佐藤会頭の眼~講演録
Chairman’s Eye with you

2015年7月6日(月) 大阪大学豊中キャンパス

「ひらパーから関西を考える」


 関西の私鉄5社の輸送人員は、平成2年をピークに右肩下がりとなっています。日本も少子高齢化社会を迎えて通学客は減少、また生産年齢人口が少なくなり、東京への一極集中が拍車をかけて、大阪・関西は人口も経済も右肩下がりが続いています。私が社長に就任したのは、平成13年でした。バブル崩壊後のデフレで不動産価格が下落、運賃値上げは平成7年を最後にその後据え置きですから、平成9、10年には経営は困難に直面していました。

008.png そこに、国際会計基準の導入です。負の遺産の処理を迫られ、社長就任を機会に一挙に膿を出し、株主配当ゼロとしました。私鉄経営冬の時代です。私鉄各社では遊園事業を廃止するところが出てきました。負の処理が遅れれば遅れるほど、経営の足を引っ張ることとなりますから、当然であります。次々と有名な遊園地が閉鎖となりました。やめることは良いことだ、いつまでも赤字経営を続けることは経営上問題だ、というのが主流の考えでありました。私も二桁以上の子会社や事業を見直し、撤退をいたしました。足を引っ張っており今後のグループ経営の範疇にはない事業が対象となりました。しかし、撤退を一時決断して撤退せずに良かったという部門もあります。赤字のたれ流し事業もいろいろで、経営のまずさに起因するものがあれば、どんな優秀な社員をトップに持ってきても、いっときは良くなっても将来性のないものもあります。その見極めが難しいのです。