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大商ニュース   2020/3/10号



サイバーセキュリティお助け隊
中小企業に特化したパッケージサービス 4月から開始

 大阪商工会議所は4月から「商工会議所サイバーセキュリティお助け隊サービス」を開始する。これは、中小企業向けに特化したサイバーセキュリティのパッケージサービスを事業化したもの。人材やお金を十分にかけられない中小企業のニーズを踏まえて「安価・簡便」「安全・安心」なサービスとして提供する。

 同サービスは簡易的なUTM(多機能セキュリティ装置)でサイバー攻撃から「お守り」するとともに遠隔で「見守り」し、不審な通信があった場合「お知らせ」するとともに電話やメールで「相談」を受け付けるというもの。一定の深刻な案件に対しては専門業者が「駆け付け」し初動対処する。この初動対処経費は同サービスに付帯する簡易的な「保険」により補償される。
 同サービスは今年度、経済産業省の実証事業を大商が請け負い、112社の中小企業での約半年間に及ぶ実証を経て事業化したもの。実証では参画企業の66%でサイバー攻撃を検知・防御。参画企業の28%で情報漏洩の危険性の高い外部への不正通信を検知・防御した。
 こうした中小企業へのサイバー攻撃の最新実態を把握・分析するとともに、人材やお金を十分にかけられない中小企業のニーズを踏まえて「安価・簡便」「安全・安心」なサービスとして提供する。UTMは国産。レンタルのため、買い取りの必要がなく、設置も運用も簡単。
 利用料は月額で商工会議所会員6600円、一般8250円。年間では商工会議所会員7万9200円、一般9万9000円。
【問合せ】経営情報センターTEL050・7105・6004

新型肺炎 「マイナス影響」6割台半ば
「中国からの調達・輸入に支障」最多

 大阪商工会議所はこのほど、「新型コロナウイルス感染症が企業活動に及ぼす影響に関する緊急調査」結果を発表した。調査は2月3〜13日、会員1943社を対象に行い、401社が回答した。
 新型コロナウイルス感染症の拡大による経営への影響は、「すでにマイナスの影響が出ている」(18・0%)と「今後生じる可能性がある」(47・6%)を合わせると、6割台半ば(65・6%)がマイナスの影響があると回答した。マイナス影響の具体的な内容は、「中国からの部品、原材料、商品などの調達・輸入に支障」(42・6%)が最多。
 感染症の拡大による1〜3月期の全体売り上げの当初計画との比較予想は、「現時点では不明」が約5割(49・9%)、「減少」が2割強(23・2%)となった。
 感染症の流行を想定した事業継続計画(BCP)は、「策定していない」が8割強(83・0%)。
 詳細はホームページ(http://www.osaka.cci.or.jp/index2-08.html)に掲載している。

【問合せ】企画広報室TEL6944・6304


AIビジネスのコンテスト 最終審査会 優秀提案を表彰

 大阪商工会議所は2月14日、産業技術総合研究所(産総研)の人工知能技術コンソーシアム(AITeC)とともに、「AIビジネス創出アイデアコンテスト2020 最終審査会」を大商で開催した。審査の結果、大商会頭賞(賞金100万円)は、「コストを掛けない新築住宅耐震強化AI化プロジェクト」を提案した適正地盤構造設計一級建築士事務所が受賞した。
 同コンテストは、昨年8月末から11月末まで、人工知能技術を活用したビジネスのアイデアを募集し、16件の応募があった。このうち最終審査会には、書類審査を通過したファイナリスト5人が参加。尾崎裕大商会頭、本村陽一AITeC会長らの審査委員に向けアイデアをプレゼンテーションした。
 AITeC会長賞(来年度の活動費付き)には、「AIメンテくん(サーモグラフィー画像による異常検知)」の関西電機工業と「Reco!薬局」の大阪工業大学「R.IT」が選ばれた。スポンサー賞は、「ココロも若返る 美しく、健康な人生をかなえよう。」を提案したタカラベルモントが東急エージェンシー賞に選ばれた。各賞には副賞もある。
 今後、大商とAITeCは、受賞者が提案したビジネスアイデアの実現に向けて引き続き支援していく。

