大商ニュース 3月25日号

●都市の魅力を再発見〜【大商】観光振興で行動計画策定〜


●めざそう!オンリーワン都市(21)
『世界に売り出す "個性" つくれ』大阪産業大学教授 今野修平


●マクロミクロ
『それぞれのスタイル』


●欧州で関西PR〜投資交流使節団の参加募集〜


●極東ロシアとの交流拡大策探る〜6月に調査団〜


●月例会員講演会<第352回>


●『行革法』の早期成立を〜【在阪経済5団体】橋本首相に要望書手渡す〜


●所得補償共済制度4月からスタート〜健康保険との併用も可〜


●【G−BOC】海外企業との商談あっせん〜事前登録は3月末まで〜


●経営相談Q&A(47)
『損益分岐点分析によるコスト管理』


●会頭コメント
『平成10年度国家予算の衆議院可決について』


●行革に指導力発揮を〜遠藤前NZ大使語る〜


●環境対策の新潮流(9)
『COP3後の自発的取り組み』


●起業家群像(28) 文:加藤勝美(フリージャーナリスト)
『家庭サービスのパイオニア〜トム・ソーヤァ 藤原誠社長〜』


● "天神天満でトラスト運動" 商店街が歴史を継承


●若手経営者の育成実る〜白山隆氏をゲストに修了講演〜【大商後継者塾】


●【少額訴訟制度の創設】30万円以下の支払請求、審理1日でスピード判決


●商店街へいらっしゃ〜い
『日本橋筋商店街』


●チャレンジする中小企業
『施主の声生かす家づくりを提唱〜アイ・シー企画〜』


●お知らせ


●サービスさらに充実〜大商提携のホテル・検診など〜


●【大商ニュース】広告掲載を募集


●エコ・メッセージに出展しませんか


●【グレーター・マンチェスター】日本研究所に寄付を


●大商セミナー


●都市の魅力を再発見〜【大商】観光振興で行動計画策定〜

 大商観光振興特別委員会(委員長=稲畑勝雄・大商副会頭)は、このほど大阪の観光振興に向けた具体的な取り組みとして、「観光振興アクション・プログラム」を策定。これをもとに、大阪の隠れた観光資源を掘り起こして紹介するほか、ユニークな中小企業や地場産業、企業ミュージアムの見学を企画する『産業観光』など、街の魅力の再発見と知的関心に応える観光振興策を推進していく。また海外へのPR戦略として、大阪の新しいイメージを表現したクリスマスカードの送付キャンペーンなど、2008年大阪オリンピックの招致活動とも連動して平成10年度から具体的な事業を展開していく。
 大商では、21世紀の基幹産業の1つとして期待されている観光について、平成8年に観光振興特別委員会を設置し具体的な振興策の検討をすすめてきた。
 同アクション・プログラムの策定にあたっては、「商工会議所ならでは」の特色を生かした内容で、実践的なアクション項目であること、さらに京都や神戸などとも協力しながら関西全体の観光振興につなげていくことを基本的な視点としている。
 具体的には、(1)大阪の中小企業や地場産業などを紹介し大阪の活力に触れてもらう「大阪インダストリー探訪」(2)大商各支部が掘り起こした地元の隠れた名所・旧跡や商業集積などを紹介しボランティア・ガイドによるツアーを企画する「歩いて発見!大阪まちツアー」(3)大阪の魅力的な情景写真を刷り込んだクリスマスカードを作成・送付する「大阪Windows(ウインドウズ)」キャンペーン(4)『食の街らしいもてなし』をアピールするため、業界団体などと協力して和食の外国語メニューづくりなどを行う「大阪グルメタリティ」(5)外国人観光客に大阪への親近感をもってもらうため、大阪にある外国ゆかりの地を発掘し紹介する「ユア・カントリーin大阪」などの事業を順次実施していく。
 また「プラス1」戦略と題して、大商が実施している各事業に観光振興の視点を盛り込み、『観光都市』大阪をアピールしていく。
 さらに中長期的な取り組みとしては、「観光アンバサダー」や「1企業1貢献運動」など、会員企業にも協力を呼びかけて事業展開していきたい考え。
 大商では、こうした観光振興策を通じて、人・物・情報が活発に交流する舞台づくりや中小企業が輝く街づくりを推進し、大阪の「都市格の向上」に取り組んでいきたいとしている。




●めざそう!オンリーワン都市(21)
『世界に売り出す "個性" つくれ』大阪産業大学教授 今野修平

 日本における産業革命発生の地で、一時は全国工業出荷額の30%以上を占めていた関西。昭和45年、東京羽田空港を上回る乗降客を誇ったにもかかわらず、60年には羽田の半分になってしまった大阪伊丹空港。金融、商社、メーカーの本社ビルが林立していた御堂筋から、いつの間にか本社機能が東京に移転してしまった大阪都心。
 関西経済の地盤沈下を象徴する3大経済現象といえるが、関西経済の地盤沈下は、東京一極集中化と裏表の関係にある。東京一極集中は、関西経済の地盤沈下を起こしただけでなく、全国都市のミニ東京化の上に成立しているピラミッド構造がもたらした成果でもある。
 近代化以来1世紀余り、こうした結果をもたらした原因は多数あり、いわば多因連環作用が働いた結果と考えるが、本質的背景として指摘出来るのは、日本の都市は農業国土支配拠点として発生したことにあるのではないか。古代、日本初の地方都市として誕生した太宰府・多賀城以来今日まで、すべての都市がこのメカニズムの中で誕生し成長してきた。近代社会も例外ではなかったといえよう。
 これに対し欧米では、ギリシャ以来、それぞれの都市が独自に社会をつくり、発展して、ついにこれが連合して国家にたどりついたから、個性あっての都市であった。都市の本質は、まさにここにある。
 そして今、地球は欧米で1世紀余り前に起きた近代化がグローバル化に移る激流の中にある。大阪もこの流れの枠外にいることは許されない。歴史の大転換点に立たされているのである。
 大阪誕生以来 400年、いや難波京までさかのぼれば1000年以上の歴史の中で、大前提としてあった日本の大阪、関西の大阪の枠組み、基本条件の束縛から解き放たれ、都市本来の本質を保有して世界に飛び立たねばならないところに立たされてきたと認識すべきであろう。それでないと、グローバル時代の大阪の存立基盤は確立されないと考えられるから、体質改善を大前提にした新世界都市・大阪の創造という、従来体験しなかった新課題と取り組まなければならなくなっている。近視眼的現実対応では取り組めない課題に直面しているのである。
 大阪が今考え、創造することは、世界に何を売り出すかである。世界市場の中で、どの機能の中心になるかである。中心になるためには、まず情報と人と金を集め、大阪にしか出来ないサービスを提供出来るかにかかっている。
 このサービス提供のためには、当面利益を期待しない貢献と、情報、人、金の集積のための努力に汗をかかねばならず、懐妊期間の長い街づくり経済社会づくりが不可欠となる。「もうかりまっか」の大阪の体質と歴史からすると、革命的な対応の変化を乗り越えなければならない。
 乗り越える力は、市民の合意形成であり、合意形成へ持ち込めるリーダーの出現が待たれる。新たに求められるリーダーは、今までの管理権力型の行政指導者でもなければ、利益追求型の経営指導者でもないはずで、歴史を見据えた市民の一人でないと、市民運動の核にはなれない。とは言え、世界の経済に精通していることは不可欠の条件であろう。
 こうしたリーダー出現まで、社会に呼びかける基盤的運動が、使命感に燃える人々により、市民に近い組織で行われることが、その橋頭堡づくりであろう。経済団体の地域貢献活動も有力な候補である。
 関空という基盤も出来た。大阪という地名セールスも万博以来断続的に努力している。この上に立った世界的機能の創造と定着へ、次世紀への戦略事業に取り組む時がきている。
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◎略歴
 昭和8年生まれ。昭和31年東北大学教育学部卒業後、防衛庁技官に。その後東京都港湾局、運輸省港湾局、国土庁計画調整局を経て、同55年福井医科大学教授に就任。同61年から現職。中央港湾審議会委員や国土審議会計画部会委員、国土庁地方都市問題懇談会委員など多くの公職を務める。


