、独占交渉権の付与や、本合意書の締結が法的にどのような意味を持つか等について記載します。内容はできるだけ正式契約書に近い方が後の手続きもスムーズに進みますが、細部の調整が必要な場合は、正式契約書締結までに協議決定する旨を盛り込みます。調印する前には取締役会を開き、M&Aに対するそれぞれの意志決定を明確にしておく方がよいでしょう。
3.買収監査(企業精査)
これまでは売り手から提出された資料・情報が正確かつ妥当であるという前提で話を進めてきましたが、この段階で、買い手側の監査法人や公認会計士が売り手企業の原帳簿等を閲覧するなどして実際の財務内容等をチェックします。買い手のリスク軽減のためにも、これは重要な作業であり、買い手は納得の行くまできちんとチェックするべきでしょう。なお、秘密保持のため、売り手の従業員にM&Aのためのものだと気付かれないよう、くれぐれも留意して下さい。
4.正式契約書の調印
買収監査の結果、必要があれば条件面の微調整を行った上で、株式売買契約書(株式譲渡の場合)を締結します。実務上は、同じ日に売り手企業の取締役会・株主総会を開催して、新任取締役・代表取締役の選任、退任役員への退職慰労金贈呈の決議などが行われることが多くあります。
5.最終決済(クロージング)
正式契約書の締結と同日に行うことも多いのですが、売買代金の支払いと株券の受け渡しを行います。また、売り手企業の重要物(実印・銀行印など)も買い手に渡します。これでついにM&A完了です。
かなり駆け足になりましたが、3回に分けてM&Aの進め方をご説明しました。次回からは、売り手・買い手ともに関心の高い、企業評価(株価評価)です。 |
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| 第13回「企業評価(株価評価)(1)」 |
こんにちは!M&A担当の上谷です。
4月は異動の時期ですね。実は私も異動となりました。皆さん、長い間ご愛読ありがとうございました・・・というのは冗談で、M&A業務を持ったまま、中小企業振興部に異動しました。これからも引き続き、よろしくお願いいたします。
さて、今回は企業評価です。ひとくちに企業評価といっても様々な方法がありますが、今回は主要な評価方法の概要を簡単にご紹介します。
1.時価純資産価額方式
評価対象会社の時価の純資産価額を算出し、これを企業価値とみなす方式です。企業の純資産(総資産−総負債)は、決算書の資本合計を見ればすぐにわかりますが、それはあくまで簿価の数字ですので、有価証券や土地の含み損益を勘案するなどの修正を行って、時価純資産価額を求めます。
この時価純資産価額方式は、日本の中小企業の企業評価においては最もよく用いられるものですが、これだけでは会社の将来性等を考慮していないという短所があります。そのため、評価企業の将来性や収益力、のれん等を「営業権」として加味し、「時価純資産価額+営業権」を、その企業全体の価値として評価するのが一般的です。
2.DCF(ディスカウンテッド・キャッシュフロー)方式
評価対象会社の将来のキャッシュフローを予測し、これを現在価値に還元した合計額を、その会社の評価額とするものです。簡単に言えば、その企業の将来にわたる収益力をベースにした評価方法で、海外ではこの方式による評価額が重視される傾向が強いようです。日本でも大企業を中心に、この方式を採用するケースが増えてきています。
ただ、中小企業においては中長期的な事業計画を策定している企業が少なく、将来の収益予想が難しいことなどから、日本の中小企業のM&Aでは、このDCF方式はあまり採用されていないのが現状です。
3.類似業種(会社)比準方式
評価対象会社が属する類似業種の公開企業の平均株価をもとに、1株当たりの利益・純資産・配当金について、公開企業と評価対象会社を比較して株価を算定する方式です。また、類似会社比準方式もほぼ同じ評価方式ですが、比較する対象が同業種ではなく、類似する会社である点が異なります。この方式は、評価会社が公開会社に匹敵する規模がある場合や、適切な類似会社が存在する場合には説得力を持ちますが、評価会社が債務超過、無配の場合や、事業規模が相対的に小さい場合などには適当でないこともあります。
少し難しいかもしれませんが、こんな評価方式があるということをまずはご理解頂けたら結構です。次回は、時価純資産価額方式をもう少し詳しく解説します。
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| 第14回「企業評価(株価評価)(2)」 |
こんにちは!M&A担当の上谷です。
先日、職場の近くの公園で花見ランチをしました。やや散りかけでしたが、桜の花びらが風に乗る風景はとても趣きがあり、気持ちのよい一時でした。
さて今回は、時価純資産価額方式による評価をもう少し詳しくご説明します。まず必要となるのは、貸借対照表を時価に置き換える作業です。
