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ニューズレター(支部概況報告)No.174 2005.6.17

テーマ
1.工夫ある経営で頑張っている中小企業                     

○「自転車屋」は「“バイク”ショップ」になる
 最近量販店の自転車屋が国道沿いに出店するケースが多く、個人商店の自転車屋は苦戦している。さらに、いわゆる「ママチャリ」は海外からの格安製品が出回り、1万円前後でスーパーやホームセンターでも購入できる。逆風は厳しい。
 旭区森小路駅近くの住宅街の真中に、スポーツ用自転車専門店「回転木馬」(旭区新森3-9-7 http://www.kaitenmokuba.none.or.jp/)はある。スポーツ用自転車はスポーツ用の部品を装着して販売しているため、最低でも1台あたり10万円前後からの価格帯が並ぶ。
 店のロケーションはお世辞にも良くない。商店街からも離れているため、人通りは無いに等しい。たまに近所の人が修理を依頼に来るが、スポーツ車とは縁がない客だ。
 しかしながら、顧客は専門雑誌、ホームページ、口コミで獲得していく。ロケーションとはあまり関係ない。いわゆるMTB(マウンテンバイク)やロードタイプの自転車愛好家は高価な自転車を1台では飽き足らず、高価なバイク(自転車)を複数台所有する傾向もある。2〜3台は普通で「20台持ってます!」「私は15台」というような愛好家も珍しくない。日本各地で自転車の大会が開催され、その度彼等はお気に入りのバイクを車の屋根に載せ、仕事が終われば夜通し会場に駆けつけ休日を満喫している。子供から大人まで大賑わいだ。
 「回転木馬」の店長はそんな愛好家からカスタムオーダーを受注し、納品されたバイクを一度分解し、一つ一つのパーツから乗り手の考え方、使用方法、身体の特徴に合わせて再度組み上げる。店長の技術は職人技となって活かされる。お客様にすれば、量産品ではなく、この世に1台きりのカスタムバイクを手に入れることができる。時折顧客の気の迷いや気変わりで折角オーダー入荷した部品を変更され、不良在庫となり損を被ることもある。それでもめげることなく、仕事を通じて築いてきた愛好家との信頼関係を大切にしている。
 店長はまだ若く、自らリーダーとなって顧客をメンバーとしたチーム「回転木馬」を率い、方々の大会に参加して出走している。大会が無いときは各地でイベントを主催し、顧客とツーリングやダウンヒルを楽しむ。趣味と実益を兼ねた確実な商売を続けている。
 「個人商店の活路とは何か?」というテーマに答えはないが、自転車に限らず、何も斬新な新商品を扱う必要はないのかもしれない。従来の商品を同じ扱うにしても、「1顧客のためを思ってどこまでできるか?」が鍵なのかもしれない。元気がいっぱいつまった「乗って!」という経営者の声が聞こえてきそうなバイク達を眺めながらそう思った。
(旭・城東・鶴見支部)

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