●マクロミクロ
『それぞれのスタイル』

 今年度は暗い話題が多いなか、スポーツではいくつか明るい話題が見られた。その1つにサッカーのワールドカップ初出場がある。サッカーは世界中で最も競技人口が多いスポーツとして親しまれている。しかし、各国のプレースタイルは、一般に言う南米型や欧州型だけではなく、多くの国で独自のスタイルを持ち続けている▼ルールの数が少なく、わかりやすさと多様なプレースタイルが可能なことが、サッカーを世界中に広めた要因の1つとも言われている。これは、最低限のルールを基に、おのおのが独自のスタイルで競い合う点で、明らかに横並びとは異なる▼日本では、手本を求め、手本通りにおのおのが同じように仕事を進めてきたことが、横並びを生み、今の社会や経済に閉塞感をもたらしているものと思われる。この閉塞感を解消するために必要なのは、社会では、横並びをもたらす規制ではなく、多様性を促す仕組みであり、個人ではその人らしさを求める努力である▼企業の求めるものが、大成功、中ぐらいの成功、地域にとっての大切さなど、さまざまであればあるほど、経済は発展性を維持できるのではないか。まさに、来年度は企業の方針を示すことが役目である経営者の方々の出番である。
                                          (正)


●欧州で関西PR〜投資交流使節団の参加募集〜

 大商は、6月2日から13日にかけて、フランス(リヨン、レンヌ)、フィンランド(ヘルシンキ、エスポー)、ドイツ(デュッセルドルフ、ベルリン)へ「欧州投資交流ミッション」(団長=橋本睦国際委員長、住友商事特別顧問)を派遣する。
 現在、日本企業の海外進出が急増する一方、外国企業による対日投資は低迷している。特に関西への進出比率は日本全体の1割にも満たない。そこで産業の空洞化対策、雇用機会の創出のために、外国企業の対日投資を促進し、その先進的経営や流通ノウハウなどを国内に取り入れることが急務となっている。
 こうした点をふまえ同ミッションでは、現地のビジネスマンに直接、大阪・関西の優れたビジネス・インフラや投資インセンティブを紹介し、知名度やイメージの向上を図る「大阪・関西プロモーション・セミナー」を開催する。大阪・関西への進出意欲や投資阻害要因などについて現地企業の意見も集約する。また、地元経済団体・地方政府代表との意見交換や、主要メディアとの会見、産業施設の訪問などを行うほか、欧州諸都市におけるEU通貨統合や環境問題への対応策、経済・産業動向、投資環境、外資誘致策などについても聴取する。
 参加費78万円(別途団共通費として30万円程度必要、希望により航空機、ホテル部屋のグレードアップ可)。現地参加、部分参加も可。
【問合せ】国際部・松川TEL:944−6402


●極東ロシアとの交流拡大策探る〜6月に調査団〜

 大商は、6月28日から7月5日の日程で、「極東ロシア経済調査団」(団長=藤野文晤・環日本海経済圏構想研究会座長、伊藤忠商事常務)を派遣する。
 昨年11月のエリツィン大統領と橋本首相によるクラスノヤルスク会談の成功で、日ロ両国は新たな関係構築の時代を迎えており、これを背景に経済関係についても好転が期待されている。
 今回の調査団は、日本との結びつきが深く、豊富な天然資源や大型プロジェクトで知られる極東地域の経済情勢や投資環境を調査し、わが国企業とのビジネス交流拡大策を探るのがねらい。
 訪問都市はウラジオストク、ナホトカ、ハバロフスク、ユジノサハリンスクの4都市で、各地方政府知事をはじめとする地方行政のトップや企業グループ、商工会議所首脳らとの懇談を予定している。
 環日本海経済圏構想研究会のメンバーに加え、関心企業や学識経験者に対しても広く参加を募っている。
【問合せ】国際部・太田TEL:944−6400


●月例会員講演会<第352回>−入場無料−

◆と き 4月20日(火)午後2時〜3時15分
◆会 場 大商7階国際会議ホール
◆テーマ 『企業経営雑感』
     オリックス社長 宮内義彦氏
【講師紹介】昭和10年生まれ。関西学院大学商学部卒業。ワシントン大学でMBA取得。日綿實業入社後オリエント・リース(現オリックス)に移り、同55年より現職。平成6年経済同友会副代表幹事就任。行政改革委員会規制緩和小委員会座長を経て、今年2月、行政改革推進本部規制緩和委員会委員長に就任。同6年藍綬褒賞受賞。最近の著書に「リースの知識(新版)」がある。
【共催】(社)日本経済調査会
【問合せ】企業研修部TEL:944−6421
【定員】700人
※満員の節は入場をお断りする場合があります。また写真撮影および講演内容の録音は全面禁止します。