資産の部では、各資産を時価や実状に合わせて、評価し直します。一番大きく変動する可能性があるのは、不動産や有価証券ですね。不動産の評価も色々ありますが、土地は直近の路線価でどれくらいになるか、建物は適正に減価償却した後の価格はいくらか、がとりあえずの目安となります。有価証券は、時価もしくは市場での取引価格を調べて修正します。その他、回収見込のない売掛金やデッドストックとなっている在庫等があれば、その分を減額しなければなりません。
負債の部では、資産の部に比べると一般に修正する項目は少なくなります。ただし、借入金や未払金に未計上のものがないかどうか等のチェックはもちろん必要です。また、従業員の退職給与引当金が適正に計上されているかどうか(引当不足がないかどうか)も重要なポイントの1つです。
このようにして資産・負債を時価に置き換えた上で、時価の純資産(総資産−総負債)を算出します。これが、この評価方式のベースの数字となりますが、あとは営業権がつくかどうかです。
営業権は、どの企業でも評価されるわけではありません。一般的に、同業種の他企業に比べて超過収益力がある場合はプラス評価できますが、赤字や収支トントンの状態が続いているような場合には難しいでしょう。
営業権の算出方法には様々な考え方があり、この公式にあてはめればよいというようなものはありませんが、おおよその目安を知るための簡便的な方法としては、以下のような「年買法」と呼ばれるものがあります。
●営業権=企業の過去3〜5年の平均経常利益(or営業利益)×3〜5年
平均利益が年1千万円とすれば、その企業の営業権は3〜5千万円ということになります。ただし、これはあくまで目安にしか過ぎませんのでご留意下さい。
営業権は、最終的には当事者同士の交渉によってしか決めようがありません。買い手がその企業の商圏や取引先をぜひとも欲しいと思えば、高い営業権がつくこともありますし、逆にあまり魅力を感じなければ低くなることもあります。営業権とはそのような性格のものということもご理解頂いた上で、当事者同士がお互いにできるだけ納得できる方法で、かつ柔軟に話を進めていくことが大切です。 |
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| 第15回「M&Aの留意点(売り手)」 |
こんにちは!M&A担当の上谷です。
先日、録画もできるDVDデッキを買ったのですが、録画用DVD(記録媒体)って、まだすごく高いんですね。店頭で「えっ!」とびっくりしてしまいました。市販のDVDソフトはかなり安くなってきているのに。。。
さて、この連載もそろそろ終盤、3分の2あたりにさしかかりました。今回は、M&Aにおける売り手の留意点として、以下の3点を挙げたいと思います。
【1】手遅れにならないよう、早めに決断する
M&Aはタイミングが非常に重要です。経営者として、会社の譲渡を決断するのは大変なことだと思いますが、後継者難、先行き不安など理由はなんであれ、M&Aの必要性があると感じたら、少しでも早く、信頼できる仲介機関や商工会議所に相談しましょう。自社の魅力、特色があるうちに着手すれば、成約の可能性は高まりますが、経営的に行き詰まってからではほぼ不可能です。手遅れにならないよう、早めに決断し着手することが、会社の譲渡を成功させる最重要ポイントと言っても過言ではありません。
【2】自社の現状を明確にし、今後のビジョンを伝える
買い手は、売り手の過去の栄光・実績を買うわけではなく、将来にわたり、事業戦略上のプラス効果・メリットがあると思える場合に買うわけです。そのため、買い手は売り手の現状はもちろん、今後どのような発展の可能性を持っているのかを知りたいと思っています。したがって、売り手は業界動向、自社の現状と経営課題、今後の事業展開のビジョン等をきちんとまとめ、仲介機関を通じて買い手に伝えてもらいましょう。
【3】金額にこだわりすぎない
売り手からすれば、少しでも高い金額で譲渡したいのは当然です。しかし、あまり金額にこだわりすぎると、買い手がなかなか見つからなかったり、見つかっても話がスムーズに進まなくなることがあります。M&Aでは、売り手がよほど魅力のある会社でない限り、次々に優良な買い手候補が見つかることは少ないものです。どう考えても納得できないほど低い場合は別として、この会社なら安心して自社の将来を託せると思えるよい相手が現れた場合には、その縁を大事にして、金額面は極力、柔軟に対応する方が望ましいでしょう。
次回は、買い手側からのM&Aの留意点をご説明します。 |
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| 第16回「M&Aの留意点(買い手)」 |
こんにちは!M&A担当の上谷です。
4月は歓送迎会のシーズンですね。皆さんはすでに終わりましたか?私は先週の金曜日に1つあったのですが、思いのほか酔ってしまい、1時間ほどで帰宅できるはずなのに、なぜか2時間かかってしまいました。あれ・・・?
