佐藤会頭の眼~講演録
Chairman’s Eye with you

2013年(平成25年)8月29日(木)

「うめきたMICE特別セミナー 関西活性化の起爆剤 千客万来都市OSAKAプラン」

 近況報告のついでにもう一つ、申し上げましょう。韓国南部に釜山、光州と言う主要都市がありますが、今週月曜日(8月26日)にその両都市の商工会議所会頭が大阪に来られました。毎年、日韓商工会議所首脳会議という2国間の経済首脳会合が開かれており、日本商工会議所と韓国商工会議所の正副会頭が一堂に会し、意見交換する場でありますが、大阪商工会議所の会頭は日本商工会議所の副会頭を兼務するポジションにありますことから、私もこの会議に毎年参加しております。会議は日本と韓国で交互に開催されており、昨年は釜山市、今年は仙台市でした。ちなみに一昨年は天神祭の時期に併せてこの会議を大阪に誘致し開催させて頂いたところであります。

 このところ日韓の政治状況は厳しいものがありますが、両国の経済界は実に友好的な関係を維持しております。仙台での会議では、韓国側は石巻市の被災地も視察され、復旧復興に取り組んでいる姿に胸を打たれた様子でした。放射性物質についても安全を確認されたことで安心してお帰りになられたことだと思います。そのような大変有意義な会議なのですが、会議自体は両国の経済状況はどうだとか、大きなテーマについて意見交換をして終わってしまうものですから、何か物足らないのでもう少し地域同士の悩みとか解決策だとか成功事例を話し合いたいと思っておりました。

 そこで、今年の仙台市での会合開催の折に、何となく気心の合う釜山商工会議所の趙会頭に、もっと両地域のことについて具体的にフォローアップの意見交換をしようじゃありませんか、昨年の釜山での開催ではお土産に釜山名産の韓国海苔を頂戴したけれど、両国の海苔で太巻き(お寿司)を作り、どっちが美味いか、大阪で対決をしてはどうか、と冗談交じりに持ちかけてみました。そこに、釜山の海苔より光州の海苔の方がおいしいと光州商工会議所の朴会頭が乗ってきて、さる26日(月)にお二人が関空にやって来たという次第です。

 当日は、もちろん海苔対決だけではなく、会議を開いて大阪、釜山、光州の観光事業についてそれぞれ具体的な事例紹介をし、発展系の意見交換を致しました。その後海苔対決、太巻き対決を行ったわけで、どちらが勝ったかはご想像におまかせしますが、海苔の文化は日本の発明だそうであります。もちろん韓国にもゴマ油を塗った海苔などもあるのですが、海苔そのものを出すのは日本が最初だそうで、韓国が日本の良いところを学んで取り入れたわけであります。

 また懇親会を行った道頓堀の回転寿司店ではマグロの解体ショーを行ってもらいましたが、両会頭さんは盛んにカメラで撮影しておりましたから、ずいぶん珍しかったのでしょう。韓国のマグロはほとんど冷凍で生での解体はノウハウがないとのことです。解体ショーは堺の刃物があってのことですが、これも日本の発明でありまして、韓国のみならずマグロが取れるベトナムでもこうした解体時の加工処理技術はまだ普及していないようで、日本の食文化は随分進んでいるなと改めて実感したところであります。

 コングレの社長さんが枚方のご出身ということでもう一つエピソードを申し上げますが、光州は昔の百済の国に属し、論語と漢字を日本に伝えたと言われている王仁博士はその光州出身です。王仁博士のものであると伝えられているお墓が枚方市にありますから、大阪と光州の関係は昔も今も深いと申せます。

 日韓商工会議所首脳会議は、来年韓国での開催の順番で、済州(チェジュ)島で首脳会議が開催されますから、近くにある光州に行く約束をいたしました。今後の両都市の交流拡大に向けて、関空と光州を結ぶ直行便があっても良いのではないか、チャーター便から始めてはどうか。そういう意見も出て参りました。

 どうでしょうか? 出会いとか会議は継続性、深掘りが大事である、食の果たす役割は極めて大きい、困難な政治状況を乗り越えるのは民の力である。そんなことを学んだ気がします。MICEを考える場合の大きなヒントを頂いたように思われます。

以上、関西活性化の起爆剤となる話題をお話し、またMICEのエッセンスを申し上げました。
20130829うめきたMICE特別セミナー(73P+8P)[完成版]_ページ_78.jpg「日韓商工会議所首脳会議」20130829うめきたMICE特別セミナー(73P+8P)[完成版]_ページ_79.jpg「大阪でのフォローアップ会合」