大阪商工会議所が進めている大阪・関西での国際複合医療産業拠点「メディカル・ポリス」形成に向けた動きが加速している。産学連携による創薬支援事業「DSANJ疾患別商談会」の日本医療研究開発機構(AMED)と日本製薬工業協会(製薬協)との共催がこのほど決まった。また、大阪大学大学院医学系研究科、同医学部附属病院と包括連携協定を締結。2013年、全国で初めて大阪に誕生した医薬品医療機器総合機構(PMDA)の支部の機能が拡充され、6月から全ての相談業務が支部で可能となるほか、関西広域連合の医療機器相談窓口も大商が受託して実施する。 【問合せ】ライフサイエンス振興担当TEL6944・6484
■創薬支援の商談会 拡充 AMED、製薬協と共催
大阪商工会議所は、産学連携による創薬支援事業「DSANJ疾患別商談会」に、今年度から新たに日本医療研究開発機構(AMED)と日本製薬工業協会(製薬協)を共催パートナーに迎える。医療分野における基礎研究から実用化までの一貫した研究開発を推進する国の中核機関として昨年4月に発足したAMEDや、研究開発指向型の製薬企業から構成される業界トップ団体である製薬協と連携することで、大阪・関西での国際複合医療産業拠点「メディカル・ポリス」の形成をさらに加速させる。 具体的には、これまで年に2回、大阪で開いてきた同商談会を年に3回開催し、そのうち1回は東京で実施する。今回の共催で、アカデミア発の創薬シーズについて、同商談会への集約化や製薬企業などからのアクセス環境整備が進むとともに、企業の関心が高まることで、製薬企業への橋渡しが加速化することが期待される。 大商は2006年から大学や研究機関の研究成果をデータベース化し、製薬企業にマッチング可能案件として情報発信する医薬品研究開発分野の産学連携マッチングシステム「創薬シーズ・基盤技術アライアンスネットワーク(DSANJ)」を運営。10年度からは商談会「DSANJ疾患別商談会」を開始した。専門家の目利きにより研究成果情報を厳選し、製薬企業に情報を提供。製薬企業は、連携可能性を事前に検討したうえで商談会に臨む。これまでに603案件の研究・開発成果を製薬企業に紹介し、面談3086件を実施。そのうち32件が共同研究契約を締結した。
■PMDA 関西で相談体制整う 産学官、利用促進へ決議
大阪商工会議所が参画する大阪バイオ戦略推進会議(議長=岸本忠三・千里ライフサイエンス振興財団理事長)は、3月29日、医薬品医療機器総合機構(PMDA)関西支部(大阪市北区)の利用促進に向けた行動プログラムを決議した。 今年6月中をめどに、PMDA関西支部にテレビ会議システムが導入され、新しい医薬品や医療機器の審査に必要な相談に対応できる体制が整備される。同決議は、これを機に、同推進会議の構成団体所属会員企業や研究者が、率先してPMDA関西支部の利用を促進することで、その有用性を高めて、将来的な審査機能の権限委譲などを目指すもの。 大商は、医薬品・医療機器分野の産学連携マッチング事業での広報、本紙やメールマガジンを活用した広報などを通じて会員企業や関係機関の利用促進に努める。 通常の相談手数料とは別に必要となる「関西支部利用手数料(28万円)」について、今年度は、低額要件に該当する場合は無料、それ以外は14万円で利用できる。
■阪大と包括連携協定 健康・医療分野で
大阪商工会議所は12日、健康・医療分野でのイノベーションの実現に向けて、大阪大学大学院医学系研究科と同医学部附属病院との研究・事業化連携の推進に関する協定を締結した。 協定は、大商の宮城勉専務理事、大阪大学大学院医学系研究科長の澤芳樹教授、大阪大学医学部附属病院長の野口眞三郎教授が調印した。 具体的には、各機関連携のもと、産学による研究・事業化推進に係るセミナーやワークショップ、シンポジウムの企画・運営、事業化に向けた知財戦略・ベンチャー支援人材の育成・交流事業の実施、研究成果の事業化に向けた実証事業の実施などについて検討する。 大商は、他に先駆けて、阪大など全国の大学・研究機関との産学連携を通じた医薬品・医療機器開発の支援事業を行ってきた。 今回の締結を機に、日本トップクラスの阪大大学院医学系研究科や臨床研究中核病院である同附属病院の多様な活動と企業との連携をさらに強化し、大阪発のイノベーション創出を促すことで、大阪・関西がライフサイエンス分野における日本、さらには世界をリードする地域となることを目指す。
■医療機器の開発支援 大商などに相談窓口
大阪商工会議所は今月、「関西広域連合 医療機器相談窓口」を開設した。これは、関西広域連合が主催する「平成28年度医療機器相談事業運営業務」を大商が受託して実施するもの。 大商は、2003年から全国に先駆けて産学連携による医療機器開発を促進するために「次世代医療システム産業化フォーラム」を実施。多くの事業化成果をあげてきた。 同相談窓口では、関西広域連合の産業振興分野に参画する府県(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県、鳥取県、徳島県)に事業所を有する企業などを対象に、大商の経験豊富なコーディネーターらが個別相談を無料で行う。相談は医療機器ビジネスへの参入方法や薬事申請、事業に必要な許可の取得手続き、医療現場で使用する周辺機器に関する内容など幅広く受け付ける。 相談日は原則毎週木曜日、場所は大商またはグランフロント大阪(大阪市北区)を予定。事前予約制。来年3月31日まで。 |