佐藤会頭の眼~講演録
Chairman’s Eye with you

平成26年1月24日(金) 一般社団法人 近畿化学協会 平成26年新春セミナー

「魅力ある関西の文化戦略」

P1040673.JPG「香港でハローインターナショナル校を訪問」 次にここで申し上げておきたいのは何かと言いますと、自国の文化をどう語れるか、国際化とはそういうことに尽きる、と言うことであります。

アメリカのホイットマンと言う詩人の「草の葉」という詩集が岩波文庫から出ております。そのホイットマン詩集の中から、幕末に日米修好通商条約の批准のためアメリカに渡った新見豊前守ら一行の行進の姿に感銘を受けて書いた「ブロードウェイの華麗な行列」と言う詩をご存知でしょうか。

腰に刀、丁髷姿の小さな日本人は奇異に映り、野蛮に見えた筈ですが、考え深くて真摯で輝く目、堂々たる立ち振る舞い、礼儀正しい東洋のサムライにホイットマンは感動してこんな詩を書きました。ホイットマン詩集の中巻から、ご紹介します。

「西の海を越えて遥か日本から渡来した、頬が日焼けし、刀を二本手挟んだ礼儀正しい使節たち、無蓋の馬車に身をゆだね、無帽のまま、動ずることなく、きょうマンハッタンの街頭を行く。」

 このように彼は尊敬の眼をもって日本のサムライを見ているわけであります。当時のサムライはインテリ層で教養人です。日本は悠久の歴史のある国でありますから海外から入ってきた文化は自国の風土で培養され、独自の日本文化を磨いたわけで、江戸時代の支配層は、その文化を一身に身に付けていたのだと思われます。また自国のリーダーとしての使命感も恐らく身体中から発散していたのではないでしょうか。

 そこで申し上げたいのは、ブロードウェイを行く使節団による無言の威風堂々たる自信に満ちた姿は言語を超えたものだと言うことです。初めて見る日本人、東洋のサムライにもかかわらず、ホイットマンだけでなくパレードを見るアメリカ人もただならぬものを感じたのではないでしょうか。このように国際化というのは語学ができるかできないかではなく、それ以前の問題として、自国の文化をきちんと身につけて、自信を持って発信できるかどうかが問われている、ここが大切なのであります。