佐藤会頭の眼~講演録
Chairman’s Eye with you

2012年(平成24年)11月17日(土) 立命館大学経営学部50周年記念式典講演

「千客万来都市OSAKAプラン~経営から歴史を学ぶ」

CIMG5746.JPG講演する佐藤会頭  立命館大学経営学部50周年、真におめでとうございます。記念式典にお招きにあずかり光栄に存じます。一方で、大阪商工会議所のビジョンである千客万来都市OSAKAについても講演のご依頼を受けました。ご当地京都は大変元気が良いのに対して大阪の経済は地盤沈下のままだと思われていて、経営学部としては京都より大阪の方が経営の事例研究になる、ということなのでしょうか。もし、そうだとしたら、皆様のご期待を裏切ることとなり、大変申し訳なく思う次第であります。実は大阪は大変元気が良い、と私は思っておりまして、本日は脈々と流れている、元気な大阪の遺伝子について宣伝に参ったのであります。

  今月5日、第18回優秀会社史賞選考委員会から、京阪電鉄の100年史である「京阪百年のあゆみ」が優秀会社史賞に選ばれました。平成22年から平成24年までに発刊された日本の企業の社史137冊の中で、4冊、つまり4社が優秀会社史の栄誉に輝きました。しかも、当社ともう一社の社史がすんなりと一次、二次の選考をクリアしたということですから、これは会社として大変喜ばしいことです。私は編集の時CEOを務めておりまして、CEOとして社史の巻頭書きをいたしておりますので、私個人としても大変名誉なことだと思っております。

  今回の優秀賞の選考の基準は7つありまして、そのうち、私が注目したのは、社史から歴史の流れを読み取れるか、という基準項目でありました。企業には、その企業ならではの歴史を流れる太いストーリーがあるもので、社史から、そのストーリーを読み解くことに社史の面白さがあり、我々は歴史を学ぶことができると思うのです。賢者でなくとも、経験より歴史に学ぶことが重要です。

  賞に輝いたというので、この機会に京阪の50、70年史を引っ張り出して流し読みしてみました。これから分かったことですが、明らかに発刊当時の空気というものが経営に反映されておりまして、社史の比較研究は経営学の対象になると思いました。どうか、本学の経営学部におかれましても、新しい研究分野として社史研究学をお取り上げいただきたいものです。

  本日の講演に際して、私は社史からヒントを授かり、歴史を流れるストーリーについて少し、考えてみました。歴史に学び、歴史を流れるストーリーを知れば、閉塞感にある現在を打開する手掛かりみたいなものを掴めないか、そこまでは無理でも、何か勇気をもらえるのではあるまいか、と考えたのであります。その意味で、本日は考える機会をお与えいただき、大変感謝いたしております。