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平成12年度の本会議所事業

 平成12年度のわが国経済は、秋口までは緩やかな回復基調を示したものの、米国経済の急減速などにより年明け以降、再び停滞色が強まった。こうしたなか、大阪・関西経済は全国に比べて回復感が乏しい厳しい状況が続いた。
 このため本会議所は、景気の自律的回復に向けた政策運営の継続、中小企業対策の拡充、税制など各種制度のあり方などに関して、具体的な提言・要望活動を行った。その結果、10月にはIT化推進、環境問題対応、高齢化対策、都市基盤整備を柱とする事業規模約11兆円の日本新生対策が決定されるとともに、11月には総額4兆7,800億円を超える補正予算が成立し、また平成13年度予算は景気に配慮した編成がなされた。さらに、公定歩合は3月には史上最低0.25%に引き下げられたほか、量的金融緩和により事実上のゼロ金利政策が復活した。景気回復が遅れるなか、とくに厳しい状況におかれている中小企業に対しては、平成12年度補正予算と平成13年度予算を合わせて過去最大規模の9,358億円の対策費が計上され、信用補完制度の一般無担保保証限度額の引き上げやセーフティネット貸付の拡充などが実現した。
 法人事業税の外形標準課税化については、その導入反対を訴えた結果、平成13年度の導入は回避され、継続検討となった。一方、大阪府における大手金融機関を対象にした外形標準課税、いわゆる銀行税導入の問題については、税の公平性、金融システムや景気への悪影響が懸念されることから、府知事などに対し導入反対の陳情を精力的に行ったが、5年間の時限措置として実施されることになった。また、9月に示された大阪府の税制改革素案については、基本的な考え方やプロセスなどに問題がみられることから、大阪府商工会議所連合会として府知事に対し慎重な対応を要望したが、3月議会において法人府民税均等割の超過課税は一部原案修正のうえ3年間の時限措置として決定された。

 このような提言・要望活動を行う一方、本会議所は大阪経済の新生をめざして、「交流から創造へ」をスローガンに、「産業」、「人」、「都市」これら3つの側面から以下の事業を展開した。
 第一に、産業力の創造・強化に向けた取り組みとしては、西暦2000年を「中小企業新生元年」と位置付け、とりわけベンチャービジネスの育成・振興はじめ、意欲と能力に溢れた中小企業の経営革新に資する事業を展開した。
 ベンチャービジネスの育成・振興では、アイデア段階から創業までの相談に一元的に応える「大阪中央地域中小企業支援センター」を正式に運営開始するとともに、有望なベンチャービジネスとベンチャーキャピタル等が組成するファンドを結びつける「大阪エンタープライズ支援機構」を4月に設置した。同機構の中心的事業となる「情報家電&ウェブ・携帯ビジネス振興フォーラム」では、年間41件のビジネスプランが発表され、このなかから2件のベンチャー企業が設立された。また、今後有望なバイオ分野のベンチャーの発掘・育成のため、大阪府、大阪大学等と「バイオビジネスコンペJAPAN」を実施するとともに、企業経営者にふさわしい力量や企業倫理観を備えた起業家を発掘するため、本会議所議員有志による「大商起業家発見塾」を10月に設置した。あわせて、ベンチャーの国際商談会「グローバル・ベンチャー・フォーラム(GVF)2000」を開催、延べ466件の個別商談・情報交換が行われた。
 中小企業の活力増進に資する取り組みでは、円滑な事業承継や機動的な事業展開を支援する「非公開企業のM&A市場」を運営し、新たに2件が成約した。また、中小企業の販路開拓や技術力向上を支援するため、「いきいきおおさか中小企業フェスタ2000」(11月)、「産学官技術移転フェア」(11月)などを継続開催した。さらに、中堅・中小企業の環境問題への取り組み支援のため、中堅・中小企業向けの「ISO14001認証取得支援事業」を継続実施するとともに、経営幹部を対象に「環境経営講座」を開講した。このほか、小規模企業の体質強化にむけて、経営改善普及事業も取り組みを強化した。
 次世代産業の育成・振興では、福祉産業の振興に向けて「福祉産業フォーラム・大阪2001」を3月に開催するとともに、高齢者向け生活支援サービスの情報交換の場として「ケアサービス事業者交流会」を設置した。また、「大阪におけるキャラクタービジネス展開についての研究会」や「クリエーターを応援する企業グループ」の組織化を通じて、映像・ビジュアル分野のビジネス振興にも取り組んだ。このほか、ITの活用により中小企業の活性化をはかる「インターネットビジネス促進のためのバーチャル・インキュベータ事業」などを開催した。
 ネットワーク事業の強化では、中小企業のeビジネスを支援する「ザ・ビジネスモール」を本格的にスタートするとともに、秋以降中小企業が参加しやすい電子市場を順次立ち上げた。本年度末で登録データは約23万件に達しているほか、同モールが直接運営する2つの市場と4つの外部提携市場が立ち上がっている。
 国際経済交流の促進については、15回目を迎えた世界ビジネス・コンベンション(G-BOC2000)では、インターネットを活用した商談案件の情報提供に努めたところ、「成約」または「成約の可能性あり」の商談件数が前年度のほぼ倍になるなど成果を上げた。また、「米国経済使節団」(7〜8月)と「中国・カンボジア経済視察団」(9月)を派遣するとともに、「第4回関西/西部カナダ・ビジネスフォーラム」(10月)を開催するなど、世界各国との連携を強化した。

