佐藤会頭の眼~会員企業と共に歩む(寄稿文) その6Chairman’s Eye with you

その6<創業者会員企業の訪問>
2011年2月ファミリーの稲田社長の勧めでマッサージチェアを体験IMG_2402.JPG「2011年2月 ファミリー・稲田社長の勧めでマッサージチェアを体験」
厳しい時代を迎えている今、経営トップに求められる能力は、突破力、決断力、そして洞察力の3つが重要。なかでも最も必要と考えているのは洞察力である。その理由は、突破力、決断力、洞察力は三位一体でなければならないが、洞察力に基づかない経営判断では、その決断や行動に間違いが起きると考えているからである。
創業と守成のどちらが難しいか。これは貞観政要の中の問いだが、私は創業だと常々思っている。そこで会員企業訪問では、経営者自らが創業者(ファウンダー)である会社なども11社訪問してきた。これらの会社では、守りだけに固まらず創業の精神を発揮し、新商品を開発。自ら箸を取るチャレンジ精神、また一工夫を加え得意技を活かした取り組みをモットーにする経営者が多数みられた。
     ・三和実業    :昭和36年(1961年)
     ・ファミリー   :昭和37年(1962年)
     ・インターグループ:昭和41年(1966年)
     ・大起水産    :昭和50年(1975年)
     ・フジワラ産業  :昭和55年(1980年)
     ・羽柴      :昭和57年(1982年)
     ・E・C・R   :昭和61年(1986年)
     ・マッスル    :昭和63年(1988年)
     ・日本ポリグル  :平成14年(2002年)
     ・コドモエナジー :平成16年(2004年)
     ・飛宏科技日本  :平成22年(2010年)

○三和実業(中央区)は、大阪の主要ターミナルや流通施設で喫茶店をチェーン展開する会社だ。2011年8月4日には松本孝会長を難波の本社にお訪ねし、意見交換の機会を頂戴した。同会長は1960年(昭和35年)に訪米して見聞を広めた際、将来、日本国内でも喫茶ビジネスが流行ることを直感し、帰国後、早速起業したとのこと。松本会長の先見力、洞察力に間違いがなかったことは、現在も同社が関西のターミナルエリアを中心に店舗を増やし続けていることが証明している。松本氏は、大商の中央支部長としても精力的に活動。とりわけミナミの活性化に力を尽くしていただいている。

       訪問記録 2011年8月4日 三和実業

○インターグループ(北区)の小谷泰造会長は、1970年の大阪万博を機に、大阪が国際化する日は近いと会社を立ち上げ、今日に至っている。この間、大阪国際会議場の建設促進や大阪市のオリンピック誘致活動などにも積極的に貢献。社業では国際化に欠かせない通訳者や翻訳者の人材育成に熱心に取り組んでこられた。その小谷会長が経営者に最も必要な能力として挙げるのが「先見力」。今後、アジア諸国から観光とメディカルチェックを兼ねた医療観光ツアーが増えると見込み、医療用語に精通した通訳者を育てようといち早く事業化。先を見通す眼は益々鋭さを増している。

       訪問記録 2011年2月2日 インターグループ

2011年12月天下の台所大阪まつりで挨拶CIMG0815.JPG「2011年12月大阪府立体育会館で開催された天下の台所大阪まつりで挨拶」
○佐伯保信社長が、1975年(昭和50年)に創業したのが大起水産(堺市)。会社の名前の通り、大阪・関西で大きく事業を興そうと回転ずしの店舗展開を急ピッチに進めている。新鮮な魚貝類は主に日本海側の鳥取県境港市などから直送。マグロの解体ショーを店舗やイベント会場で披露し、人気を博している。本業は魚屋だと自負する佐伯社長。自社の店舗では、「おっちゃんのところの寿司は上手いで。」と来店した子ども達に声をかけるのが口癖。大起水産でマグロの寿司を食べたら、舌がその味を一生覚えているはずと自信たっぷりに語る姿に圧倒されるばかりだ。「お魚にも履歴書がある」と名セリフを吐いたのは14、5年前。京阪沿線、大阪北部、東京へと矢継ぎ早に出店。まさに旬の企業だ。
東日本大震災直後には、本会議所が紹介した宮城県・気仙沼向洋高校水産科をいち早く訪問し、自社への就職受け入れ支援を表明。その模様はNHKで取り上げられ内外に配信された。また鳥取県で使われていない漁船の斡旋に動くなど、その行動力はスピード感に溢れている。その真価をもっとも発揮したのは、不祥事続きで中止になった大相撲春場所の会場を活用してのイベント企画・立案。東日本大震災により復興支援に看板を掛け替えたが、「水産業界は三陸沖で漁を営んできた東北漁民の方に支えていただいて今日がある。何とか早く立ち直ってもらいたい。」と語り、会社を挙げてチャリティイベントを実施。まさに「損して得取れ」を実践する大阪の商人魂を継承している方だ。

訪問記録 2011年3月21日 天下の台所・大阪まつり
                       東日本巨大地震 復興応援イベント
              2011年12月17日 天下の台所・大阪まつり

○羽柴(北区)は白川基光社長が1982年(昭和57年)に創業。ソリューションビジネス分野のシステム開発やブロードバンド運営などを手掛け今年30周年を迎えるIT企業だ。同社では御堂筋オープンフェスタのインターネット放送を受託するなど地元貢献にも積極的だ。白川社長は、常に自社の経営理念である”全てに感謝する経営”を社是に掲げて事業展開。7年前に社内コンプライアンス委員会をいち早く立ち上げ、クライアントの情報管理を積極的に推進中。ITビジネスの首都圏集中に懸念が高まっており、首都圏直下型地震などへの備えから、今後益々の活躍が期待される会員企業だ。「しょぼい会社です」が口癖だが、その謙虚さに信頼を寄せる人が多い。

      訪問記録 2012年1月13日 羽柴

○フジワラ産業(西区)は、新しい発明に熱意を燃やす藤原充弘社長が立ち上げた会社。会社勤めをやめて1980年(昭和55年)に起業。今回の東日本大震災で、主力商品の防災・災害回避装置や汚泥かき寄せ機の耐震性が証明され高い評価を受けた。津波回避用の「タスカルタワー」の引き合いも増えているそうだ。人工雨雲発生システムの実用化に取り組み、将来の水不足解決に貢献していきたいと熱く語る姿は、夢をひたすら追い続ける求道者そのものだ。「環境を守るフジワラ」、「命を守るフジワラ」を経営理念に掲げているが、これからも地球環境に優しく地震や災害等に強い製品づくりに期待したい。

      訪問記録 2011年8月4日 フジワラ産業

○40年近い電源メーカーの実績をベースに日本市場に進出した台湾企業が飛宏科技日本(中央区)。日本国内では2010年(平成22年)の創業であり、これまでの会員訪問先のなかでは最も業歴の浅い企業。三洋電機を退職した原田克平社長が経営トップとして舵取りを担っており、国内外で在阪企業とアジア地域との関係を深化させている。同社ではデジタル看板などの分野で日本市場を新規開拓中。外資系企業として日本に進出する際に障害となった銀行口座の開設時の問題点等について意見を拝聴、大阪外国企業誘致センター(0-BIC)での今後の適切な対応を指示した。今後の日台ビジネスの連携モデルとして飛躍を期待したい。

      訪問記録 2010年8月20日 飛宏科技日本

○また2012年8月31日に来訪された蕭万長前台湾副総統との懇談では、大阪に工業技術院の出先機関を設置して欲しいと呼びかけた。真剣に検討したいとの答えに、今後の日台企業間の連携深化に期待が膨らむ。