さて、今回はM&Aに際しての、買い手側の留意点をご説明しましょう。
【1】M&Aの目的を明確にする
M&Aはあくまで事業戦略を遂行するための経営手段の1つです。時折、M&Aを行うことだけに目が向いてしまい、その前提となる事業戦略がはっきりしていないケースがありますが、その状態でM&Aを行っても効果はあがらないでしょう。M&Aに対する目的を明確にした上で、「ここなら、うちのニーズと十分に合う」という相手を探すことが大事です。また、M&Aが無事成約してホッとするのではなく、アフターM&Aがさらに重要であることは言うまでもありません。
【2】売り手の心情・人に配慮する
売り手社長は、会社の規模などに関係なく、自分の会社に非常に愛着を感じており、また会社を育ててきたプライドを持っています。話し合いや交渉の場で、買い手がそれを否定したり、傷つけるような言動をとりますと、社長のやる気がなくなり、M&Aが成約しても引継ぎに身が入らなくなる可能性があります。また、社員に対しても同様で、こちらが経営権を取得したのだから、とドライな対応をしますと、社員の気持ちが離れ、組織がずたずたになりかねません。中小企業のM&Aの場合、売り手社長や社員のメンタルケアは特に大事なテーマですので、新経営者に対して前向きな気持ちを持ってもらえるよう、十分に配慮するようにしましょう。
【3】簿外負債に留意する
M&A実行に際して、最も留意しなければならないリスクは「簿外負債」です。特に株式譲渡(譲受)では、会社を丸ごと買う形ですから、簿外負債が後に発覚すると、買い手に責任がかかってきます。簿外負債には、決算書に計上されていない借入金や売り手企業の社印で行っている連帯保証などがあります。このリスクを回避するためには、次の点が重要です。
(1) 必要資料の充実度や過去からの経営の推移を調べる
(2) 買い急がずに、売り手企業の経営者の人間像をじっくり理解するようにする
(3) ベテランの仲介機関や会計士のアドバイスを受け、買収監査をきちんと行う
なお、正式契約書の中に、「M&A決済後に簿外債務が発覚した場合は、売り手の責任においてこれを負担する」という条項を盛り込んで、買い手のリスクを回避することもよく行われます。
さて、次回からは、M&A市場の成約事例をご紹介していきます。お楽しみに! |
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| 第17回「成約事例紹介(1)」 |
こんにちは!M&A担当の上谷です。
GWも終わってしまいましたね。私はGW中、外出した帰りに、電車内にセカンドバッグを忘れて焦りました。幸い、すぐ手元に戻ったのですが、駅員に「中には何が入ってますか?」と聞かれた際、「・・・小銭入れと目薬とメガネふきです」と大したものが入っておらず、少し恥ずかしかったです。
さて、今回から3回にわたり、大商M&A市場の成約事例をご紹介します。まずは記念すべき成約第1号で、輸入住宅設計・販売のエイビーシー・ジャパンが、引越専業最大手のアートコーポレーションに、100%株式譲渡したケースです。
売り手のエイビーシー・ジャパンは、本格的な北米輸入住宅の設計・販売・施工を行う会社です。年商14億円で設立以来赤字を出したことはなく、堅調に業績を伸ばしてきましたが、同社の社長は健康面にやや不安を抱えていたことに加え、新規事業として構想中のリモデリング事業(住宅の全面的な改装)を首都圏で展開するには、大手企業の傘下に入ることが得策ではないかと考えるようになりました。そして、ちょうどその頃、大商が始めた「M&A市場」を知り、大商に相談を持ちかけたのです。
一方、アートコーポレーションは、長年にわたり引越およびそれに付帯するサービス業務を行ってきましたが、引越マーケットの成熟化をにらみ、「住」というキーワードで引越事業と相乗効果を出せる分野での多角化を検討していました。すでに住宅の部分的なリフォーム事業については若干手掛けていたものの、十分なノウハウがなかったために、本格的な事業展開はできていませんでした。
そんな状況の中、大商M&A市場でM&A実務を行っている仲介機関より、エイビーシー社の話が持ちこまれました。アート社は、エイビーシー社の新規事業である中古マンションのリモデリング事業に特に魅力を感じ、自社事業との相乗効果が大いにあると判断して、買収を決断したのです。