 第二に、人材の創造・育成の面では、「大阪企業家ミュージアム」を平成13年春に開館すべく準備を進めた。主展示のため、明治期以降大阪を舞台に活躍した企業家約100人を紹介するパネル等を製作するとともに、映像によって企業家の事績やプロフィールを紹介する企業家デジタルアーカイブならびに関西企業家ライブラリーの製作を進めた。同時に、人材開発パイロット事業として、小学生の出店体験事業(キッズ・マート)、高校生のインターンシップなどを実施した。
 また、会員企業の経営革新と人材育成に資するため、各種講座・講習会を充実実施した。なかでも、中小企業のIT化対応人材を育成するため、「パソコンカレッジ」などの講習会を活発に開催するとともに、本会議所ビル1階会員ロビーに「大商オープンカレッジ」を設置して各種「OAセミナー」を実施した。このほか、「大商人材情報プラザ」の運営、「職場体験講習事業」の実施、「人材情報交流会」を通じて人材の流動化支援を行うとともに、新規学卒人材の確保を支援する「大商就職フェア2001」を開催した。

 第三に、都市力の創造・強化の面では、世界観光機関(WTO)の大阪総会(平成13年9月開催)に向けて、地元としての協力準備を本格化した。一方、国際集客都市にふさわしい大阪の基盤となる関西国際空港については、2期事業を推進するため政府関係機関に対して精力的に要望活動を行うとともに、同空港の運営のあり方等について地元としての検討に積極的に関与した。あわせて、同空港の利用促進活動を展開した。
 魅力ある都市づくりとしては、大阪の顔である御堂筋の活性化方策を検討するとともに、大阪の知名度向上や集客力強化につながる2008年オリンピックの大阪招致実現に向けて地元自治体や経済団体と協力して、招致活動を展開した。また、平成12年2月に関係機関に働きかけて設立した「大阪ロケーション・サービス協議会」では、フィルムコミッションの国際協会に加盟するとともに、15作品にロケ協力するなど活動を強化した。