●『行革法』の早期成立を〜【在阪経済5団体】橋本首相に要望書手渡す〜

 大商など経済5団体は18日、橋本首相をはじめ政府・与党に「行政改革の推進について」の要望を行った。要望の内容は、中央省庁等改革基本法案について今国会での成立を求め、行革を推進してほしいというもの。
 先日開催した「行革フォーラムin大阪」で、行革基本法案が今国会の会期中に成立されるよう政府に働きかけることを決議したが、これを踏まえて、大西会頭らの代表が橋本首相に直接行革推進に関する要望書を手渡した。橋本首相は、関西からの行革法案の早期成立の要望は、行革を進めるうえで援軍になると感謝の意を表し、「全力でやります」と決意を示した。

<要望の骨子>
 3月10日に大阪で開催した「行革フォーラムin大阪」に 400人を超える企業幹部、学識経験者などが集まり、行政改革への強い関心と期待を改めて認識した。自由で公正な経済社会の形成を目指して「この国のかたち」を再構築し、活力ある21世紀の展望を切りひらくため、行政改革の断行が急務と考えている。しかし、中央省庁等改革基本法案の今国会成立が微妙な情勢にあり、強い危機感を感じている。このような中で、先の大阪での行革フォーラムにおいて、行革基本法案が今国会で成立されるよう政府に働きかけることなどを満場一致で決議した。行革基本法案が今通常国会の会期中に成立することを切望する。


●所得補償共済制度4月からスタート〜健康保険との併用も可〜

 大商は、新しい会員サービス事業として「所得補償共済制度」の受け付けを4月1日から開始する。この共済制度は、大商会員企業の事業主、役員および従業員が仕事や私用の区別なく、病気・ケガで仕事を休まなくてはならなくなった場合に、保険金と見舞金が支払われるというもの。
 勤労者は、万一の病気・ケガで仕事を休まなければならなくなった時、休業中の生活費や医療費などで大きな負担を強いられる。一方、企業にとっても、給与の補償のみならず代替要員の確保費用などの負担が生じ、企業経営に大きな影響を与える。
 そこで「所得補償共済」に加入することで、従業員の休業による突然の企業負担を小さくすることができる。さらに、通常なら企業が独自で休業補償を行った場合、従業員が受け取る健康保険の傷病手当金は減額されるが、本共済制度による保険金や見舞金などの休業補償なら減額の対象にはならない。共済制度と健康保険を併用することで十分な休業補償が可能になり、従業員に対する福利厚生制度の充実にもなる。
 本共済制度は、通常の所得補償保険に比べ保険料が20%割り引かれるほか、独自の制度として1回のケガや病気ごとに5000円の見舞金が支払われる。また共済期間中、保険金が支払われるようなケガや病気をしなかった場合には、保険料の20%が払い戻される特徴もある。
 なお本共済制度の募集は、普及推進損害保険会社を通じて行われる。
【問合せ】会員サービス課・井上TEL:944−6253


●【G−BOC】海外企業との商談あっせん〜事前登録は3月末まで〜

 大商、大阪府、大阪市などで構成する世界ビジネス・コンベンション開催協議会(会長=大西正文・大商会頭)では、10月に開く大規模な国際商談・情報交換会「G−BOC98」へ参加を希望する国内企業の登録を今月末で締め切るため、申し込みを急ぐよう呼びかけている。
 G−BOCは、海外企業と日本企業との実質的なビジネス交流を促進するため毎年秋に大阪で開催しているもので、年を追うごとに海外での知名度も高まり、「秋に大阪へ行けばビジネスチャンスがある」との評価が定着しつつある。特に最大の売り物の「個別商談会」は、登録を済ませた国内企業の取引関心アイテムなどをリストにして海外からの参加申し込み企業に事前に送付。リストから商談希望先を選んでもらい、指名を受けた日本企業の応諾を確認してG−BOC当日の商談につなげる。事務局が仲介役となるため、商談相手を自社で探すなどの煩わしさがないのが特長。
 同協議会では、G−BOC98のPRや海外企業・団体を招請するため、欧州や東南アジア、オセアニアなどへスタッフを派遣。すでに各国から参加表明が相次いでおり、海外企業の顔ぶれは昨年以上に多彩なものとなりそう。事務局では、「国際取引を始めたいが、きっかけがない」といった国内企業にも、積極的に申し込みしてほしいと話している。なお国内企業の登録は無料。【問合せ】国際部TEL:944−6404、URL(http://www.osaka−cci.go.jp/gboc/)


●経営相談Q&A(47)
『損益分岐点分析によるコスト管理』

【Q】ネジ類を製造している会社です。過去2年間の決算は赤字です。今期予想売上高は5000万円、経費は5200万円で、今期も 200万円程の赤字が見込まれます。赤字経営から脱却するには売上高を増やし、経費を減らすことはわかっていますが、現実には思い通りに進みません。赤字経営から抜け出すために、売上高・経費・利益との関係を把握する手法を具体的に教えてください。

【A】ご質問の売上高・経費・利益の関係を分析する手法として、「損益分岐点分析」があります。損益分岐点とは利益も損失も発生しない収支均衡の売上高を求めることです。
 損益分岐点=固定費÷(1−変動比率)で表せます(変動比率=変動費÷売上高)。ここで固定費とは、売上高の増減にかかわらず発生する費用で、人件費・減価償却費など。変動費は、売上高に比例して生じる費用で、原材料費・外注加工費などです。
損益分岐点の計算式を貴社に当てはめるには、費用5200万円を固定費と変動費に費用分解する必要があります。例えば、勘定科目によって費用分解しますと、変動費3000万円、固定費2200万円となります。そこで貴社の損益分岐点は、〔2200万円÷(1−0.6)=5500万円〕となります。この式から収支トントンの売上高は5500万円で、この金額以上の売り上げがないと赤字です。もしこの売上高が達成できないとすれば固定費をいかに引き下げるか個別の経費項目ごとに検討するとともに、変動費の大部分を占める原材料費・外注加工費などのコストダウンと生産性の向上などをより強力に推し進めることが必要です。
 貴社の場合、赤字脱却のもくろ見としては、売上高の伸びが期待できないようですので、例えば変動費3000万円の 3.3%を節減すれば、変動費は2901万円。固定費2200万円の 4.6%をコストダウンすれば、固定費は2099万円となります。その結果、損益分岐点は5000万円ほどとなり、収支ゼロで一応赤字経営から脱却できることになります。
                  (専門指導センター伊東鉄男TEL:944−6472)