平成10年8月13日、大商にてM&Aの正式契約書の調印が行われ、その後、両社社長による記者会見が行われました。この成約は、M&A市場の成約第1号であり、買い手が有名企業ということもあって、新聞やテレビ等で大きく報道され、注目を集めました。その後、エイビーシー社はアートプランニングと社名変更してアートグループの一員であることを明確に示すとともに、親会社の支援の下、リモデリング事業の事業展開を積極的に行っています。
本件は、社長の健康面の問題もあったとはいえ、業績堅調な中小企業がさらなる発展のためにM&Aを決意し、大手企業の傘下に入ることで、新規事業の積極的な展開が可能になった好例と言えます。 |
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| 第18回「成約事例紹介(2)」 |
こんにちは!M&A担当の上谷です。
昔に比べて、電話代って本当に安くなりましたね。国内も国際も。先日、イタリアにいる友人に電話するため、色々と調べていたのですが、一番安い業者はなんと1分29円!あまりの安さにびっくりです。これなら手軽にかけられますね。
さて、今日ご紹介するのは、大商M&A市場の成約第4号です。大阪市内で硬質クロームメッキ業を営む三和硬質メッキ工業所は、社長が70才を越え、後継者がいないために、赤松鉄工所に100%株式譲渡しました。
三和硬質メッキ工業所は、創業して約50年のメッキ加工専門の会社で、年商は約1億円、現社長は2代目です。社長はもともと全国でも有名な生物学者でしたが、約30年前、初代社長である父から家業を継ぐようにと強引に呼び戻されて、社長となりました。社長は、本来の専門分野ではないメッキ加工の仕事に対し、他社との差別化を図るために独自の工夫をいくつも考案しました。その結果、年商1億円の中小企業ながらも、優秀なメッキ加工技術とノウハウによって、取引先からも絶大な信頼を得るようになったのです。社長には息子が2人おられましたが、ご自身の経験から、本人の意に反して無理に後を継がすことはしたくない。しかし一方で、廃業して取引先に多大な迷惑をかけることもできない、と考えて、企業の存続と発展のためにM&Aを決断し、平成9年4月、大阪商工会議所に企業譲渡の相談を行ったのです。
一方、買い手となった赤松鉄工所は、年商約5億円で、鉄鋼大手の100%下請加工の会社でした。赤松鉄工所は、大手メーカー1社の動向により業績が左右される体質から脱皮し、別のコアとなる事業を早期に立ち上げることが最大のテーマでした。赤松鉄工所は、自社事業と隣接するメッキ事業への進出に興味を示し、成約に至るまでいくつかの問題点も出てきましたが、誠心誠意話し合いを行うことにより、双方が納得の行く形でM&Aの合意に至ることができたのです。
本件M&Aの特徴は、双方が典型的な中小企業であるという点です。年商1億円と5億円の中小企業でも、互いのニーズや希望がある程度合致し、互いの発展のために建設的な話し合いを続けていけば、M&Aは可能だということです。まさに、中小企業同士のM&Aのよい見本と言えるでしょう。 |
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| 第19回「成約事例紹介(3)」 |
こんにちは!M&A担当の上谷です。
先日、十三でねぎ焼きを食べてきました。十三でねぎ焼きと言えば、やはり「やまもと」ですよね。久々でしたが、とてもおいしかったです。その後、駅から少し離れた紅茶専門店で、ゆったりとお茶。紅茶だけでなくケーキも美味でしたが、かなりボリュームがあり、1かけら残してギブアップしてしまいました。
さて、事例紹介の最後は、携帯電話販売のフランチャイズ本部であるフジテレコムズと関連会社が、電気機器などの商社の竹菱電機に100%株式譲渡したケースをご紹介します。
フジテレコムズは1989年に設立され、99年には関西地区で50店舗を展開し、年商も120億円超に達するなど、数少ない独立系の一次代理店として順調に規模を拡大していました。しかし、上場企業や大手商社が競争相手としてひしめいていたこと、また同社は同族企業であり、個人の信用で資金調達していたことから「今の体制のままで、会社を順調に伸ばし続けられるだろうか」との思いが、日に日に強まっていました。そんな折、大商主催のM&Aセミナーで「事業拡大を狙うために、M&Aで大手企業の傘下に入るという手法は有効」という考え方に興味を持ち、大商M&A市場に申込を行ったのです。