【問合せ】産業・技術振興担当TEL6944・6300


中国に医療用品寄贈 会員などの協力得て

 2月15日、関空から善意のあふれる貨物を積んだ飛行機が中国に向けて飛び立った。
 日中国交正常化前の1971年に当時の佐伯勇大阪商工会議所会頭が関西財界関係者を率いて訪中するなど、大商と中国との縁は深い。今回の窮状に対し、人道的見地から中国での新型コロナウイルス対応活動を支援するため、関係する会員企業などに寄贈協力を依頼した。日本でも関連物資の不足がささやかれ始める中、イカリ消毒、サラヤ、華鐘コンサルティングの3社からグローブや防護服などが寄せられた。なお、今回の寄贈は関西中華総商会と共同で行い、同商会からも同商会会員から寄せられたマスクなどが寄贈された。

【問合せ】国際部TEL6944・6400


大阪サクヤヒメ表彰応募受付をスタート 今回が最終募集

 大阪商工会議所はこのほど、「第5回大阪サクヤヒメ表彰」の応募受け付けを始めた。今後の活躍が期待され、後進のロールモデルとなる女性役員や管理職、管理職相当の高度な専門職を表彰し、女性活躍推進の機運を高めることがねらい。募集は今回が最終となるが、受賞した女性リーダーを引き続き応援するとともに、今後も女性活躍推進事業を継続する。
 表彰は大阪サクヤヒメ大賞、大阪サクヤヒメ賞、活躍賞の3種類。審査は経営者・学識者などで構成する「大阪サクヤヒメ表彰選定委員会」(委員長=古川実・大商副会頭)が行う。表彰式は10月8日。受賞者には大商会頭名の表彰楯を贈る。大阪サクヤヒメ大賞、大阪サクヤヒメ賞受賞者には副賞も授与。受賞者には女性活躍推進セミナーへの登壇や、受賞者同志が交流する機会もあり、業種・職種をこえた女性リーダーのネットワークが構築されている。応募は5月22日まで。詳細はホームページ(http://www.osaka.cci.or.jp/osakasakuyahime/)に掲載。

【問合せ】研修・採用支援担当TEL6944・6499


マクロミクロ――ノムさん

 「名選手かならずしも名監督にあらず」という格言はこの人には当てはまらない。”ノムさん”こと野村克也氏は、選手として3017試合に出場し、2901安打・657本塁打を記録(いずれも日本野球機構の通算記録歴代2位)。監督として、南海(リーグ優勝1回)、ヤクルト(リーグ優勝4回、日本一3回)、阪神、楽天などの監督を歴任。データを重視した「ID野球」で通算1565勝を挙げた◆特筆すべきは、選手の育成と活用だろう。古田(ヤクルト)、赤星(阪神)、田中(楽天)といった新人を育てる一方、江夏(南海)や小早川(ヤクルト)、遠山(阪神)、山崎(楽天)などベテランを甦らせる手腕は「野村再生工場」と呼ばれた◆『監督の仕事とは「見つける」「生かす」「育てる」だ』という。選手の性格を見極め、賞賛したり、非難して反骨精神を引き出したりと個人に合った育成を行い、コンバートで適材適所に配置して能力を発揮させるところは、企業の人事にも通じる◆『王や長嶋はヒマワリ、俺は月見草』と言いながら、広く親しまれた球界の偉人だった。あのぼやき節をもう聴けないと思うと寂しい。(鷹鷲)


お知らせ 新型コロナウイルス感染症の拡大防止について

 大阪商工会議所では、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けて、以下の対応を実施しております。
 会員の皆様はじめ事業者の皆様にはご不便をおかけする場合がございますが、ご理解とご協力をお願い申しあげます。
▽本部ビルの各階ならびに貸会議室受付、各支部受付に消毒液を配置しています。来館者の皆様、会員の皆様におかれましては、手洗い、消毒など感染予防措置にご協力をお願い申しあげます。館内空調は、外気の取り入れを増やし換気に努めています。
▽不急の会議などについて、中止・延期をする場合があります。
 なお、事業を延期・中止する場合にはホームページなどで案内します。詳細は、ホームページの「セミナー・イベントカレンダー」(http://www.osaka.cci.or.jp/event/)に掲載いたします。
▽職員の一部が時差出勤を行います。


