佐藤会頭の眼~講演録
Chairman’s Eye with you

2012年(平成24年)10月1日(月) 大阪経済大学80周年記念講演

「大阪を元気にするために」

2012.10.1_大阪経済大学_ページ_03.jpg関西大手私鉄 輸送人員の推移(クリックで拡大表示) だが、その都会も今や、危機にある。大阪の疲弊が言われてからずいぶん経ちます。大阪都心部をターミナルとする関西の大手鉄道会社の利用人員は平成2年をピークに右肩下がりです。郊外へと拡がった住宅団地から都心部へ向かう人が減っているからです。

 人口減少社会の到来と並んで東京への企業本社移転などが原因としてあると思いますが、根本的な原因は、この20年間GDPが横這いのままであるということにあるのではないのでしょうか。つまり、経済が全然成長していない。規模の拡大がない。高度成長期なら、規模の拡大があって、伸びゆく経済を支える働き手が都市近郊に集まり鉄道利用客も右肩上がりでしたが、今はそれがない。加えて、東京への一極集中です。経済のパイが同じままだから、東京へ吸い寄せられては、その他の都市が疲弊するのは当たり前です。東京だけが繁栄し、その他の都市は疲弊。大変イビツな日本列島となりました。それが良いはずがありません。東京が元気でも、東京が日本全体を元気にしてはおりませんから。

 ところで、大阪の疲弊は今に始まったことではなく、大阪の繁栄のピークは万博が開催された昭和45年だった、以後衰退の歴史だという説があります。現下の日本はこの20年間GDPは500兆円のままであり、現下の日本の停滞は既に先行して大阪に現れていた、大阪は日本の縮図である、と敷衍のおまけ付きです。

 そう言われるなら、ここは開き直りましょう。それならば、大阪は先行して繁栄モデルを示すことです。そして大阪が繁栄を取り戻せば、日本の停滞にストップが掛けられる。東京一極集中現象が大阪などその他大都市と東京との格差をもたらし国土の均衡ある発展を阻害しているということは放って置いて、大阪・関西は独自の方策で繁栄の道を歩めば良いと思います。どうすれば良いのか。東京の真似をする。これは絶対良くありません。大阪の繁栄モデルは、まず、東京のモノマネをしないことです。