同社は資金調達以外の経営面については自信がありましたが、50店余のフランチャイジーに納得してもらうには、現体制のまま支援してくれることが望ましく、それを受け入れてくれる企業に譲渡したいという希望がありました。その後しばらく経って、仲介業者の紹介により、竹菱電機との話が持ち込まれたのです。
竹菱電機は、電気機器や情報通信機器をはじめ、幅広い分野の製品を販売している上場企業です。もともとM&Aに積極的な考えを持っていた同社は、今後、一層市場の拡大が見込まれる移動体通信販売の事業基盤強化策として、この話に興味を示し、約2ヶ月という短期間の交渉で成約に至りました。
M&Aによって、竹菱電機という強力な支援企業を得たフジテレコムズは、信用力が大幅にアップし、これまでのような資金調達面での制約も少なくなり、事業拡大に向けて積極的な取り組みを行うことができるようになりました。本件は、事業拡大のために(あえて)会社を譲渡し、大きなメリットを手に入れることができた前向きなM&Aであると言えます。
次回からは「Q&A集」です。こんなことを聞きたい、というのがあれば、どうぞお気軽にメール下さい! |
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| 第20回「M&Aに関するQ&A(1)」 |
こんにちは!M&A担当の上谷です。
先週末ふらっと東京に行き、日曜の夜に羽田から帰阪しようとしたら、雷雨による運行見合わせで飛行機に乗りこんだまま、ずっと缶詰状態に。結局、約3時間も飛行機に乗る(座る)はめと相成りました。国内線なのに。。。
さて、今回からM&Aに関してよく寄せられる相談・質問を、Q&A形式で取り上げます。今日は、譲渡希望(売り手)企業側からの質問です。
Q.当社のように規模が小さい企業でも、M&Aができるのでしょうか?
A.M&A(譲渡)がうまく行くかどうかは、規模の大小よりも、その企業の事業内容、特徴、財務内容などによります(ただ、個人営業に近いような場合は、かなり難しい)。大事なのは、自社の「ウリ」となるような光るもの−すぐれた技術、ノウハウ、優良顧客など−があるかどうかです。買い手から見て魅力的な点があれば、規模が小さくても可能性はあります。
Q.M&Aを進める場合、秘密はきちんと守られるのでしょうか。
A.買い手候補企業に初期的な打診を行う際は、企業名を伏せ、特定できないようにぼかして資料を作成・提示します。具体的な社名や概要を提示するのは、買い手と秘密保持契約を締結した後ですので、秘密が漏洩する心配はまずありません。大商M&A市場でも秘密保持には細心の注意を払って、運営しています。
Q.会社を譲渡すると、今の借入や連帯保証はどうなるのですか。
A.最もよく行われる株式譲渡の方式で会社ごと譲渡した場合は、買い手は負債も含めて買うことになりますので、M&A後に売り手経営者が返済する必要はありません。連帯保証も、買い手の責任において、M&A後すみやかに解除してもらうことになります。
Q.M&Aをした場合、従業員の雇用がどうなるかが心配です。
A.中小企業のM&Aでは、従業員はそのまま引き継ぐケースがほとんどです。技術やノウハウなどは人(従業員)につくものですし、買い手としても円滑にそれらを引き継ぎたいからです。ただ、この点も交渉事項ではありますので、買い手との交渉の中で決定することになります。 |
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| 第21回「M&Aに関するQ&A(2)」 |
こんにちは!M&A担当の上谷です。
先週半ば、突然にお腹の調子がひどく悪くなり、熱や悪寒まで出てきて、数日間へろへろでした。医者の診断は「お腹に来る風邪」でしたが、本当かなぁ。私は調子が悪くなる直前に食べた、中華料理店の餃子(中が生焼けぽかった)を疑っているのですが。3日ほどでなんとか治り、今はほっとしてます。
さて、今回も引き続き、売り手からよく出るQ&A集です。
Q.当社は若干の債務超過ですが、M&Aは無理でしょうか?