「新型コロナウイルスに関する 経営相談窓口」を設置

 大阪商工会議所は、中小企業・小規模事業者などの方々を対象に、新型コロナウイルスに関する各種経営相談に幅広く応じるための相談窓口を設置しています。
 窓口の設置箇所は、大商の経営相談室と大阪市内の5支部です。ご遠慮なくご利用、ご相談下さい。
○経営相談室TEL6944・6471
○北支部TEL6130・5112
○東支部TEL6358・6111
○中央支部TEL6944・6433
○西支部TEL6539・1666
○南支部TEL6771・2211


医療分野への参入支援
次世代医療システム産業化フォーラム 会員を募集

 大阪商工会議所は、産学医・産産連携による医療・介護分野の課題解決・事業創出を目的とする「次世代医療システム産業化フォーラム2020」の会員を募集している。
 内閣官房健康・医療戦略室が発表した「健康・医療戦略(第二期)」では、@世界最高水準の医療の提供に資する医療分野の研究開発の推進A健康長寿社会の形成に資する新産業創出および国際展開の促進の基本方針が盛り込まれており、先進的な医療機器の開発のみならず、ヘルスケア分野を含めた新産業の創出を行政も積極的に推進している。
 同フォーラムでは、未来医療を実現する案件から医療現場などにおける身近な課題まで、製品やサービス開発につながる有望な案件について全国の大学や医療機関などが発表を行うマッチング例会、病院見学会、医療・介護従事者による製品評価事業など、普段見ることが難しい現場を実際に見たり・聞いたりする機会を提供する。
 多くの異業種から参入した企業が医療・介護分野で新たな事業やビジネスを創出し、これまで53件の事業化実績がある。自社の技術やサービスを医療や介護分野に活用し現場の課題解決に役立て、新たなビジネス展開につなげることが可能。
 参加費は会員12万3200円、一般17万3800円、資本金3000万円以下の企業は割引あり。
 詳細はホームページ(http://www.osaka.cci.or.jp/mdf/admission/)に掲載。

【問合せ】ライフサイエンス振興担当TEL6944・6484


なにわなんでも大阪検定 成績優秀企業・団体を表彰 貢献度高い5者に感謝状

 大阪商工会議所は2月20日、「第11回なにわなんでも大阪検定」表彰式を大商で行い、なにわなんでも大阪検定の「大阪力No.1企業・団体決定戦」において優秀な成績を収めた企業・団体を表彰した。
 初級の部と上級の部の両方で優勝した大阪府職員チームをはじめ、入賞した企業・団体に錢高一善大阪検定委員長(都市活性化委員長)が表彰状と盾を贈呈。続いて、団体受験に積極的に取り組んだ企業・団体(表1)に感謝状を贈呈した。
 表彰式後に開いた懇談では「大阪の知識を身につけていることは営業の基本と考えており、その目的のため職員に受験を奨励している」「大阪検定が社内のコミュニケーションにつながっている」など同検定を受験した効果について意見交換した。
 入賞企業・団体は次のとおり。
〔初級の部〕※上位5人の総得点順で順位決定<優勝>大阪府職員チーム<準優勝>大阪ターミナルビル<第3位>大阪市高速電気軌道<敢闘賞>※受験者全員の平均点の最も高い企業・団体(除く優勝〜第3位)NPO法人大阪府高齢者大学校グループ
〔上級の部〕※上位3人の総得点順で順位決定<優勝>大阪府職員チーム<準優勝>りそなグループ<第3位>大阪ターミナルビル


