<カレンダー2018 掲載作品> |
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3月 |
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長谷川貞信「浪花百景 心斎橋通初売之景」 19世紀 |
藪 明山「雪景楼閣山水図皿」 19世紀 |
中村芳中「富嶽図」 18~19世紀 |
幕末維新の頃の大阪風景を描いた揃物「浪花百景」の一枚です。作者は役者や風景の浮世絵を多く描いた初代長谷川貞信(1809~79)。この錦絵は正月2日に開かれた心斎橋筋の初売りを描いたものです。いくつもの提灯がともされた中を、初荷の青物や魚、酒樽が行き交う様子を賑々しく描いています。 |
大阪で薩摩焼の上絵付工房を経営した藪 明山(1853~1934)の作品。雪の降り積もった楼閣の近くを行き交う人々は中国風の装いです。降り積もった雪をより立体的に表現するために白色の釉薬を盛り上げ、陰影の部分には金彩を施しています。 |
悠然とそびえるこの富士山は、大坂の絵師中村芳中(?~1819)の作品です。俵屋宗達や尾形光琳らは絵具のにじみを上手に画面に活かしました。彼らを慕った芳中も、この作品で山腹の墨や緑色をにじませ、それらは大胆な塗り残しの白と相まって趣のある表現となっています。 |
4月 |
5月 |
6月 |
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鴻池家伝来「紅地流水に遠山桜文様刺繍振袖」 19世紀 |
岡田玉山筆 本居宣長賛「筑摩祭礼図」(部分) 18~19世紀 |
森狙仙「桃に猿図」 18~19世紀 |
山々に桜が咲き競う春の景色を刺繍で巧みに表現した贅沢な一領です。絖(ぬめ)と呼ばれる光沢のある絹製の生地を使い、見頃の裾には流水と瀧を配することで躍動感があるデザインとなっています。あたかも身にまとう一幅の絵画のごとき仕上がりです。 |
作者の岡田玉山(1737~1812?)は、武者や美人の絵、また書物の挿図を多く手がけた大坂の絵師です。本図は近江にある筑摩神社の鍋冠祭を描いています。人物の的確なプロポーションはもとより、細やかにかつ華やかに描かれた着物も見どころです。賛は国学者の本居宣長が記しています。 |
ふくよかな桃の実を重たそうに持ち上げる猿。桃は不老長寿や邪気を払うとして人々に喜ばれました。猿は出世を象徴する動物ともされ、ふたつあわせて出世と長命をイメージさせるめでたい絵画です。作者は猿や鹿など獣の絵を得意とした大坂の絵師森狙仙(1747~1821)です。 |
7月 |
8月 |
9月 |
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穐山竹林斎「龍自在置物」 1923年
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西山完瑛「納涼船遊図」 19世紀 |
「黒漆塗菊蒔絵陣中酒器」 17世紀 |
穐山竹林斎は明治24年生まれの大阪の彫刻家で、木製の「自在置物」という異色の作品を残しました。「自在置物」とは、体の各部がまるで生き物そのもののように動かせる工芸品で、多くは金属製であり、木製は異例です。1作品作るのに2年を要したと書き残しているように、大変手間と時間を要する作品だったようです。 |
美人を相手に酒食が供される屋形船を手前に、それと並走する船では膳椀の準備がされています。船の進行方向に描かれる小山は天保山。小さく澪標や高燈籠が描かれています。江戸時代の大坂では、天保山付近が近場の行楽地として人気がありました。西山完瑛(1834~97)は、大坂の風俗をよく描いた四条派の絵師です。 |
陣中での使用に適すよう、腰の脇に沿って湾曲した酒器。ごく薄手の器体を黒漆で塗り、金銀の金貝を施すほか、大小の枝菊と数羽の雀などを平蒔絵にした優品です。 |
10月 |
11月 |
12月 |
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大岡春卜「風俗図」(左隻・部分) 18世紀 |
橋本関雪「邯鄲炊夢図(左隻)」 20世紀 |
竹内栖鳳「獅子図(右隻)」 20世紀
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大坂の町中で絵師が活躍し始めたのは江戸時代の中ごろ。そのひとりが大岡春卜(1680~1763)です。彼は狩野派風の作品を手がけ、書物の挿絵や寺院の襖絵など多様な作品を残しました。本図は武士や農民、職人や商人を描いた屏風の左隻です。紅葉の下では大工が大きな材木に手を加えています。 |
人生のはかなさを物語る故事「邯鄲の夢」を題材にした作品です。屋内での炊飯の様子は、高い視点でかつ大胆な構図で表されています。それとともに苔むした屋根、二匹の栗鼠、美しく色づいた葉など、人間を取り巻く自然の営みも描き込まれています。作者は近代日本を代表する画家のひとり橋本関雪(1883~1945)です。 |
勇猛なライオンを描いた屏風です。作者は近代の京都画壇の立役者のひとり竹内栖鳳(1864~1942)。彼はヨーロッパ遊学の際にライオンの写生を行い、その成果をもとにいくつものライオン図を描きました。この図では、しっかりとした輪郭線が、力強さや躍動感をより増しているかのようです。 |