佐藤会頭の眼~講演録
Chairman’s Eye with you

2014年9月4日(木) 国際観光文化フォーラムin京都

「USJが示すこと」

  • その3(眠れる資産を掘り起こせ)

 さて、今でこそ人気のUSJですが、これまでは持てるポテンシャルに無関心でありました。しかし現在では、外国のお客様も多く、大いに注目されております。このように大きなポテンシャルを秘めた眠れる資産は他にないか、それを掘り起こすことが大切であります。

 そんな中、真っ先に思い浮かんだのは大阪を代表する建造物大阪城であります。天守閣への来場者数を見ますと年々増加しております。しかし、外国の方の話では大阪の強いイメージとして大阪城は挙げていませんでした。大阪城は大阪の顔として、パンフレットなどで多分に紹介されています。大阪城を知らない人は少ないはずです。なぜ大阪城が大阪の強いイメージとなっていないのか。ある調査からその答えがわかりました。


 大阪城を訪れた人の滞在時間に関する調査によると、30分未満が8.8%、30分~60分が51.4%となり、大阪城での旅行者の滞在時間は1時間以内が約6割にもなります。天守閣をバックに写真だけ撮ってそそくさと立ち去る人の多いことがわかります。次に大阪城の来場回数についての調査を見ると、驚いたことに、初めて訪問したという日本人の割合が64%もあります。一方リピート率が非常に低い。大阪の強いイメージとして大阪城が上げられていない訳がわかりました。それは、大阪城という訴求するものがあっても、中身が伴わなければ、人の心をとらえることはできないということです。初めて大阪城を訪れた日本人の割合が高いのは、宣伝が功を奏したからでしょうか。しかし、リピート率の低さは、残念ながらもう一度行ってみたい魅力がないから、と言わざるをえません。それは、先ほどの滞在時間の短さに表れています。

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 大阪城の魅力に奥行きと深みがあれば、早々に立ち去ることはありません。城内も大変広い。半日いても退屈しない、そんな風にならないでしょうか。大阪城は文化財保護法に守られています。しかし、法律で縛り、そのままで置いておくことだけが保護ではありません。活用し、利用することで貴重な文化財だということをみんなで認識するということも考えるべきです。それが生きた文化財であります。城内に劇場やホテルやレストラン、ミュージアムショップもあったら……。このように大阪城を身近に感じ取られるような工夫をすることで、歴史や文化を学ぶことができれば、文化財保護法に魂を入れることになる、そう思います。観光の分野にも規制緩和が必要です。
そんな中徐々にではありますが、新たな取り組みも始まっております。今年が2回目の開催となる大阪城西の丸庭園で開催されたモトクロス大会。こちらは来場者多数で今年5月の開催分も早々にチケットが売り切れてしまいました。

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 もうひとつ、これは昨年実施された大阪城天守閣に立体映像を投射する大阪城3Dマッピングイルミネーションの様子です。25年度は60万人を動員いたしました。今年は70万人を目標としております。今年も12月から始まりますので、皆様もぜひ会場に足をお運び頂けたらと思います。