【問合せ】地域振興担当TEL6944・6323


仕事の生産性向上業務を「視える化」 大商とNTT西日本が連携

 少子高齢化の時代で人材確保が難しくなる中、企業における生産性向上、業務効率化の重要性がますます強まっている。しかし、仕事の生産性を高めるといってもどこから手をつければいいかわからない、また各業務にどれだけの手間がかかるのか、現状把握ができていない、という悩みを抱える中小企業は多い。
 大阪商工会議所と西日本電信電話はこのほど、パソコンの操作状況を人工知能(AI)が分析し課題解決をサポートするサービス事業の連携を開始する。
 同サービス「働き方みえーる」はパソコン作業、ユーザーごとの日別の勤務状況や繰り返し業務の作業フローなどの業務の「視える化」ができるもの。サービスに加入した大商の会員向けに、個別訪問による個社ごとのレポート解説が提供される。
 現在、3月31日までの申し込みで4カ月無料のキャンペーンも実施している。

【問合せ】経営情報センターTEL6944・6353


大商と大阪弁護士会 連携協力に関する協定締結

 大阪商工会議所は2月25日、大阪弁護士会と連携協力に関する協定を締結した。締結式は大阪弁護士会館(大阪市北区)で、大商の尾崎裕会頭、大阪弁護士会の今川忠会長らが出席して行われた。
 今回の協定では講演会や個別相談会の共同開催に加え、新たに@事業承継A企業再生B海外展開C知的財産D労働などを、両団体の共通課題として情報交換などを行っていくことなどが定められた。尾崎会頭はあいさつの中で「協定を機に、多様化する中小企業の法的課題解決に向けて支援体制を強化していきたい」と語った。
 なお、来年度から大商会員の中小企業などは、@〜Dの5分野について、初回相談の30分間が無料となる新たな連携事業も実施する。

【問合せ】経営相談室TEL6944・6471


法律懇談会の会員募集 最新法務テーマを解説

 大阪商工会議所は、現在「法律懇話会」の2020年度会員を募集している。
 同講座では、株主総会やコーポレート・ガバナンスへの対応から、会社法や民法改正、働き方改革やハラスメント対応などの労働・雇用問題まで、企業経営に直結する最新の法務テーマを取り上げ、各分野の第一人者である研究者・実務家の講師が、法解釈や実務上の留意点、最新の判例動向、法改正の動きなど理論的かつ実務的に解説する。65年を超す伝統と実績を誇り、例年、100人以上の企業法務関係者が参加している。
 年間16講座、各回約2時間、大商で(原則)。年会費は、大商会員1社あたり8万8000円、一般同13万8600円。申し込み締め切りは4月7日。詳細はホームページ(http://www.osaka.cci.or.jp/society/law20/)に掲載。

【問合せ】企画広報室TEL6944・6304


常議員会開く

 大阪商工会議所は2月21日、第24回常議員会を開き、@会員加入A2020年度特定商工業者負担金の賦課B「サイバーセキュリティお助け隊」本格サービス事業化Cアジアベストレストラン50の開催誘致D公益財団法人文楽協会賛助会員増強活動の支援E「第6回通常議員総会」に上程する議案F参与の委嘱の承認G委員会委員の委嘱の承認――について審議し、了承した。
 また、@常議員の辞任A1号議員職務執行者の変更B監事の辞任C都心型オープンイノベーション拠点「Xport」の事業進捗と今後の活動方針D「大阪府・大阪市・経済3団体首脳による意見交換会」の開催――について報告した。
 なお、常議員会後の会員数は、法人2万1468、団体972、個人6840の合計2万9280になった。

◆お知らせ
 本紙1月25日号1面の「魅力再発見!おおさか」で案内した3月15日開催予定の「日本橋ストリートフェスタ」は新型コロナウイルス感染拡大予防のため中止となりました。


