佐藤会頭の眼~講演録
Chairman’s Eye with you

2013年(平成25年)1月31日(木) 新春トップセミナー講演

「大阪の産業振興と街づくり」

  • その3(訪問先から学んだこと)

○これらの訪問先から様々なことを学んだ。以下をご紹介したい。

①常識のワナに捕らわれないこと。

 京阪電鉄が経営するホテル京阪ユニバーサルタワーの利用者数の数字を取り上げたい。昨年は尖閣問題もあり中国からのインバウンド客は減少している。だが、ただ困ったというだけでは駄目だ。今、我々はタイ、シンガポールなどからの訪日客数が増加に転じていることに着目している。こうした変化の芽に気付くことが大事。変化は変えられないということだ。変化の先を進むことだ。

 昨年、中国美食協会(レストラン経営者)などの一行が、鳥取県を訪問した。これまでの観光ルートは成田や関空などの空路を使った太平洋ベルトルートが常識になっている。ご紹介した日本海文化圏は、一行にとっても新たな日本の魅力発見となり、大変喜ばれた。これは常識を打ち破り成功した事例。鳥取県は平井知事も熱心だ。

②怖いのは文化の空洞化

 おもてなし文化を日本から学ぶ中国。昨年夏に中国の北京市や承徳市に行った際、伊勢海老の姿造りや鉄板焼きを素早くメニューに取り入れており驚かされた。やがて日本から学ぶことはなくなるだろう。文化は絶えず創り出すことが重要。これがなくなれば中国からの観光客も日本に来なくなる。

 アメリカ・ニューヨークにあるマンハッタンの広告塔。昔は日本企業が数多く広告を出していたが今は韓国や中国企業。日本のプレゼンス低下は明白。加えて、ユニバーサルスタジオ、ディズニーランドは既に日本に進出。日本はアメリカナイズされてきており相対的にアメリカに対する魅力が低下。その結果、米国を訪問する日本人観光客の減少に繋がっていると考えられる。

 今年2月には関西国際空港発着の北米路線の強化を目指してシアトル等を訪問する。関係者と懇談し周辺地域を含めた新たな冬の観光魅力などを見いだして来たいと考えている。昨年9月にデルタ航空の本社があるアトランタを訪問。今回、関空-シアトル便の冬季需要減少への対応策をフォローアップし、デトロイトー関空便など新たな路線就航に繋げていきたい。