佐藤会頭の眼~講演録
Chairman’s Eye with you

2012年(平成24年)10月1日(月) 大阪経済大学80周年記念講演

「大阪を元気にするために」

 少しだけ、何となく可能性が見えている取組みの一端をお話しいたします。

 この7月に関空と伊丹が統合して新関空会社が誕生いたしました。補給金に頼る経営から訣別して自力でやっていくことが求められています。と言うか、私たち、大阪・関西は自力で事業採算性を確保します、と自らが宣言した訳です。幸い、空港関係者の自主的な努力によってLCCの拠点になってまいりました。

 貨物輸送の取扱いを見ても、扱い高が増加傾向にあるばかりか輸出超過の好ましい構造なっています。関空は大大阪の時代の築港と同じ役割を果たしつつあると見て、大商としても、旅遊都市の玄関口の活性化に努めているところであります。その一つが、ゴールデンルートと呼ばれている東海道線ルートではない、日本海文化圏のルート開発であります。

 日本海ルートの開発は、昨年から石川県、鳥取県両県のルートが定着してきました。大手旅行会社の力に頼らない、手作りのメニューが確実に中国の富裕層の心を捉えております。これまでの東海道線ルートだけが日本と思っていたが、こんな多彩な歴史文化があるのか、と新鮮な驚きを与えています。これに京都、福井のメニュー開発を加われば、関空から入り、関空から出ると言う関西だけの自己完結型とのツアーが完成いたします。尖閣問題で揺れる昨今ですが、その最中の9月にも来ていただきました。
 
 その上、九州新幹線が開通して関西との結び付きが強くなった九州との西のルート開発が加われば、空、陸の拠点である大阪・関西の果たす役割は一層大きくなるものと思います。ウメキタも、そう言う視点で、関西全体の拠点の開発として取り組めば宜しいのではないでしょうか。

メディカル、環境・新エネルギー産業につきましても同様であります。関西は、イノベーション国際戦略総合特区に認定されました。大阪商工会議所はメディカル分野に早くから取り組んでまいりましたが、この特区認定を好機ととらえ、医療機器開発に関して産学連携マッチング支援を全国に発信したところ、多数の応募がありました。国の予算がついて、選定された企業、大学が既に研究開発に着手しておりますが、全国に呼びかけ、全国から応募があったと言うことに大きな意義があります。

 大阪・関西にはまだ吸引力があると言うことであります。全国からの参加者のある試みはまだありまして、例年秋に実施しております、「買いまっせ、売れ筋商品発掘市」ですが、本年は全都道府県から参加し、参加者の数も過去最高なら商談件数も過去最高でした。商都大阪は健在であります。千客万来都市のビジョンは、こうした個別の努力の積み重ね、強みを生かす工夫、仕掛け作りによって、全員参加で「大大阪」「大関西」を実現してまいりたいと考えております。