エストニア首相が来阪
経済交流進展へ 尾崎会頭ら懇談

 エストニアのユリ・ラタス首相が率いる訪日団が2月12〜13日に来阪した。大阪府、大阪市、経済界、在大阪エストニア名誉領事館による歓迎夕食会や懇談会が開かれ、大阪商工会議所の尾崎裕会頭、古川実副会頭らが出席した。
 歓迎夕食会は12日、在阪各国総領事らの臨席のもと、原田太七郎エストニア名誉領事邸宅で開かれた。冒頭、吉村洋文大阪府知事は歓迎の意を伝えるとともに、大阪・関西万博を見据え、スマートシティの取り組みを本格化させるため、ICT先進国であるエストニア企業の協力を求めた。尾崎会頭は、今年独立102周年を迎えるエストニアに祝意を述べ、万博開催への支持について感謝を述べた。また、万博では両国が未来社会の実現に向けてアイデアや技術面で協業し、ともに大阪を盛り上げていけるよう呼びかけた。
 13日、吉村大阪府知事、高橋徹大阪市副市長、経済団体との懇談会が大阪市内で開かれ、大商からは古川副会頭が出席した。古川副会頭は大商の活動を紹介、また今秋、大商が主体となって開催を予定している「グローバル・イノベーション・フォーラム」にエストニアのスタートアップの参画を呼びかけた。
 ラタス首相は「自国では2000年から政府主導でデジタル化を推進し、これまで世界に名だたるスタートアップを多く輩出してきた。18年の安倍晋三首相の訪問を機に日本とは定期的な交流が始まった。今後は自国スタートアップと関西企業との交流をさらに深めていきたい」と述べた。

【問合せ】国際部TEL6944・6400


商店街活性化へフォーラム
空き店舗・遊休不動産 活用事例に関心

 大阪商工会議所は2月21日、商店街の集客支援事業の一環として、「商店街空き店舗・遊休不動産活用フォーラム」を大商で開いた。
 今回のフォーラムでは、流通活性化委員会(委員長=山本博史・小倉屋山本社長)設置の「商店街空き店舗・遊休不動産活用研究会(2018年〜19年)」の活動内容を踏まえ、商店街空き店舗などの活用のポイントを解説するとともに、大阪府内で取り組まれている3つの先進事例の発表を行った。
 先進事例発表には蕪村通り商店街の金子清治会長、プランニングコンサルタントの大橋賢也代表取締役、クジラの矢野浩一代表取締役が登壇。各事例の事業スキームや、取り組みにあたっての姿勢などを説明した。
 90人以上が参加し、アンケートには9割を超える参加者が「満足した」と回答した。特に事例発表については「有益な情報を得られた」「同様の情報を前向きに集めたい」などの意見が寄せられた。
 人口減少社会の中で一層深刻化する懸念のある空き店舗、遊休不動産は、関係者の関心も高い課題である。
 引き続き時宜に合わせ、情報提供の場を設けていく。

【問合せ】流通・サービス産業部TEL6944・6440


活躍する女性リーダーたち<13>
関西電力 国際事業本部 国際企画部門 国際部長 有本 真奈美さん 国内外150人の部下を指揮

 大阪商工会議所は、企業で活躍する女性役員や管理職を応援する「大阪サクヤヒメ表彰」を2016年度に創設。当欄では、今年度実施した第4回受賞者を紹介する。

 今回は大阪サクヤヒメ賞を受賞した関西電力国際事業本部国際企画部門の有本真奈美国際部長。
 有本さんは2001年に特別管理職に登用。営業部門でお客さま対応や企業・家庭への電化販売促進業務に従事した。08年に国際部門の役職者に就任した後、黒部ダムと比べて貯水容量が約10倍を誇るラオスの水力発電プロジェクト会社へ出向し、財務担当副社長として携わり、融資契約をはじめとする諸契約の締結を実現。18年に国際事業本部の部長に就任し、投資中の十数件の海外プロジェクトの責任者として国内外150人の部下の指揮にあたる。
 また、海外経験の長い社員が講師役を担う若手社員向けの自主勉強会を開催し、若手女性に積極的に海外出張・赴任の機会を与えるなど人材育成にも注力している。
 「プロジェクトを通じて、世界中の人に関西の技術力の高さを伝え、活性化の力になれば」と力強く語った。


ウエルネス産業 新潮流<12> 大阪大学
3分間で認知症早期発見 認知機能評価システム

 関西地域の健康を産業が支えるプラットフォームづくりを目指して、大阪商工会議所が京都・神戸の商議所とともに進める「関西ウエルネス産業振興構想」。当欄では、様々な企業、自治体のウエルネスに関する新たな製品・サービス、取り組みについて紹介する。

