佐藤会頭の眼~会員企業と共に歩む(寄稿文) その4
Chairman’s Eye with you

  • その4<会員企業のグローバル化を支援>
  • 2011年6月ベトナム チュオン・タン・サン次期国家主席と大阪で懇談IMG_2833.JPG「2011年6月 ベトナム チュオン・タン・サン次期国家主席と大阪で懇談」
  • ○これまでの会員企業訪問先の中には、フジキン(総本社:北区)のように2度お邪魔した企業もある(柏原工場、筑波研究所)。そしてモノづくりの会社にも大きなグローバル化の波が押し寄せていることを実感している。中国はじめアジア新興国への工場移転、一方で中国人、ベトナム人、モンゴル人、バングラデシュ人の社員や研修生の国内採用など、企業のグローバル化はかなりのスピードと勢いだ。
  •  訪問記録 2010年10月6日 フジキン(柏原工場)
  • ○「千客万来OSAKAプラン」では、アジアからの観光客の取り込みや新興国市場でのビジネス拡大支援を戦略目標に掲げている。会頭就任後2年半で、海外出張も14回(2012年8月末現在)こなしてきた。特筆すべきは、これまでの訪問先はいずれもアジアの6カ国・地域であることだ。特に中国には既に6回、ベトナムは3回訪問を行った。総領事館などの情報をもとに、地下街開発の可能性(北京)や工業団地の開発動向(ベトナム)などの把握に努め、自ら新興国市場の扉を開けるべくアクションを起している。

2011年7月日韓商工会議所首脳会議CIMG0181.JPG「2011年7月 日韓商工会議所首脳会議を大阪に誘致」

  • ○会頭として最初の海外出張先となったのは韓国。2010年7月にソウルで開かれた日韓商工会議所首脳会議に参加した。その際、日商の岡村会頭にもご相談申し上げ、次回は是非大阪で会合を開催して欲しいと働きかけた。そして2011年7月24日、25日の天神祭の日程に合わせて大阪の地で実施してもらうことができた。韓国の経済人トップに大阪の魅力を実感してもらえたのではないかと思う。2012年8月には釜山での同会議に参加、麗水万博を視察する機会も得た。
  •  海外活動 2010年7月1~2日 日韓商工会議所首脳会議(韓国・ソウル)
  •      2012年8月6~8日 日韓商工会議所首脳会議(韓国・釜山、麗水万博)
  • ○また2回目の海外訪問となったのが2010年7月の上海万博視察。上海万博では2つの感動があった。一つは大阪発祥のOSK日本歌劇団の活躍振り。もう一つが後ほど紹介する日本館の壁をよじ登るロボットだ。現地で、マッスル(淀川区)の玉井社長から、大阪の中小企業など15社が中心となって製作したと伺い、その心意気に感激した。またOSKは縁あって応援団の一員となっており、大阪ブランドを育てたいと意欲を燃やしている。
  •  海外活動 2010年7月27~31日 上海万博応援・大阪プロモーション団

