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T.提言・要望活動の強化

景気対策、中小企業対策等に関する政策提言・要望等

・景気対策等に関する要望
 本年度のわが国経済は、世界的なITバブルの崩壊などから輸出や生産が大幅に減少し、民間設備投資や個人消費も低調に推移した。こうした需要動向や安価な輸入品の増加等を反映して物価下落が続き、デフレ・スパイラルが懸念される事態に陥った。
 このような情勢のもと本会議所では、経済財政政策担当大臣、財務大臣、日本銀行総裁などとの懇談会をはじめ、機会あるごとに政策当局に対し、構造改革の実施による持続的な景気浮揚基盤の整備や中小企業対策の拡充などを強く求めた。
 4月には小泉新内閣の発足を機に、構造調整の推進に伴う摩擦に適切に対処するとともに、疲弊した地域経済の再生をはかるため、先に策定された「緊急経済対策」の実効性の確保、中小企業金融対策や雇用対策の充実、大都市の再生促進などの要望をとりまとめ、政府はじめ関係機関に建議した。
 この結果、6月には「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」が策定され、本格的な構造改革に着手されることになった。また、景気の悪化に対処するため、10月には中小企業対策や雇用対策を柱とした総額3兆円規模の第1次補正予算、14年2月には需要喚起に向けた総額2兆6,000億円を超える第2次補正予算が編成されるとともに、不良債権の円滑な処理促進を柱とする「早急に取り組むべきデフレ対策」がとりまとめられた。

・景気動向等関連調査の実施
 本会議所が行う政策提言などの参考にするために各種調査を実施した。国内景気や企業経営動向について経営者の判断を把握するため、(社)関西経済連合会と(社)大阪工業会と共同で四半期毎に「経営・経済動向調査」を行った。また、アンケートによる「不良債権処理に関する調査」「構造改革を促す経済政策と最近の金融環境の変化について」「日本経済の見通しについて」「産業競争力の強化について」意向把握を行ったほか、ヒアリングによる「大阪の業種別企業動向調査」を四半期毎に実施した。

・平成14年度税制改正に関する要望
小泉首相が掲げる構造改革がスタートするにあたり、税制は構造調整に伴う摩擦の緩和措置としてだけではなく、改革そのものを誘導する有力な手段であるとの認識のもと、「平成14年度税制改正に関する要望」をとりまとめ、9月に政府はじめ関係機関に建議した。具体的には中小企業の経営革新の支援をはじめ、雇用の流動化と労働力の再配置、直接金融市場の活性化、土地流動化対策、さらには大都市再生と地方財政の健全化などを柱に25項目にわたって要望した。
 その結果、同族会社の留保金課税の見直し、設備投資促進税制の拡充、事業承継税制の充実、ストックオプション税制の拡大、連結納税制度の導入、株式譲渡益課税の見直しなどが実現した。一方、課税ベースの拡大による所得税率の引下げ、土地譲渡益課税の軽減、不動産流通課税の軽減、地方税源の充実などは見送られた。

・平成14年度中小企業対策に関する要望
 景気が後退色を強める中で、経済再生の足かせとなっている構造問題への対応を急ぐ必要がある一方で、調整に伴う摩擦を緩和する施策の実施が求められた。とくに金融機関による不良債権処理の展開次第では、中小企業や雇用などへの深刻な影響が予想されることから、金融・雇用面でのセーフティーネットの整備を柱とする「平成14年度中小企業対策に関する要望」を5月にとりまとめ、政府はじめ関係機関に建議した。また、11月には、大阪府商工会議所連合会など4団体共催で、塩川正十郎・財務大臣を迎え「中小企業再生大阪府大会」を開催。中小企業の活力が削がれることのないよう万全の政策的支援を求める決議を採択した。さらに、大村秀章・経済産業大臣政務官らの出席のもと、12月に大阪で開催された「1日中小企業庁」でも、重ねて要望を行った。その結果、中小企業対策費として第1次・第2次補正予算あわせて2,660億円、14年度予算で1,307億円が計上された。

・法人二税の超過課税の延長について
 大阪府では平成14年10月末で期限切れとなる法人府民税法人税割と法人事業税の超過課税をさらに3年間延長する方針を打ち出した。これに対し大阪府商工会議所連合会(会長:田代和・本会議所会頭)は法人二税の超過課税はあくまでも大都市圏特有の財政需要を賄うための臨時・過渡的な措置であり、超過課税の延長が常態化していることは極めて異常であるとの認識のもと、2月に、法人二税の超過課税の延長を回避すべきとの意見書を大阪府知事に建議した。

・名京阪神4商工会議所による中小企業対策要望
 7月に名古屋・京都・神戸の各会議所と共同で「平成14年度中小企業対策に関する要望」をとりまとめ、政府はじめ関係機関に建議した。5月に行った本会議所単独の中小企業対策に関する要望事項に加えて、小規模企業対策予算の拡充、中小商業のIT化支援、ものづくり支援の拡充、中小商業活性化支援の強化、阪神・淡路大震災による被災地支援などを合わせ、全59項目を要望した。
 また7月31日には、恒例の名京阪神4商工会議所中小企業懇談会を大阪で開催。13年にオープンした「大阪産業創造館」と「大阪企業家ミュージアム」を見学した後、山根啓・中小企業庁事業環境部経営安定対策室長をゲストに迎えて、「不良債権処理が中小企業に及ぼす影響とセーフティーネットの整備」をテーマに、意見交換を行った。

・外形標準課税の導入反対運動
 平成12年11月、旧自治省から法人事業税の課税標準について「所得」のみから「所得」と給与額(賃金)を主とする「事業規模額」(外形標準)を併用する案が提示されたが、経済界の強い反対によって平成13年度導入は見送られた。
13年11月には旧自治省を引き継いだ総務省から外形部分について「事業規模額」の割合を引き下げ、「資本割」を併用する修正案が示された。これに対しても本会議所はじめ経済界では、経済や雇用に重大な影響を及ぼし、また担税力のない中小企業等の発展の芽を摘む恐れが強いとして強力に反対した結果、平成14年度導入は見送られたが、与党税制改正大綱において「今後、各方面の意見を聞きながら検討を深め、具体案を得たうえで、景気の状況等も勘案しつつ、平成15年度税制改革を目途にその導入を図る」とされた。この事態を受けて、全国主要経済団体で組織する外形標準課税導入反対協議会(幹事団体:日本商工会議所、(社)経済団体連合会)では全国的な導入反対署名活動を実施することとなり、本会議所でも会員企業などに対し、広く署名協力を呼びかけることになった。

2003.4.1更新
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