●会頭コメント
『平成10年度国家予算の衆議院可決について』

 日本経済が危機的な状況にあるこの時期に、政治が混迷し予算修正を行うようであれば成立が四月以降大幅に延びると懸念していたが、本日、10年度国家予算案が衆議院を通過して安堵している。
 景気は一段と後退色を強め、中小企業の多くは3月決算を控えて綱渡りの経営を強いられている。1日も早く予算を成立させることが、企業経営者の景況感にも良い影響を与えるのではないか。
 このうえは、補正予算で所得税・地方税減税や法人税実効税率の引き下げ、新社会資本整備のための公共事業の追加など、即効性のある大型の景気対策を打ち出すべきだ。それが国際的な責務でもあり、アジア諸国も待ち望んでいる。財政再建は重要であるが、特例公債の制限については、猶予あるいは弾力条項を加えるべきである。
                                         (20日)

●行革に指導力発揮を〜遠藤前NZ大使語る〜

 大商行財政委員会(委員長=能村龍太郎・太陽工業会長)は16日、前ニュージーランド大使の遠藤哲也氏を招き、講演会を開催。画期的な構造転換を成しえた同国の経済改革について話を聞いた。
 改革のポイントとして、遠藤氏は(1)経済活動の自由化(2)公共部門のリストラ(3)労使関係の改革(4)社会福祉などにおける受益者負担原則の導入の4つをあげ、その基本的な考え方は「(1)規制の撤廃(2)自己責任原則の徹底の2つに集約される」とした。
 1984年に始まったニュージーランドの改革は、その後マイナス成長、失業率の増加などの副作用も発生させたが、こうした改革の成果が表れるのは9年たってから。とくに経済分野で著しい改善がみられ、成長率が高まった。ただし、所得格差の拡大や社会的弱者の問題など将来への課題は残る。
 締めくくりとして、遠藤氏は「日本はこうしたニュージーランドの例をぜひ参考にすべき。国民的コンセンサスを得て、改革を進めるのは無理。リーダーが強力な指導力を発揮しなければ出来ない」と結んだ。

●環境対策の新潮流(9)
『COP3後の自発的取り組み』

 昨年12月に京都で開催されたCOP3(地球温暖化防止京都会議)は温暖化防止の第一歩であった。しかし、その後の国内での動きはどうも鈍い。相変わらず、省エネ法の改正で十分という通産省と代替フロンを含めた包括的な対策としての温暖化防止法が必要だとする環境庁の対立がある。仮に防止法が制定されても、その実施は早くて2000年だという。この間、2年間の取り組みをどうするのか、国の主導的な姿勢は見えてこない。地方自治体にあっては、会議の主催都市となった京都市や京都府の動きが注目される。京都市の環境関連予算は大幅に拡大し、「環境首都」を目指す。京都府は新たに環境政策監をおいて環境政策への意気込みを示す。上越市などが環境マネジメントシステムの構築によりISOの認証を取った。しかし、このような動きは他の自治体へはあまり及ばない。
 「COP3疲れ」という言葉が適当かどうかわからないが、市民の動きも鈍い。NGOにしてもCOP3のレビューを始めたところであり、その後の展望を開いていない。レビューの大部分は低い目標率と「抜け道」としての排出権、共同実施、さらに吸収源としての森林評価への批判が繰り返されるのみである。より具体的にどのような行動を取れば、どれだけ目標値を達成することが可能かを考えることは、COP4に向けて重要なことである。さらには、NGOが望ましいと考える目標値を超えた削減量への実現を提案する代替案や行動は皆無に近い。
 救いなのは、このところ環境問題への関心の高まりとともに企業の積極的な対応の動きである。排出削減目標値の設定は、排出可能な温室効果ガスの総量が規制されたことである。今までのように、タダで自由にどれだけ排出をしてもよいという時代からの決別である。環境コストを支払わなければならない時代の到来である。この意味では、経済的にビジネスチャンスが広がったともいえる。言い方は悪いが「環境も金次第」の時代なのである。
 経済活動に大きな制約となる環境対策を前向きにとらえ、企業もどう温暖化に対処したらよいのかレビューし始めている。しかし、ことはそう簡単ではない。温暖化問題はエネルギー政策や交通政策を始めとして経済活動のみならず暮らし全般に及ぶ問題である。すべての人々が避けては通れない問題である。しかし、人間は意志の弱いものである。ついつい、自分1人だけはよいと思う。全員がそう思いながら行動すると事態は最悪となる。イマニュエル・カントはこのような状況での人間のとるべき行動原理として「良いことをすればきっと皆がついてきてくれると信じ、まず自ら率先して行動を起こそう」ということを提案している。まさに、「自分がやらなきゃ誰がやる」である。ここでは、横並びとか護送船団方式といった日本的行動原理は通用しない。環境問題で問われているのは、このような自発的自主的取り組みがそれぞれ1人ひとりでできるかどうかということであるかも知れない。(おわり)
                         (同志社大学経済学部 教授 郡嶌 孝)