 現在、日本の全人口の28・4%が65歳以上の高齢者。そして、この超高齢社会で大きな問題となっているのが加齢による認知症の増加だ。平成29年版高齢者白書では、2012年の時点で高齢者人口の15%、約460万人が認知症患者とのことだ。25年には高齢者の20%が認知症になるという推計もある。
 認知症は、物忘れや認知機能の低下が起こり、日常生活に支障をきたしている状態。脳の神経細胞が障害を受けて死滅し、減少していくことで起こる。一方で、この認知症の初期段階である軽度認知障害(MCI)は、早い段階で発見し対策することで症状が改善したり進行を遅らせたりすることができることがわかっている。
 しかし、従来の認知症スクリーニング検査(MMSE)は、医師などの対面による問診形式で行われる上に15〜20分程度の長時間を要すため、被験者の精神的ストレスが大きかった。さらに、「ここはどこですか」「今日は何曜日ですか」といった簡単な設問が多いため、気分を害して最後まで診断できないことも少なくないという欠点があり、また、医師を始めとした専門知識を有する検査者が行わなければならず病院側の負担も大きかった。
 そこで、大阪大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学寄附講座の森下竜一教授と武田朱公准教授、そしてJVCケンウッドの研究チームが開発したのが「視線検出技術を利用した次世代型認知機能評価システム」。図形などの認知機能評価タスク映像を提示し、視線検出技術を用いて被験者の目の動きを定量記録して、「簡単」「短時間」「高精度」に認知機能が評価できる世界初のシステムだ。この研究は19年9月10日の英電子版科学誌「サイエンティフィックリポーツ」に、武田准教授による論文が掲載された。
 被験者は、図形や計算を用いた問題など、認知評価のタスク映像を約3分間眺める。システムでは、視線検出技術による目の動きを高精度の赤外線カメラで認証、定量記録して視線データに基づいた認知機能をスコア化し診断を行う。元々は、JVCケンウッドと大阪大学連合小児発達学研究科の片山泰一教授のグループが開発した、被験者の目の動きで小児の発達障害を診断するシステムを応用している。
 このシステムによって、患者の心理的負担なくわずか3分程度で従来のMMSEと同等の認知機能スコアが得られるため、認知症の早期発見・予防へ大きく貢献することが期待されている。大阪府高石市で行われた「運動の介入による認知症改善効果」の実証研究でも、この評価法を用いての効果判定が実施された。
 さらにこのシステムでは、検査で熟練者を必要としないため、病院での診断の負担軽減はもちろんのこと、例えば介護施設や老人ホーム、定期健診や保険組合などでのスクリーニング検査などでの利用、さらに、近年大きな社会問題となっている高齢者の運転事故防止の為の運転免許センターでの使用や製薬・機能性食品開発時の治験など、その利用可能な範囲は非常に広い。
 今後、実用化に向けて一般的なスマート端末のカメラを利用した、より簡便に同様の認知機能評価が出来るシステムを開発中。さらに、より精度を高め、例えば人工知能(AI)を活用してアルツハイマーや脳血管性認知症、レビー正体型認知症などの疾患鑑別も可能にした医療機器としての開発も検討されており、その先には海外展開も視野に入っている。そして、19年11月13日に大学発ベンチャーとして株式会社アイ・ブレインサイエンスを設立、本格的な事業化を目指す。


ファッション関連産業 新たなビジネス創出に
合同展示会に359人

 大阪商工会議所と協同組合関西ファッション連合は2月13日、合同展示会「ファッション・イノベーション展」を、オーガニックスペース(大阪市中央区)で開き、359人が来場した。
 展示には大阪・関西のファッション関連メーカーや服飾・副資材卸、服飾専門学校のほか、ファッション企業とのマッチングを求めてイラストレーターが参加した。イラストレーターによるライブペイントは、来場者の注目を集めた。出展者からは「来場者に製品をアピールできた」「今後の取引につながる可能性のある案件があった」「商品を販売できた」といった声が聞かれた。
 また、同時開催したセミナーでは、糸編の宮浦晋哉代表取締役が国内テキスタイル産地の魅力について、ライフスタイルアクセントの岩佐彰則MD責任者がMADE IN JAPANの魅力について、講演した。
 終了後、講師を交えた交流会も開いた。

