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ニューズレター(支部概況報告)No.174 2005.6.17

テーマ
1.工夫ある経営で頑張っている中小企業                     

○チャンスを逃がさず、商社からメーカーへの業態転換を果たす
 先代より機械部品卸売業を営んでいたF物産の代表者は、中抜きやメーカー直送といった流通の簡素化から卸売業としての限界を感じ、平成5年頃から取引先と共同で中国に合弁企業を設立した。現地で生産した陶器や食料品の輸入販売等を手掛けていたものの、思ったような収益が上がらず苦戦していた。
 そこに、平成9年末に全取引の50%を占める主要機械部品の仕入先が倒産するとの情報が入り、大きな転機を迎えることになった。倒産企業の社長及び破産申立申請代理人の弁護士より同法人の機械部品製造部門の事業譲受要請があり、また、この会社は関東の田舎町にあることから現地の雇用にも影響を与えるため、その町の町長からも税制面での優遇措置を提示され、現地での生産継続を依頼された。
 しかし、資金面では倒産企業からの資産買取と工場取得のために約7千万円が必要であること、同社の役員・従業員にメーカーとしての経験を有するものが皆無であること、そして、販売先との取引の継続をスムーズに行うため1ヶ月程度の短い期間に工場の取得を行わなければならない等の厳しい条件がありながら、年末の多忙な時期に同社の代表者は思い切って投資の決断をした。
 資金面ではメインバンクと中小企業金融公庫より融資を受け、部品製造に関しては偶然にも代表者が20代の頃に交流があり、気心の知れた知人が倒産工場の工場長であったこと、そして、町全体で用地取得、工場建設のバックアップがあるという恵まれた条件もあり、卸売業としての限界を感じ、新たな展開を模索していた代表者にとっては、結果的に、またとないチャンスとなった。
 当初は、メーカーとしての知識が無く、倒産法人から引き継いだ旧知の従業員に技術的な面を全面的に頼っていたが、平成14年7月には自動車部品メーカーに勤めていた代表者の息子に声を掛けたところ、快く同法人に入社してくれた。
 商社からメーカーに業態転換を行ったことで年商は商社時代の4億弱から3億強に低下したが、製造部門を持つことによりその収益性が改善すると共に卸売部門でもメーカーとして得られる情報が商社時代より非常に多く、メーカーとして蓄積した知識・経験をもとに得意先に部品の改良提案等を行うことで、会社全体の粗利益率は18%から33%にアップした。
 代表者によれば、工場の買取をしなければ今頃倒産していただろうとのこと。倒産に至らないまでも事業規模はかなり縮小され、子息が後継者として入社することはありえなかったと思われる。「災い転じて福となす」といった諺通り、主要機械部品仕入先の倒産といったピンチをよい投資機会として積極的にチャレンジしたことが、業況回復に繋がっている。メーカーとしての引き合いも増加しており、そこから共同で特殊な部品を開発し、特許申請する等収益機会も拡がっている。中小企業が生き残っていくには厳しい状況が続くが、今後もチャレンジ精神を持って事業に取り組んでいきたいとのことである。
(中央支部)

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