A.債務超過の状態で買い手を探すのは、きわめて難しいのが実情です。これは、逆の買い手の立場を考えてみれば容易に想像できるでしょう。ですから、なるべく債務超過に陥る前に早めに決断するか、あるいは自助努力で債務超過状態を解消してからの方が、M&Aできる可能性が高まります。
Q.当社は技術力に自信があり、特許も保有しています。これはどのように評価されますか。
A.なかなか難しい問題ですが、M&Aに際しては、その技術や特許などで、どの程度の売上や利益を生み出しているか、がポイントとなります。技術力があっても、市場性のないものだったり、まだ実績に乏しいものであると、一般的にはプラス評価は難しくなります。
Q.M&Aが成約しそうですが、従業員にはいつ話すのがよいでしょうか。
A.たとえ交渉が順調に進んでいるように見えても、早くに話をすることは避けた方が賢明です。通常は、最終契約締結日の直前か当日が多いと思われますが、そのタイミングや方法は仲介機関とよく相談して、慎重に進めて下さい。また、事前に変な形で社内に情報が流失しないよう、くれぐれもご留意下さい。
予定では、今週で完結予定でしたが、変更して6月一杯くらいまで延長します。
次回は、買い手からのQ&A集です。 |
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| 第22回「M&Aに関するQ&A(3)」 |
こんにちは!M&A担当の上谷です。
W杯サッカー、ロシアに勝ちましたね!日本が1点取った後も、「また終了間際に失点するんじゃないだろうなぁ」とハラハラしながら見てましたが、そのまま逃げ切ってホッとしました。あと残すはチュニジア戦だけ、頑張れニッポン〜。
さて、今回は買い手側からよく寄せられる質問です。
Q.先に譲渡希望企業の情報を入手した上で、M&Aを検討したいのですが。
A.M&Aは秘密保持が何よりも大事であるため、大商M&A市場では、どのような形であれ、譲渡希望企業の情報を先に提示することはできません。まずは、自社の事業戦略に基づいたM&Aニーズを登録して、案件の紹介があるのを待って下さい。これは、どの仲介機関に依頼されてもほぼ同様かと思います。
Q.仲介機関から案件の紹介があり、相手企業の情報が提示されましたが、この情
報は本当に信頼できますか。
A.一般的に、仲介機関を通じて提示される相手企業の情報は、仲介機関がその信頼性を逐一厳密にチェックし、保証しているわけではありません。したがって、買い手はその情報が正しいという前提で検討を進めていかざるを得ません。情報の正確性・信頼性の最終的なチェックは、買収監査の時に行うことになります。
Q.売り手の希望金額が、一般的に妥当かどうか知りたいのですが。
A.M&Aにおいて、ある金額が一般的に妥当かどうかを判断するのは意外と難しいことです。価格は、売り手・買い手お互いの状況、動機、熱意など、客観的な数字以外の要因にも大きく左右されるからです。第三者である仲介機関の意見に耳を傾けながら、じっくり交渉を重ねて互いに納得の行く価格を探るしかないのではないでしょうか。 |
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| 第23回「M&Aに関するQ&A(4)」 |
こんにちは!M&A担当の上谷です。
今年度最初のM&Aセミナーを7月5日(金)に開催いたします。セミナー後に個別相談会も開催しますので、特に具体的なニーズをお持ちの方は、この機会を逃さずご参加ください。詳細はホームページに掲載しています(申込も可能)。
さて、今回は売り手・買い手にあまり関係なく寄せられる質問についてのQ&Aを2つお届けします。
Q.仲介機関に相談した場合、どの段階から費用が発生するのでしょうか。
A.当初の相談段階では、複数回相談したとしても通常はどこも無料でしょう。費用が発生するのは、仲介機関と正式な依頼契約(アドバイザリー契約)を交わした後で、所定の着手金を支払う必要が生じます。あとは成約時の成功報酬を支払う形が多いのですが、仲介機関によっては別途、毎月一定のフィーが必要となるところもあります。
Q.当事者同士でM&Aの話が進んでいますが、両社ともM&Aは初めてで不安なため、途中から仲介機関に入ってもらうことはできますか。
A.時々受けるご質問で、企業評価や契約書の作成など実務段階以降を依頼したいということですが、可能は可能です。この場合、相手探しから依頼するのに比べて、費用も割安に済むことが多いでしょう。ただ、仲介機関やケースによって、対応が異なりますので、まずはじっくりと相談することが必要です。 |
