大阪商工会議所 HOME

ニューズレター(支部概況報告)No.171 2005.3.22

テーマ
1.工夫ある経営で頑張っている中小企業 

○不動産証券化業務を開始
 阿倍野区に本社のある阿倍野センタービル(株)は、昨年6月から不動産証券化(流動化)業務を開始し順調に推移している。
 不動産証券化とは、簡単に言うと「不動産を引当財産として、その運用益を分配することを約した契約書(証券)と引き換えに投資家を募るための仕組み」である。同社が手掛けたのは、同じような趣旨のもとに証券発行に代えて、責任財産を当該不動産に限定したうえでの融資(ノン・リコースローン)を組み込んだ不動産流動化事業だ。この証券化は低迷を続ける日本経済に活力を与える起爆剤として各方面から大きな期待を集めている。
 不動産証券化という言葉は、最近時々耳にするがこの業務を実際に開始するには多大な研究と時間を費やすこと、また綿密な計画や的確な判断が要求されること等から、なかなか容易ではないとされている。そういう意味でも、同社は天王寺・阿倍野区地区のパイオニア的存在と言える。
 仕組みをさらに詳しく説明すると、投資家は証券化だけを目的として設立されたSPV(Special Purpose Vehicle)を介して不動産市場に投資する。SPVは証券発行を含む資金調達と、収益分配に徹する媒体であることから導管体(Conduit)と呼ばれている。またSPVは、投資家が安心して投資できるよう資産を譲渡する企業とは、資本、役員、支配等の関係は一切もたないようにする。
 同社は一棟のビルを不動産信託し、その受益権をSPVに譲渡。譲渡されたSPVはその資産を運用し運用益を投資家に分配するという不動産証券化の基本路線に沿っている。
 そこで何故大切な不動産を譲渡して不動産証券化にふみきるのかという問題である。
 まず資産譲渡により他の資産購入が可能となること、次に資産譲渡企業の関連会社がSPVからの要請をうけてプロパティマネージャー(ビルの清掃、エレベーター、消防等の設備、警備、その他の維持管理)やアセットマネージャー(証券化事業全体の資金計画立案、期間後の不動産売却業務を担当)に従事することにより、証券化された不動産運営に関するノウハウを得ることができる。また劣後出資による配当もある。不動産の運営状況が良好であれば、劣後出資はかなり高利回りとなる。
 同社の場合は、これらの目的にかなったケースであるとともに、将来新しいビルを建設する際に開発型証券化スキームを活用するための準備事業としての一面も有している。
(天王寺・阿倍野支部)

「ニューズレター(支部概況報告)No.171」トップへもどる