●起業家群像(28) 文:加藤勝美(フリージャーナリスト)
『家庭サービスのパイオニア〜トム・ソーヤァ 藤原誠社長〜』

 民間のシンクタンクは今後の介護サービスの市場規模を10兆円から10数兆円という予測数字を打ち出し、大企業は格好の『もうけ口』として参入を狙っているが、藤原さんはすでに10年前に介護サービスを始めている。
 創業が1974年。『共稼ぎ』という言い方が一般的だったころ、子どもを保育園に預けたが、日曜に園のイベントがあると、月曜が代休で、「だれが子どもの世話をするんや?」という自分の体験からベビーシッターサービスを始めた。当時、出来の悪い子を受け入れる塾をやっていて、終わってからチラシを1軒1軒入れていった。
 85年に法人としたが、それまでは倍々ゲームの伸びだった。ベビーシッター、介護者、ハウスキーパー派遣などを藤原さんは「家庭支援サービス」と呼ぶ。パイオニアだけに料金設定に苦心した。「利益は後。われわれのサービスを1日数時間、週に何回受けた場合、どれくらいになるか、そして時間給の相場を考え合わせて、払っていただける金額、という考え方です」。年中無休、24時間サービスである。
 大企業の社員とその家族向けの介護サービス契約が増えると、「全国どこでもサービスが受けられるように」という要望が強まり、92年からフランチャイズ展開も始めた。対人のしかも個別サービスだから、その地域での信頼を得るまでには地道な努力が要求されるので、金もうけ優先のジー(加盟者)希望は断る。たとえば、2時間もかけて出向き、数1000円程度にしかならなくても、それを断らないという心構えが要求されるからだ。
 いろんな企業がこうした分野への進出をもくろんでいるが、藤原さんは「負ける気がしない」と言い切る。サービスを担当するスタッフの選び方、教育など20年あまりの経験から生み出されたノウハウがある。だれもが認める優秀な人がわれたり、どこでもだめだった人が喜ばれたり、先方との組み合わせの妙というものもある。介護歴や保母の資格がなくても、「この人だったらいける」という場合もある。「行政も大手もそこまでやって来ていません」。日本在住の外国人を派遣する「リンガルシッターサービス」もある。
 横浜の大病院は看護婦の子どもや入院している子どもの託児を全面的に委託することを決めており、高層マンションの託児ルームを委託したいという話も各地から舞い込んでいる。
 「私はこれはクレーム産業だと思っています」。本部に舞い込むクレームを逆手にとって、新しいサービスを考え出す。派遣したハウスキーパーが掃除は上手だが、料理はまずいというクレームが来て、料理に特化した人を育て、高齢者や食事療法を必要とする人がいる家庭へ派遣することを考えている。
 新サービスを考え出すのが楽しくてしようがない毎日。午後の3時から大阪本部に出社し、夜の12時ごろまで仕事、午前中は自宅兼堺センターで全国からかかってくる電話に応対する。合間を見て、10キロのランニング。盆、正月の休みはなし。ホノルル・マラソンに出場するのが唯一の趣味。失敗も隠さず、自分を偽らない藤原さんの率直さが、同社発展の最大の要因かもしれない。

【企業概要】設立=昭和51年、資本金=4000万円、従業員=1500人、事業内容=ベビーシッター・介護サービス、連絡先=大阪市中央区大手通2−1−6 MG大手通ビル3階 TEL:943−4530

● "天神天満でトラスト運動" 商店街が歴史を継承

 北区の天神橋筋商店街を中心とする天神・天満地域の伝統、歴史、文化を21世紀に継承しようと「町街(まちがい)トラスト 天神天満計画」の発起人会が17日に開催された。
 当計画は、大商が昨年6月から行っている天神橋筋商店街振興モデル事業計画策定の一環として検討されていたもので、街のトラスト運動としては日本で初めての試みとなる。
 発起人には、大阪を中心に活動している大学教授、芸術家、歴史研究家、近隣寺社の住職・宮司など約50人の多彩な顔ぶれがそろった。会長には、土居原作郎氏(大阪芸術大学教授・芸術計画学科長)が選出された。
 当面は、大阪弁スクールや1日丁稚体験塾のほか、天神・天満地域の資料を映像で永久保存する活動などが実施される。
 今後は、本計画への賛同者を募り、1000円以上の寄付をした個人サポーターを登録していく。また商店街や近隣の店舗、商業施設から協力店を募り、各店の方針に応じてサポーターに対するさまざまなサービスを提供する予定。
【問合せ】産業部・廣兼TEL:944−6494

●若手経営者の育成実る〜白山隆氏をゲストに修了講演〜【大商後継者塾】

 大商では、会員企業の次代を担う後継者を対象に「後継者錬成・燃焼塾」を開講している。これは、時代の変化に耐えうる若手経営者の育成をめざし、平成8年度から実施しているもの。17日には、1年間の研修の総仕上げとして、大商議員の白山隆氏(白山殖産社長)をゲストに招き、9年度塾生35人の修了式が行われた。
 今年度の後継者塾は、井戸和男・天理大学教授を塾長に、「経営ビジョンと理念づくり」「人脈の作り方」「企業経営の実務」などについて月1回の研修を精力的に重ねてきた。
 最終回にあたる17日の修了式では、塾生と同じく先代から社業を受け継いだ白山氏が、自らの経験談を踏まえ講演。
 特に、事業を引き継いだ時の苦労話や心構えから、国内でのスポーツジム事業の展開、ロンドンのカウンティホール(旧市庁舎)再開発事業やロタ島でのリゾート開発などの具体例やエピソードを交え、経営者として求められる資質や時代をとらえた歴史観、判断力の重要性などについて熱心に後輩らにアドバイスをしてもらった。
 当日、塾生からは「苦労と研さんを重ねた社長自らの体験に基づく話なので、説得力があり大変勉強になった」との声があがる一方、この1年間の活動を振り返って、「後継者という同じ立場の人との交流を通じて経営課題や悩みを共有でき大変刺激になった」「経営者としての心構えや実践的な知識が習得できた」などの感想が寄せられた。
 現在、平成10年度の新規塾生を募集し、受付を開始している。
【問合せ】企業研修部・勝山TEL:944−6421

●【少額訴訟制度の創設】30万円以下の支払請求、審理1日でスピード判決

 30万円以下の金銭支払い請求の訴えで、1日の審理で判決が出る「少額訴訟制度」が1月からスタートした。民事訴訟手続きを国民にわかりやすく、利用しやすいものにしようと改正された、新しい民事訴訟法の主要なものの1つである。始まってまもなく3カ月がたつが、利用者は増加傾向にあり、訴訟が身近になってきたようだ。

◇少ない費用と時間で
 一般市民や中小企業にとっては、「裁判」と聞くだけでしり込みしてしまったり、費用や時間がかかり手続きが難しいと思う人が少なくない。しかし今回導入された少額訴訟制度は、だれもが簡単な手続きと少ない労力・費用・時間で行えるように配慮されたものであり、いままでのように身構える必要はない。
 「裁判するには少額だし面倒だ」と泣き寝入りになっていた、会社や個人が支払おうとしない売買代金や飲食代金も、同制度を活用することよって、簡単に取り立てられるかもしれないのだ。