2012年5月香港関連セミナーで講演CIMG1519.JPG「2012年5月 香港特別行政区政府主催・特別シンポジウムで講演」

  • ○上海万博視察後は、香港まで足を伸ばし香港国際会議展覧中心を視察した。その折には香港最大のコンベンション施設を保有する香港貿易発展局のマーガレット・フォン副総裁とも意見交換。フォン氏は「世界中の人が集まることで、さらなる集客を生む。それには企画力が大切。」と説かれた。日本のアニメ文化は香港でも随分受け入れられていることを知り、大阪も隠れたブランドの発掘、世界中から人を呼び込むノウハウを学ぶ必要があると感じた。フォン副総裁とは、本年5月に大阪で開かれた香港貿易発展局主催のセミナーで再会を果たし、がんこフードサービスの小嶋副会頭のご協力を得て、がんこ平野郷屋敷で日本式のおもてなしを行った。
  • ○ベトナムとの交流を活発化するため、在大阪ベトナム総領事館の幹部とも親しく交流する機会を増やしてきた。前レ・ロック・リュー在大阪ベトナム総領事のご紹介により、2010年9月には米国での国連総会出席のため関西国際空港に立ち寄られたグエン・ミン・チェット国家主席(当時)にお目にかかる機会も得た。その後同年11月27日に訪越を実現。ホーチミン、ハノイの2都市で経済界(SGIタム会長)、政府首脳との懇談の機会に恵まれた。
  • ○本年2月にはベトナムに3度目の訪問を行ったが、その際にお会いしたのはチュオン・タン・サン国家主席。実は同主席にお会いするのは今回で3度目であった。このように就任間もない国家主席にお会いできるだけでも相当の厚遇といえるが、さらに今回は約1時間以上じっくりと懇談することができた。その際、昨年10月の2回目の懇談時に約束していたベトナム進出に関心のある会員企業約30社と一緒に訪問したと報告し、何名かの皆さんと共に遠慮のない意見交換を行った。私からは会員企業のアンケート調査に基づく日系企業向け工業団地の整備などにつき具体的な要望を直接行った。
  • ○その際には、レー・クオク・ティン在大阪ベトナム総領事(現職)からの提案を受け入れ、これから日系企業の進出が期待されているベトナム北部・クアンニン省も訪問した。ベトナム地方政府の要人との懇談で感じるのは、国家トップの意思決定が各地方にも良く浸透し、上から下、中央から地方までビジョンのベクトルが見事に合っていること。加えて、ベトナム人の勤勉な気質や若年層の割合の多さを鑑みると、今後同国が日本にとっても重要なパートナーとなることは間違いないと確信している。
  •  海外活動 2011年10月4~8日  ベトナム訪問
  •  海外活動 2012年2月23~28日 ベトナム視察ミッション
  • ○先ほど2度会社を訪問したとご紹介したフジキンさんもベトナムにいち早く進出されている。ベトナム北部に第2工場を計画していたが、いよいよ実行に移すことにしたと小川洋史会長からお聞きした。その小川会長率いるフジキンは、不撓不屈の精神を表わす「ダルマ文化」を社内に徹底。筑波研究所では同社の技術を活かしてチョウザメ飼育に取り組むなど、独自の企業文化を育てられている。
  •  訪問記録 2011年1月13日 フジキン(筑波研究所)
  • ○また電子部品基板や遊戯用照明などを製造しているoneA(ワンエー・鶴見区)では、ベトナム人の技術者を正式に日本人社員と同じ待遇で採用、またベトナム人研修生を採用し、将来の海外進出への布石を打っているとのことだった。企業訪問の際に、ベトナムから来日された皆さんと懇談の機会を持った。日越の友好を促進したいという川上良康代表取締役社長の思いにも感銘を受けたが、感動したのはある若い女性の研修生が「夢はベトナムに帰り、工場を経営することだ。」と語ったこと。日本で学んだモノづくりの技術を持ち帰りベトナムの繁栄に貢献したいと目を輝かせていた姿勢は、ハングリー精神旺盛だった戦後の日本人に重なるものがある。
  •  訪問記録 2010年8月17日 oneA
  • ○またヤクルトレディならぬポリグルレディを組織化し、バングラデシュで自社の浄化剤を市場に広げる戦略を進めているのが日本ポリグル(中央区)だ。私自身もポリグルレディが来阪時に面談(2011年3月4日)。滞在中は、日本の寒さに加え、新幹線、ホテルのトイレなどに驚きの連続だったとのこと。日本ポリグルの小田兼利会長は、福島原発の事故処置対応では、東京電力からの協力要請もあり自社技術を紹介、セシウム除去システムの提案も行ったそうだ。このほか経産省やJICAなどの支援によりアフリカの難民キャンプなどで製品提供を行っている。まさに全国に先駆けて世界でBOPビジネスを展開する中小企業の代表選手といえる存在だ。
  •  訪問記録 2010年6月8日 日本ポリグル
  • ○小田会長には、2011年7月のアセアン・トッププロモーションの際、インドネシア・ジャカルタでの大阪PRセミナーへの参加をお願いした。当日はセミナーの席上で、同社製品を実験する機会を提供。濁った水がみるみる透明になるので拍手喝采を呼んだ。ここにも世界に紹介できる大阪発のブランドがあった。
  •  海外活動 2011年7月3~7日 アセアン・トッププロモーション

2012年6月上海で関西6商工会議所によるトップセールスを実施DSC00986.JPG「2012年6月 関西6商工会議所によるトップセールスを上海で実施」

  • ○2012年6月~7月上旬にかけておよそ1ヶ月半の間に3度も中国各地を飛び回った。13回目の海外出張となったのは中国・北京。日中国交正常化40周年という節目の年を迎え、7月1日から関西財界訪中団で訪問して習近平次期国家主席などとも面談できる機会に恵まれた。懇談を通じて、「緩やかな前進」という表現を何度か耳にしたが、中国自身が世界経済の中で果たすべき役割をキチンと自覚して責任を果たそうとしていることを実感し、中国は世界の一員になりつつあるとの確信を得た。今回の訪問では次なる40年の交流の足がかりをつかめたのではないかと思う。
  • ○商務部等との懇談では、サービス業の高度化に向けた取り組み強化への意気込みに加えて、中国の地下街開発や介護分野での協力が両国に利益をもたらす分野であるとの共通認識も得られた。会員企業には、今後中国のそうしたナマの情報を伝えていきたい。
  •  海外活動 2012年7月1~7日 関西財界訪中団
  • ○そしてもう一つの成果は、これまで深い付き合いを重ねてきた華人美食促進会のお招きで訪れた中国・承徳市での交流だ。席上、皆さんから日本の厨房機器や食券販売機など自社のレストラン運営に役立つ機材購入の希望を伺った。そこで早速、9月12日から大阪で開催される大阪国際見本市委員会主催の2012フードテックに参加するよう働きかけたところ、尖閣問題などで揺れる政治情勢の渦中となったが20名のツアー来日が実現した。一行の来阪時には、見本市委員会の会長として自ら案内役を買って出た。
  • ○こうした訪問は、我々在阪企業にとっても食ビジネスをPRできる絶好の機会だ。展示会では、外食・中食設備機器、包装機械・充填機器・容器、POSレジ、表示ラベル作成、計量機、生ゴミ処理装置、排水処理装置、汚泥処理装置、水処理、リサイクル機器、エネルギー有効利用システム、衛生・清掃用品と何でも揃うのが強みだ。今後大きな商談がまとまることを期待している。
  •  訪問記録 2012年9月12日 フードテック2012