佐藤会頭の眼~講演録
Chairman’s Eye with you

2014年9月4日(木) 国際観光文化フォーラムin京都

「USJが示すこと」

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では観光、ツーリズムの強みについて考えてみます。ツーリズムの強みは、その時、その場、その場合、つまりTPOがあるのがツーリズムの強みだと考えます。時間の流れの中では、二度と同じTPOはありません。そこがツーリズムの強みです。だから人は惜しむように、その時、その場、その場合を求めて旅をするのです。ツーリズムの本質をそう理解しています。

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 では、関西にはどんなTPOがあるのでしょうか。

 来年と再来年は大阪の陣400年。大阪城を中心にいろいろな催事が企画されています。今年はプレ大阪の陣として、上々の人出となると思います。大阪城だけではありません。東京オリンピック開催の前年2019年にはラグビーワールドカップがあります。経済波及効果は1680億円~2780億円と試算されております。また、東京オリンピックのムードは、そろそろ関西にも押し寄せてきます。そしてオリンピックの翌年。ワールドマスターズゲームズを関西広域連合が中心となって誘致しました。海外からお越しになる人は、3万人以上と予想されて、経済効果は140億円と試算されています。私たちは、世界規模のスポーツの祭典が3年続いて日本で開催されることを強く意識してかかるべきです。「スポーツツーリズム」であります。そして、この絶好の機会を利用して日本を大いにPRし、以降の観光客誘致に努めなければいけません。2021年で終わりではありません。

 加えて、スポーツ文化ダボス会議が2016年に日本で開催されることが決定しており、関西も開催候補地となっています。ここは官民一体となって受け入れに向け取り組んでいく必要があります。

 この他にも次々とイベントが控えている関西ですが、とにかく今年はハリーポッターという超大型イベントで、USJは年間1,200万人以上の入園者を予想しています。これに季節ごとに特色を生かした演出が加わるでしょうから、TPOは多種多彩なバリエーションを持つことになり、リピート率も向上します。

 TPOを意識した戦略の有効性は、25年度のUSJ入場者が1,000万人を超えたことで証明されます。当初、東京ディズニーランドが30周年を迎えるので、USJでは入場者を控えめにみていましたが、1,050万人と前年を上回る結果となりました。そしてハリーポッターが開園した今年こそ、さらなる実力発揮の時です。予想の1,200万人を大幅に上回るゲストをお迎えするのではないでしょうか。USJの来園者ですが、海外を含めて関西以外から来られる方が80%を超えると予想されております。宿泊先は大阪だけでは対応できません。宿泊先の供給が間に合いませんから、周辺都市への好ましい波及効果が生まれます。

 この機会を活かすべく、周辺ホテルも取り組んでおります。例えば修学旅行客が減って夏場が閑散期となる、ある奈良県のホテルでは、「大阪で遊んだら半額」という斬新なプランを期間限定で打ち出しました。レジャー施設の入場券など、大阪で遊んだ証拠を提示すれば全室が半額になるというものです。奈良市のホテルが盛り上がる大阪から商機を呼び込もうと躍起になっている事例であります。今回のハリーポッターのようなビッグチャンスは大いに生かすべきであります。