◇手続きの流れ
 少額訴訟手続きは、弁護士を使わない本人訴訟ができ、申立手数料は30万円の訴額で3000円、10万円なら1000円となる。このほか、被告を呼び出すためなどに使う郵便代や、原告・被告が法人のとき、法務局で交付してもらう商業登記簿謄本の登記印紙代なども必要だが、勝訴となれば訴訟費用は被告の負担にもできる。
 訴訟を起こすには、訴状を作成し提出しなければならないが、簡易裁判所には事件類型別に作成された定型訴状用紙があり、これを使えばよい。訴状の記入方法や添付すべき証拠書類の説明書もある。何より裁判所の書記官が手続きについて親切に教えてくれるので安心だ。
 なお訴状提出先の裁判所は、原則として相手先(被告)の住所地を管轄する簡易裁判所に提出する。相手先の住所地が大阪市内なら大阪簡易裁判所になるが、市外なら最寄りの簡易裁判所となる。
 訴状が受理されれば、被告には訴状と約一カ月後に行われる口頭弁論期日の呼出し状、少額訴訟手続きの内容を説明した書面などが送られる。被告は自分のすべての言い分である答弁書を、裁判所に提出しなければならない。
 口頭弁論期日までに、原告・被告は証拠書類や必要であれば証人の準備をして、当日に臨むことになる。証人は当日出頭するのが原則だが、電話などの通信手段を使うこともある。
 裁判官は1回の口頭弁論期日で、審理(双方の言い分を聞いたり証拠を調べたりすること)を完了し、即日判決を出す。原告勝訴となったのに、被告が支払い義務を果たさない場合は、強制執行により財産の差し押さえなどを行うことになる。

◇留意すべき点
 大阪簡易裁判所によると、少額訴訟での提訴数は3月上旬までで55件。1月のスタート以来、右上がりに増えているそうだ。訴訟内容は、「売買代金請求」「敷金返還請求」「交通事故損害金請求」「貸金請求」などさまざま。金融業者からの提訴もあるという。
 簡単にできる少額訴訟だが、次のような留意すべき点がある。
(1)30万円以下の金銭の支払い請求に限られる。物の引き渡し請求などはできない。
(2)証拠書類や証人は、審理の日にその場ですぐに調べられるものに限られる。例えば、契約書、領収書、借用書、写真など。即日判決のため、できるだけ多くの自分に有利となる証拠があった方がよい。
(3)多人数の証人尋問や鑑定、現場検証などによる立証が必要となるなど、複雑な事件は少額訴訟には向かない。単純なものほどよい。
(4)原告・被告は判決に不服があるときは異議申し立てができるが、判決に付された「支払い猶予」「分割払い」「期限の利益の喪失」「訴え提起後の遅延損害金の支払い義務の免除」などに対しては申し立てができない。
(5)原則として控訴はできない。
(6)同一の簡易裁判所で同じ年に10回を超えて提訴できない。少額訴訟は、一般市民が平等に利用できる機会を確保すべきであり、特定の者が独占的に利用することが好ましくないからだ。

◇気軽に相談を
 少額訴訟についてもっと詳しく知りたい人は、大阪簡易裁判所の受付相談コーナー(裁判所合同庁舎別館の1階)に行けば、手続きの内容や利用方法について気軽に相談に応じてくれる。また24時間の、音声メッセージとFAX文書送信による「民事手続案内テレホンサービス」も行っているので、忙しい人にはお勧めだ。
 それでも訴訟は初めてで不安とか、少額訴訟に適した内容かどうかわからない、訴状提出から判決後までの協力がほしいという人は、弁護士や司法書士に相談すればよい。いま取引先や個人の支払い拒否で困っている人は、とりあえず裁判所に足を運んでみることだ。
                                         (大引)
【少額訴訟制度の特徴】
・30万円以下の金銭支払い請求に限る
・審理は原則1回、直ちに判決を言い渡す
・証拠書類や証人は審理日に調べられるものに限る
・分割払いや支払い猶予の判決も出る
・申し立ては同一の簡易裁判所に、1人年10回まで

◎大阪簡易裁判所(北区西天満2−1−10TEL:363−1281)。簡易裁判所民事手続き案内テレホンサービス(TEL:・FAX共通番号=363−1501)

●商店街へいらっしゃ〜い
『日本橋筋商店街』

 日本橋筋商店街は、堺筋沿いに北は千日前通りから、南は国道25号線まで直線 800メートルの大商店街。多くの人が「日本橋筋=電器店街」というイメージを抱くとおり、 200店舗ある同商店街のうち約85%が電器店だ。誕生のきっかけは大正末期。真空管などラジオ受信機の部品販売店が、この地区に集まったのが始まりという。戦争で廃虚となったが、戦後の高度経済成長時代、各家庭に電化製品が普及していく上で、日本橋は『供給基地』としての役割を果たしてきた。昭和50年代、家電製品が普及すると、今度は「家電から個電へ」のスローガンのもと、オーディオ・パソコン機器など個人向け電化製品の販売に力点を置くようになった。
 「昨今の不況で、確かに消費者の財布のヒモは固くなった。しかし若者は新技術を用いた製品に対して関心が強く、迷わず買うことが多い。メーカーも若年層対象の新製品を頻繁に出している。ここは最先端商品の発信基地ですから」と語るのは、同商店街振興組合理事長の伊東雅男氏。休日には約10万人の人出でにぎわっているという。
 また「日本橋」は、海外にも知れ渡っている。日本製電化製品を求め、海外からも多くの人々が訪れる。そこで、10年以上も前から英語や中国語、ハングルで表記した看板や案内板、店内放送などを行い、外国人にも利用しやすい商店街を目指してきた。「もはや『日本橋』は、1つのブランド。これを傷付けず、今後大切に守っていくことが、繁栄するか衰退するかのカギ」と力説する。
 そんな商店街にも悩みはある。駐車問題だ。浪速区には公営駐車場がなく、堺筋や商店街近辺での駐車違反が後を絶たない。そこで五年前から周辺の24私営駐車場とタイアップ。来客に利用を呼びかけ、違法駐車追放に取り組んでいる。「駐車料金は商店街側で払っており、コストもかかります。しかし周囲の環境悪化を防ぐことも商店街として大切な役割です」
 ここでは空き店舗問題は発生していない。「日本橋の名が持つ力もあるが、同業者が多いだけに絶えず競争しています。どの店も地域全体の繁栄を考え、客層や取扱商品で差別化を図るなど、共生を目指しています。だから日本橋には、競争に敗れ去った者はいないんですよ」と、きっぱりと語った。
                                         (坂本)
<メモ>日本橋筋商店街振興組合TEL:641−6111 理事長=伊東雅男

