佐藤会頭の眼~講演録
Chairman’s Eye with you

平成26年1月24日(金) 一般社団法人 近畿化学協会 平成26年新春セミナー

「魅力ある関西の文化戦略」

CIMG6702.JPG「講演会ではフロアからの質問が相次いだ」 木村尚三郎というヨーロッパ史がご専門の先生がおられました。大変に洒脱な方でエッセイストとしても有名ですからご存知の方もいらっしゃると思います。この方の「耕す文化の時代」と言う著書があります。1992年頃に出された本ですが、大変含蓄がありますので、私の愛読書の一つです。

私は新年の年賀状で、来たる新しい年を生きるに際して気に入った一文を引用して印刷しております。今年の賀状は、この「耕す文化の時代」から引用いたしました。ご紹介いたします。

「かつて私たちは、国の中に中央というものを定めて、その中央を通して諸外国との交流を進めてきた。日本にとっての「国際化」は、常に東京という一つの窓口を通して考えられてきた。つまり、これまで「国際化」といえば、地方にはまったく無縁のものだと考えられてきた。しかし今は(1992年頃)、日本の中にあるたくさんの「地方」が、それぞれ「日本」の名のもとに自分たちの世界を広げていくときである。どんな土地にも、その土地なりの自然があり、歴史があり、伝統がある。そうした土地ごとの文化の特性に自信を持って、もっと世界に売り出していくべきである。これからは東京だってもっと地方化して、東京なりの土地の魅力を打ち出したほうがよい。」

以上を今年の賀状に印刷したのですが、字数の関係からカットした部分をご紹介します。

「そして、東京も含めた日本全体が、それぞれの土地の魅力をフル活動してそれぞれの形で未来を切り拓いていくこと、それこそが、今最も求められている「国際化」ということなのではないかと思う。」

このカットした部分こそが、結論なのであります。

少し解説いたしますと、カルチャーを日本語に訳すと「耕す」「文化」と言う意味があります。即ち文化とは耕すことで、それぞれの土地を耕して、なにわ野菜とか、京野菜とか、その土地独特の野菜を栽培されており、それを調理して楽しむことが食の文化であります。ですから、和食はそれぞれの土地の料理であり文化と言えます。そして、その土地の和食を世界に発信するのが地方からの文化戦略であり、国際化であります。耕すのが文化。その一例として和食をご紹介いたしました。私たちは、ローカルの文化を持っていることをもっともっと大切にすべきなのではないでしょうか。