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| 第24回「M&Aの活性化について」 |
こんにちは!M&A担当の上谷です。
この連載も次週で最後の予定です。今回は、総括も兼ねまして、M&Aの活性化について、簡単に触れたいと思います。
長くこの業務に携わっている中で、「中小企業のM&Aをもっと活発にするにはどうしたらよいか」と聞かれることがあります。この問いは、答として制度的な改善点の指摘を期待されていることが多いのですが、私の答はほぼ決まっていて、「末端の中小企業にまで、広くM&Aを啓蒙すること」です。上場・大手企業と異なり、中小企業ではまだまだM&Aそのものの認知度が低く、その意味や内容をきちんと理解している経営者も意外と少ないものです。
制度上の問題でM&Aが阻害されているというのは、現場の人間からすればほとんど感じられず、私から見た阻害要因を挙げれば、以下の3点でしょうか。
1.そもそも中小企業経営者が「M&A」を知らない、あるいは知っていても
マイナスイメージや心理的抵抗が強い(特に企業譲渡の場合)
2.M&Aの情報が少ない、出会えない(特に買い手側)
3.中小企業のM&Aを熱心に手掛ける実務家が少ない
3についてはここでは触れませんが、1と2は、密接に関連しています。M&Aの潜在的なニーズが埋もれているために、買い手からすればM&Aの情報が少ない。また今の日本では、企業譲渡を考えていることをオープンにしにくいため、買い手は情報に出会うのがさらに難しい、という状況になっています。
大商では、定期的にセミナーを開催したり、M&Aハンドブックを発刊するなどして、少しでもM&Aを身近なものに感じてもらい、マイナスイメージを払拭させようと地道な啓蒙活動を続けていますが、少ない予算の中で末端の中小企業にまで行き渡らせるのは、なかなか困難です。中小企業の存続・発展を後押しし、地域経済の活性化につなげるためにも、このPR・啓蒙の部分こそ、国や地方自治体などが積極的に行ってほしいというのが、私の個人的な考えです。 |
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| 最終回「結びのごあいさつ」 |
こんにちは!M&A担当の上谷です。
W杯サッカーは、ブラジルが優勝しましたね!ドイツの守護神カーンも、ついに最後に力尽きたという感じでしょうか。韓国も敗れたものの、3位決定戦の後、両チームが一緒に称え合う光景はとても感動的でした。
さて、本年1月から始まったこの連載も今週で最後です。最初からお読み頂いた方には、「M&A」がどういうものか、どのように進むのか、留意点は何かなど、ある程度ご理解頂けたのではないかと思います(途中からの方は、ぜひバックナンバーも見て下さいね)。連載の最後に、今日はM&Aについて私の感じるところを少し書かせて頂きたいと思います。
初回のごあいさつで書いたように、私は元々何のバックボーンもない所からこの業務に携わり、これまでに何百件もの相談を受けてきました。そうした経験の中で思うことは、企業譲渡の相談を受けるのは、まさに「人生相談」を受けるのと同じだということです。これは決して大げさではなく、社長は、経営者と個人の両方の人生を賭けて、相談に来られます。それをどこまできちんと受け止められるか、相談者の背景や細かい心情を理解し、相談者との信頼関係を築けるか。
もっともそう言う私自身、まだまだ甘い部分、足りない部分は多々あり、もっと経験を積んで向上しないといけないと思っていますが、「M&A」が単にモノとモノのやりとりではなく、そこに「人」が大きく絡む以上、信頼関係なしでは決してうまく行かないと確信しています。相談を受ける側、M&Aを考える側、提案を受けた買い手側、すべてがきちんとした信頼関係で結ばれた時、M&Aは自ずといい方向に進んでいくように私は思います。
「M&A」は、いまだに悪いイメージで捉えられがちですが、それ自体は単なる経営手法の1つでしかありません。それを良くするのも悪くするのも、当事者次第なのです。うまく使えば、中小企業においてもきわめて有効な選択肢となるM&A。怖れることなく、ぜひ一歩足を踏み出してみてください。
M&Aを有効活用することで、多くの中小企業の経営課題が解決し、ハッピーになることを祈ってやみません。
約半年にわたったこの連載を最後までお読みいただき、どうもありがとうございました。本連載が少しでも皆様のお役に立てれば光栄です。 |
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