佐藤会頭の眼~講演録
Chairman’s Eye with you

2013年(平成25年)1月31日(木) 新春トップセミナー講演

「大阪の産業振興と街づくり」

CIMG6935.JPG「トラストメディカル社訪問の様子を紹介」 
□㈱フセラシ http://www.fuserashi.com/
一番最近訪問したのが東大阪商工会議所の会頭企業であるフセラシ社の三重工場。ネジの総合パーツメーカーだ。嶋田会長からは、取引先である自動車メーカーのグローバル化に対応して海外生産で効率を高め、1ドル75円の円高にも耐えうる経営を行っているとの説明を受けた。具体的にはスタンダード商品はアジアで、高品質部品は日本国内で製造。安全は日本から作り出すとの理念で経営。工場内に改善提案とスキルアップを導入し日々進化している点に感銘を受けた。

□トラストメディカル㈱ http://www.trustmedical.jp/
新規事業への挑戦事例を紹介したい。トラストメディカル社は元々プラスチック成形事業が主体だ。そこから児玉社長が医療機器製造に進出を決断。そのため大商が実施している次世代医療システム産業化フォーラムを活用して当初5年間は知識の習得や技術の集積に注力。その後インフルエンザ菌の特定に役立つ遺伝子解析装置などの製品化に成功。現状の課題は、試作品→製品化→販売開始まで時間がかかりすぎることだ。リスクマネーへのベンチャーキャピタルの支援が十分でなく、資金繰りに苦労されている。融資ではない投資が必要。経済産業省などにも支援の在り方をご相談しているところだ。

□コドモエナジー㈱ http://www.codomo-e.co.jp/
同じく挑戦事例を紹介したい。コドモエナジー社では有田焼の伝統技術を使って蓄光発光タイルを開発。用途は非常用誘導灯など。岩本社長は東日本大震災を機に川内村に工場を建設し福島県の復興に役立ちたいとの思いで取り組んでいる。同社の場合もかなりの金額の先行投資が必要だが、つなぎ資金の手当がなかなか出来ない。こうしたやる気のある事業家をどう支援するかが課題だ。

□マッスル㈱ http://www.musclecorp.com/index.php
マッスル社は上海万博で大手企業が尻込みした日本館の壁よじ登りロボットを製造した中心企業。そのよじ登る姿が中小企業のチャレンジ精神そのものだ。同社の玉井社長が新たに取り組んでいるのが医療介護ロボット。デザインはプロダクトデザイナーの喜多俊之氏だ。展示会に出展したところ既に多くの引き合いが来ており、今年の秋以降には販売開始の予定と聞いている。これから病院や介護施設などでのトライアルが始まる。規制緩和による早期承認もカギだ。お手伝いしていきたい。

□㈱エンジニア http://www.engineer.jp/
同社は元々工具メーカー。高崎社長が顧客アンケートの最下位だったニーズに注目し、潰れたり錆びたネジを容易にはずせる工具「ネジザウルス」を発明。ペンチの先端にこれまでになかった縦溝を入れたのが特徴だ。デザインも工夫し国内の消費者市場でヒット商品となっている。バンパイアの名前でアメリカ市場にも進出された。既成の常識にとらわれない取り組みが成功の秘訣だ。

□富士インパルス㈱  http://www.fujiimpulse.co.jp/
富士インパルスの山田社長は自社のベトナム進出体験から、現地の工業団地のレンタルスペースに中小企業が共同で進出する仕組みを提案し活動している。こうした新しい取り組みを進めるには資金面での苦労が多い。6月に策定される成長戦略に向けて直接声を聞いてもらう努力も必要だ。昨年のベトナム訪問の折には、サン国家主席との懇談に同席してもらいアンケートに基づく進出時の要望を行った。