 以上の取り組みを展開すると同時に、活動の基盤となる組織の力を強化するため、「新入会員の集い」を開催し会員相互の交流を促すとともに、旬刊紙「大商ニュース」、季刊誌「チェンバー」、「大商メールマガジン」、ホームページの充実や電子メール配信サービスを活用して各種情報の発信・提供活動を強化した。また、会員サービスの一層の拡充をはかるため、各種共済事業、PL団体保険制度、がん保険制度、各種健康管理事業の普及活動を行う一方で、新たにアウトソーシング型福利厚生事業「商工会議所CLUB CCI」や顧問弁護士紹介制度を開始した。この間、会員増強運動を展開し、1,648件の新規加入があったものの、長引く景気低迷により退会が増え、年度末の会員総数は36,339にとどまった。

 本年度は上記を中心に以下の事業を行ったが、各部会長、各委員長より、本会議所定款第53条、第58条、第62条の規定に基づきそれぞれ会務報告があった。


主要事項

〔4月〕

・ 堺屋経済企画庁長官との懇談会を開催
・大阪中央地域中小企業支援センターの正式運用開始
・大阪エンタープライズ支援機構を設置


〔5月〕

・大商オープンカレッジを開講
・平成13年度中小企業対策に関する要望を建議
・「大手金融機関に対する外形標準課税条例案について慎重審議」を要望
・アジアの中小企業育成のため専門家を派遣
・大商就職フェア2001を開催
・外国人留学生の採用に関する調査を実施
・顧問弁護士紹介制度をスタート

〔6月〕

・情報家電&ウェブ・携帯ビジネス振興フォーラムを設置
・ナスダック・ジャパンと連携し「ベンチャー・サポート・プログラム」を実施
・第7回常議員会で会員増強運動推進計画を決定

〔7月〕

・第二次森内閣に対する要望を建議
・今後の税制改正に関する要望を建議
・「社会保障制度改革についての意見」を建議
・米国経済使節団を派遣
・人材情報交流会を開催
・ケアサービス事業者交流会発足

〔8月〕

・速水日本銀行総裁との懇談会を開催
・本会議所会頭、大阪府知事、大阪市長、関西経済連合会会長による懇談会開催
・「中央地域へ首都機能移転を推進する会」総会を開催

〔9月〕

・在阪経済五団体連携強化協議会を立ち上げ
・平成13年度税制改正に関する要望を建議
・第39回名京阪神4商工会議所 中小企業懇談会を開催
・「首都機能の移転に関する緊急アピール」を採択
・「バイオビジネスコンペJAPAN」ビジネスプランの募集開始
・中国・カンボジア経済視察団を派遣
・フィルムコミッション設立推進全国シンポジウムを開催
・2008大阪オリンピック実現に向け、シドニーオリンピックで大阪をPR

〔10月〕

・宮澤大蔵大臣との懇談会を開催
・大商起業家発見塾を設置
・グローバル・ベンチャー・フォーラム2000(GVF2000)を開催
・中小企業振興月間事業を実施
・2000年世界ビジネス・コンベンション(G-BOC2000)を開催
・第4回関西/西部カナダ・ビジネスフォーラムを開催
・「ザ・ビジネスモール」にBtoB(企業間)電子商取引市場を立ち上げ

〔11月〕

・いきいきおおさか中小企業フェスタ2000を開催
・産学官技術移転フェア2000を開催
・商工会議所「CLUB CCI」事業を開始
・優良商工従業員表彰式を開催

〔12月〕

・人材情報交流プラザ2000を開催
・大阪企業家ミュージアム・人材開発パイロット事業「キッズ・マート」を実施

〔1月〕

・第二次森改造内閣に対する要望を建議
・「大阪府における税財政に関する要望」を建議
・バイオ情報ハイウェイ検討会議を設置
・世界観光機関(WTO)大阪総会地元協力協議会を設置

〔2月〕

・2008大阪オリンピック招致決起大会を開催
・クリエーターを応援する企業グループを組織化
・新規開業支援拡大セミナーを開催

〔3月〕

・首都機能移転・東京フォーラムを開催
・福祉産業フォーラム・大阪2001を開催
・新入会員の集いを開催


2003.4.1更新
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