機能性食品開発研究会 ご参加のお願い
大阪商工会議所

大阪商工会議所「機能性食品開発研究会」を母体とした
産学連携コンソーシアム及び研究開発ベンチャー企業の設立について
記者会見資料
平成14年11月22日
                              (平成15年4月修正)

1.コンソーシアム設立の趣旨
 何らかの科学的根拠に基づき健康増進機能が認められているいわゆる「機能性食品」は、世界に先駆けてわが国で研究がスタートし(1984年)、その結果、厚生労働省により特定保健用食品(1991年)と栄養機能食品(2001年)として制度化されている。しかしながら、両制度とも、疾病予防の効能を表示する内容にはなっていない。
 ヨーロッパでは、機能性食品の効能評価を目的とする産学協同の大型プロジェクト(20億円規模)が今年からすでに発足しており、アメリカでも、NIHを中心とした国家プロジェクトとして、同様の大型研究がすでに始まっている。このように、食品の疾病予防機能を表示する制度の確立と、その制度のグローバルスタンダード化を目指して、国際的に激烈な研究開発競争が繰広げられている。また、その制度に基づく疾病予防を表示する食品の開発も活発に進められている。
 食品の疾病予防機能を評価する際に有力な手法として欧米の研究機関、企業が注目しているのが、疾患発症時の人体の遺伝子レベルや遺伝子から発現する蛋白質レベルでの変化である。こうした微細な人体内での変化は、最先端のバイオ研究の成果によって把握が可能となった。
 わが国の食品業界や製薬業界においても、欧米の取組みに対抗しようと、食品の疾病予防機能の評価方法確立への関心が高まっている。
 本所はこうした業界動向を踏まえ、今年7月から、関東系企業、関西系企業あわせて91社の参加をえて機能性食品開発研究会(座長:吉川敏一京都府立医科大学教授)を開催している。
このたび、これら企業の中から実際に資金負担をして吉川教授等と共同研究を行う企業を募り、食品の疾病予防機能の評価方法に関する研究を立ち上げることとなった。本研究の成果として、食品の疾病予防機能を評価する新しい評価基準が確立されれば、厚生労働省に新たな食品認定制度の設立を働きかけることになる。
 また、本研究プロジェクトのデータ管理、特許集約、進捗管理等を行うため、吉川教授他研究者、ベンチャーキャピタル、大阪商工会議所が出資する研究開発ベンチャー企業を設立する。

2.研究プロジェクト名称
 ヒトでの疾病予防効果の評価方法の確立、及びそれを用いた機能性食品の効能評価に関するプロジェクト

3.産学連携コンソーシアムのスキーム(下図参照)


 下記の3者によりコンソーシアムは構成される。
(1) 吉川教授、大澤教授、荒井教授を中心とする研究者グループ
(2) 評価系確立を目指す共同研究企業(研究費拠出、研究開発分担)
 
評価系ツール開発企業:2000万円×5年
  調整中
評価系ユーザー企業 :1000万円×5年
  味の素、カルピス、月桂冠、サントリー、太陽化学、ファンケル、
明治製菓、ミツカングループ
  ※上記は現時点での参加確定企業。この他にも検討中の企業あり。
  今後引き続き、共同研究企業の募集を行う予定。
(3) 新設する研究開発ベンチャー企業
 
1) 会社名株式会社バイオマーカー サイエンス
2) 本プロジェクトにおける新会社の役割
疾病関連バイオマーカーのデータ集約、権利関係の調整等、
  本プロジェクトのコーディネーション
抗酸化能に関るバイオマーカーの研究開発
抗酸化以外の疾病発症関連バイオマーカーの研究開発
試験ツールの研究開発
3) 資本金  1,100万円(設立時)
4) 本社所在地  大阪商工会議所内(設立時)
5) 株主(設立時)
吉川敏一(京都府立医科大学教授)
大澤俊彦(名古屋大学教授)
荒井綜一(東京農業大学教授、東京大学名誉教授)
(株)バイオフロンティア パートナーズ
  (設立後速やかに大阪ライフサイエンス投資事業有限責任組合等に譲渡する)
大阪商工会議所 
経営陣
6) 役員(設立時)
代表取締役社長 高乗 仁
取締役       大滝義博((株)バイオフロンティア パートナーズ社長)
取締役       江副尚憲((株)バイオフロンティア パートナーズ゙技術審査部長)
監査役       児玉達樹(大阪商工会議所経済産業部長)
7) Scientific Advisory Board
京都府立医科大学教授 吉川敏一
名古屋大学教授      大澤俊彦
東京農業大学教授    荒井綜一
  (東京大学名誉教授)
8) 設立日 平成14年12月25日

*なお、本会議所から厚生労働省、農林水産省、文部科学省に研究費確保を
  働きかけており、確保できた場合は、上記民間負担研究費に上乗せする。
  確保できなかった場合は、民間負担のみで実施。

4.その他

コンソーシアムにて実施する研究内容
1. フリーラジカルによる傷害マーカーに特異的な抗体の作製および抗体チップの開発
 
2. 抗酸化酵素、抗酸化タンパク(チオレドキシン他)、抗酸化ビタミン、その他の抗酸化食品因子に特異的な抗体の作製および抗体チップの開発

3. フリーラジカルによる傷害の修復および解毒に関する酵素に特異的な抗体の作製および抗体チップの開発
 
4. 抗酸化酵素、抗酸化タンパク、修復・解毒酵素の変動を制御する遺伝子を特異的に検出するDNAチップの開発

5. 疾患動物モデルを用いた病態発現に特異的な新しいバイオマーカー(疾患関連バイオマーカー)の検出
 ・糖尿病自然発症モデル、高血圧自然発症モデル、肥満自然発症モデル 他

6. 抗酸化物質によるモデル動物の病態発現阻止時に変動する特異的なバイオマーカー(疾患関連酸化ストレスバイオマーカー)の検出

7. 疾患関連酸化ストレスバイオマーカーのヒトでの検出

8. ヒトでの疾病予防効果の評価方法の確立及びそれを用いた機能性食品の効能評価

用 語 解 説

特定保健用食品
 体の生理機能などに影響を与える保健機能成分を含み、血圧や血中のコレステロールなどを正常に保つことを助けたり、おなかの調子を整えるのに役立つなど、特定の保健の用途のために利用されることを主旨とした食品

栄養機能食品
 厚生労働省が機能表示を認める栄養成分を含有する食品。現在は、ビタミン12種類とミネラル2種類について表示が可能。

フリーラジカル(活性酸素)
 反応性の高い分子で酸化力が強く、生活習慣病の原因とされている。

抗酸化酵素
 フリーラジカルや活性酸素を消去し、無毒化する酵素

抗酸化タンパク
 フリーラジカルや活性酸素を消去し、無毒化するタンパク

抗酸化ビタミン
 フリーラジカルや活性酸素を消去し、無毒化するビタミン(ビタミンA、C、Eなど)

抗体チップ
 抗体反応を利用した特定のタンパクを測定する1cm四方のチップ

バイオマーカー
 疾病時に変化する生体内指標
 
酸化ストレス
 過剰なフリーラジカルや活性酸素によって生じる酸化的な損傷



お問合せ 大阪商工会議所 経済産業部 児玉、廣兼
TEL:06-6944-6484 FAX:06-6944-6249 hirokane@osaka.cci.or.jp



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