●チャレンジする中小企業
『施主の声生かす家づくりを提唱〜アイ・シー企画〜』

 念願かなってマイホームを建てるなら、積極的に『家づくり』に参加したい、という人が増えている。建築設計事務所「アイ・シー企画」社長の長谷川浩一氏は、多様化する施主の声に応え、建築の「オープンシステム」を提唱している。設計・見積もりから施工までを建築士が一貫して管理する画期的な手法だ。
 顧客向けの有料セミナーを開催し、建築士が直接相談に応じる。また専門業者から直接見積もりを取り、専門知識を生かして価格交渉も行う。
 さらに建設会社や工務店を介在させず、個々の専門工事業者に競争入札してもらうことで、低コスト化を実現。通常価格より20〜30%ほど少ない見積もりが出たこともあるという。
 「このシステムで一番重要なのは、お客さんとのコミュニケーション。80%くらいの労力はそこに費やします」と長谷川氏。見積もり・設計には施主と十分な話し合いを持ち、プロの目から見た適切なアドバイスを心がけている。工事中の施工チェックやアフターケアにも気を配る。このシステムには「お客さんにより近い立場で、最後まで責任を持って建築を手がけたい」という長谷川氏の長年の思いが凝縮されている。
 かつて長谷川氏は、大手ゼネコン会社で施工管理を手がけていた。現場に泊まり込み、設計と施工のチェックや労務管理を繰り返す毎日。設計部の作成した「設計図」が、現場の「施工図」によって何度も書き換えられる状況を目の当たりにし、分業状態を排した一貫施工システムの必要性を感じていたという。
 その後「アイ・シー企画」として独立し、山中省吾氏(山中設計社長)の提唱する「オープンシステム」に出会う。雑誌を見て、すぐ訪問し、説明を受けて趣旨に賛同。そのわずか一カ月後には、同システムへの転換を宣言したというスピードぶりだ。事務所のスタッフも、顧客を重視するシステムの趣旨に、快く納得してくれたという。
 現在は、同システムで2件の建築が進行。2年前に始めたばかりのこの仕事で、4月には最初の物件が着工するところまで来た。大工や鉄筋業など工務店への依存の強い業種では、今なお競争入札が困難であるなど、まだ手さぐりで進めているところもある。「苦労はこれから」と表情を引き締める一方で、「お客さんに納得のいく『家づくり』をしてもらえる、という自信と手応え」も十分に実感してきた。
 そして同システムを全国の建築士にアピールし、受注に依存する従来のあり方からの変革を目指すため、「オープンシステム全国ネットワーク会議」を4月に設立する。「アイ・シー企画」はその事務局となる予定だ。「このネットワークを核に、将来は公共工事などの大規模工事も手がけられる体制をつくりたいですね」
 『新しい建築の流通システムを、お客さんのために−−』。この信念を長谷川氏が持ち続ける限り、同システムはこれからも多くの人から信頼と実績を得るだろう。今後の活躍が楽しみな企業だ。

<メモ>▽所在地=淀川区西中島6−7−11小谷第一ビル401号▽TEL:866−4312▽代表=長谷川浩一▽事業内容=建築設計▽従業員数=5人▽資本金=1000万円

●お知らせ

◆韓国語教室
 4月6日〜9月21日、大商ビル5階の関西日韓協会で。上級A=月曜午後6時〜7時30分、上級B=月曜午後7時30分〜9時、中級=木曜午後6時〜7時30分、初級=木曜午後7時30分〜9時。講師は任美姫氏。受講料は各級とも50,000円。テキスト代2,000円。TEL:942−5518

◆NPO政策フォーラム
 テーマは「コミュニティ再生の時代」。佐伯啓思・京大教授による記念講演のほか、自治体・企業・ボランティア団体の代表によるパネルディスカッションも開催。NPO政策研究所主催。4月23日午後1〜5時。ザシティクラブ(中央区瓦町3−6−10)で。定員120人。有料。要申込み。
◎同研究所TEL:0742−61−9969

◆大学等卒業予定者の採用・就職活動にかかる取り扱いについて(大阪府労働部)
 大学等卒業予定者の採用・就職活動が円滑に行われるよう次の5つの事項についてご配意をお願いします。(1)倫理憲章・申し合わせ・公共職業安定機関の取り扱い日程の周知(2)高校卒業予定者などの安定的な採用の確保(3)男女雇用機会均等法の趣旨に沿った採用(4)学生の自由な就職活動を妨げない(5)募集の中止・募集人員の削減、採用内定取り消し・就職時期繰り下げが生じないよう、的確な採用計画に基づいて採用内定をおこなうこと。

●エコ・メッセージに出展しませんか

 アジア商工会議所連合会(会長=大西正文・大商会頭)は9月9〜11日、大阪国際見本市委員会との共催により、大阪南港のインテックス大阪で「ダイナミック・アジア(アジア中小企業見本市)」を開催する。
 現在、そのテーマゾーンである「エコ・メッセージ」には大手企業を中心に大規模な出展が予定されており、エネルギー・環境技術情報の一大発信地となる。
 「エコ・メッセージ」は、環境改善技術の情報を世界に発信し、今後ビジネス・チャンスの拡大が期待されるこの分野での企業間交流を促進するのがねらい。
 大阪国際見本市委員会では、「エコ・メッセージ」が100ブースを上回る規模になるよう引き続き環境技術で先行する在大阪・関西の企業を中心に出展を呼びかけている。また、電子・通信機器や生活用品などの業種別ゾーンについても出展者を募集している。
【問合せ】国際部TEL:944−6400

●サービスさらに充実〜大商提携のホテル・検診など〜

 出張、レジャーにご利用いただいております会員優待ホテルの数が、下表の通り、大幅に増えました。会員料金も一部変更になっていますので、ご確認下さい。新幹線のエコノミーチケットもありますので、併用をお勧めします。
 健康管理事業では、昨年11月から巡回検診車による胃・胸部・消化器系検診を行っていますが、この4月からは、新たにエクセレントドック(総合・がん検診)を加え、一層充実した内容になります。
 また、健康管理事業のすべてがわかる「健康管理ガイド98年度版」ができましたので、希望の方は会員サービス課にご請求下さい。
 なお4月から、脳ドックの検診料がAコース(血液検査含む)=会員70,000円・一般76,000円、Bコース(血液検査なし)=会員60,000円・一般66,000円となっています。
【問合せ】会員サービス課・民谷TEL:944−6253

<会員優待ホテル料金>(平成10年4月1日〜平成11年3月31日)
 会員料金については、シーズンにより一部割引が出来ない場合がありますので、ホテル予約の際ご確認下さい。
※TEL番号は、全て予約窓口です。

札幌  札幌東急イン          S: 8,100、T:17,640(TEL:314-1090)

東京  三田都ホテル          S:10,340、T:14,960(TEL:341-3323)
    ホテルモントレ山王       S: 7,920、T:14,400(TEL:262-2761)
    ニューオータニイン東京     S:11,550、T:18,700(TEL:941-7021)
    アークホテル東京        S: 8,000、T:14,000(TEL:245-4621)