【問合せ】流通・サービス産業部TEL6944・6493


ザ・ビジネスモール 20周年記念フォーラム
サブスクビジネスわかりやすく解説

 大阪商工会議所は2月20日、「ザ・ビジネスモール20周年記念フォーラム」を大阪市内で開き、103人が参加した。同モールは全国の商工会議所などが共同で運営する中小企業のための販路開拓支援サイト。現在は約27万社の企業情報が登録されている。
 企業成長支援委員会の廣瀬恭子委員長(広瀬製作所社長)による開会あいさつに続いて、一般社団法人の日本サブスクリプションビジネス振興会の佐川隼人代表理事が「安定収益を生み出すビジネスモデルのつくりかた」をテーマに記念講演。豊富な事例をもとに、サブスクビジネスの勘所を分かりやすく解説するとともに、中小企業でも多くのチャンスがあるとエールが送られた。
 具体的な勘所は、損益分岐点や顧客数、平均継続回数などのデータの蓄積が重要であること、最初からシステム化せずアナログでテスト販売から始めてみること、価格は安くではなく「高く」設定すること、顧客の声を聴き続け改良を重ねていくこと、などがあげられた。

【問合せ】経営情報センターTEL6944・6353


万博公園で実証実験 次世代モビリティサービスなど

 大阪商工会議所が大阪府・大阪市と構成する「実証事業推進チーム大阪」は、昨年9月から今年度末まで、万博記念公園における実証実験の提案を募集しているが、2月13日から18日(16日除く)まで、同公園における次世代モビリティサービスなどの実証実験を支援した。
 実証実験は、関西電力とダイヘンの共同実施。同公園で、@来園者の園内移動(回遊)の利便性向上を目的とした「電動カートのオンデマンド配車予約サービスと充電のワイヤレス化」A園内管理者の業務の利便性向上を図る「電動の超小型モビリティによるカーシェア運用の可能性評価」B子供や高齢者などの位置情報を把握し位置情報履歴を分析する「見守りサービスと人流分析」の実証を行った。
 これらの技術が統合された次世代モビリティサービスの実装モデルを検証し、来園者などの利便性や満足度向上につながるサービスの実用化を目指す。大商は今後も先端技術を活用した実証実験を支援する。

【問合せ】産業・技術振興担当TEL6944・6300


大阪企業家ミュージアム特別展示 −挑戦・創意工夫−今活躍する企業家たち2020

 大阪企業家ミュージアムは、今まさに活躍する関西のモノづくり企業19社をパネルや製品、動画などで紹介する特別展示を4月30日まで開いている。
 展示企業のうち10社は近畿経済産業局の「関西ものづくり新撰2020」に選定された企業。9社は2016〜18年に同事業で選定され成長を続ける大商の会員企業。いずれも新しい製品開発に挑戦する企業家精神溢れる企業ばかり。
 また、期間中、次代を担う企業家応援企画として、日本政策金融公庫の「高校生ビジネスプラン・グランプリ」の取り組みもパネルで紹介。見学料は、入館料(大人300円)に含む。詳細はホームページ(http://www.osaka.cci.or.jp/event/seminar/202002/D25200227019.html)に掲載。

【問合せ】大阪企業家ミュージアムTEL4964・7601


MaaS社会実装推進フォーラム第5回例会

大阪商工会議所は3月23日、次世代の新交通サービスとして期待される「MaaS(Mobility as a Service)」の推進を支援する「MaaS社会実装推進フォーラム」の第5回例会を開く。
 今回は、MaaSの実証実験に取り組む国土交通省、近畿経済産業局から、日本版MaaSの実現に向けた取り組みについて基調講演するほか、大阪市高速電気軌道が、MaaS実現に向けた取り組みと関西MaaSについて事例発表を行う。
 また、MaaS関連の事業・サービスを有するフォーラムメンバーによる自社の取り組みも紹介する。午後3〜6時、大商で。会員6,000円、一般14,000円。詳細はホームページ(http://www.osaka.cci.or.jp/event/seminar/202002/D22200323017.html)に掲載。

【問合せ】産業・技術振興担当TEL6944・6300


2020.03.17
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