横浜  ニューオータニイン横浜     S: 6,600、T:13,200(TEL:941-7021)

名古屋 名古屋都ホテル         S:10,000、T:18,480(TEL:341-3323)

京都  都ホテル            S:13,500、T:20,200(TEL:341-3323)
    新都ホテル           S:11,000、T:19,800(TEL:341-3323)
    京都新阪急ホテル        S:10,477、T:19,048(TEL:371-6600)

大阪  都ホテル大阪          S:13,200、T:19,800(TEL:773-1111)
    新阪急ホテル          S:10,477、T:17,143(TEL:372-6600)
    リーガグランドホテル      S: 9,524、T:17,143(TEL:202-1212)

兵庫  ギャラクシー淡路リゾートホテル S:11,000、T:15,400(TEL:312-5657)

四国  リーガロイヤルホテル新居浜   S: 8,800、T:19,000(TEL:441-0942)

九州  博多都ホテル          S: 9,500、T:16,000(TEL:341-3323)
    ホテルニューオータニ博多    S:13,200、T:23,100(TEL:941-7021)
    ホテルステーションプラザ    S: 9,300、T:16,500(TEL:441-0942)
    小倉東急イン          S: 6,500、T:10,000(TEL:314-1090)

             (S:シングル、T:ツイン、税別・サービス料込み)

●【大商ニュース】広告掲載を募集

 大商は、本紙「大商ニュース」の広告を募集している。対象は、大商会員。掲載料は1ページあたり28,350〜367,500円。
 大商ニュースは、毎月3回発行(年31回発行・休刊は年5回)で、発行部数は約61,000部。大商会員企業などの経営者・経営幹部に配付している。
 広告に関する問い合わせは、企画広報部広告担当・伊藤または岡本TEL:944−6322まで。

●【グレーター・マンチェスター】日本研究所に寄付を

 大商は、英国マンチェスター大学の関係機関で、日英経済交流の研究や英国人学生に日本語教育を実施しているグレーター・マンチェスター日本研究所の施設拡張資金への募金を呼びかけている。
 大商と同研究所は昨年9月、マンチェスターにおいて「大阪/マンチェスター・フォーラム97」を開催した。フォーラムでは、大阪・関西とマンチェスター・北西イングランドの両地域の産官学代表者がビジネス・パートナーシップ強化の方途について討議し、大きな成果を得た。
 同研究所では、フォーラムの成功を踏まえて、日本の産業活動や技術開発、企業経営、特に関西との経済関係強化策に焦点を当てた新たな研究分野を手掛ける計画で、そのために研究所施設の拡張・改装を行う。募金は1口50,000円から。
【問合せ】国際部TEL:944−6402

●大商セミナー

▼以下の問い合わせは企業研修部 研修担当TEL:944−6422へ。
【新入社員基礎講座】
 経済界のリーダーや著名人から、企業人としての心構えや職場での人間関係のあり方、マナー・エチケットを学ぶ(下表参照)。Aコース4月2日、Bコース4月3日、大商国際会議ホールで。受講料=A・Bコースとも会員12,500円、一般19,000円。定員は両コースとも 500人。

◆Aコース 4月2日(木)
10:00〜10:40 『諸君に期待する』
       大阪商工会議所議員 日本電信電話(株)副社長 浅田 和男氏

10:50〜12:10 『仕事の基本と業務KAIZEN』
       日本HR協会KAIZEN事業部 東澤 文二氏

<昼食休憩(自由)>

13:25〜14:55 『社会人としてのビジネスマナー・エチケット』
       JALアカデミー(株) 星野 恵子氏

15:10〜16:40 『名選手も出発はゼロから』
       NHK解説委員・国立鹿屋体育大学客員教授 西田 善夫氏

◆Bコース 4月3日(金)
10:00〜10:40 『諸君に期待する』
       大阪商工会議所常議員 東洋紡績(株)会長 瀧澤 三郎氏

10:50〜12:10 『仕事の基本と業務KAIZEN』
       日本HR協会KAIZEN事業部 東澤 文二氏

<昼食休憩(自由)>

13:25〜14:55 『社会人としてのビジネスマナー・エチケット』
       JALアカデミー(株) 星野 恵子氏

15:10〜16:40 『オリンピックへの道』
       バルセロナ五輪銅メダリスト・大阪五輪招致推進会議委員 奥野 史子氏

【ビジネスマナー入門講座】
 若手社員を対象に、心構えやマナー、効率的な仕事の進め方を学ぶ。4月7日午前10時〜午後5時、大商会議室で。講師は経営コンサルタントの竹島義昭氏。受講料=会員24,000円、一般36,000円。定員80人。

【新入社員接遇・応対講座】
 実習やロールプレイングを中心に、来客接遇・電話応対などを学ぶ。(Bコース)4月8・9日午前10時〜午後4時30分、大商会議室で。講師はザ・アール専属講師の小林美和子氏。受講料=会員34,000円、一般51,000円。(Cコース)4月14日午前10時〜午後5時、大商会議室で。講師はザ・アールの専属講師。受講料=会員24,000円、一般36,000円。定員は両コースとも60人。

【新入社員パソコン速習講座】
 Windows95、Word97、Excel97の基本操作を習得する。(Aコース)4月10・11日(Bコース)4月14・15日午前9時〜午後5時、エールリカレントカレッジ(難波駅近く)で。講師は同カレッジ専任講師。受講料=会員28,000円、一般42,000円。定員は両コースとも18人。

【新入社員合宿訓練講座】
 ビジネスマナー、規律、職場でのチームワークなど、社会人にとって不可欠な知識・行動を体得する。4月16〜18日大商賢島研修センターで。講師は実践教育研究所所長の三浦操氏ほか。受講料=会員58,000円、一般87,000円。定員70人。

【実践ビジネス電話応対講座】
 実習やロールプレイングを通じて、電話応対の基礎からクレーム処理まで学ぶ。(Aコース)4月21日(Bコース)4月22日(Cコース)4月23日午後1〜5時、大商会議室で。講師は才感知創研究所の肥田木恭子氏。受講料=会員18,000円、一般27,000円。定員は3コースとも35人。

【ビジネス文書入門講座】
 ビジネス文書作成の初心者の人を対象に、基本知識を正しく理解し、基本的なビジネス文書の作成まで分かりやすく指導。5月13日午前10時〜午後5時、大商会議室で。講師はザ・アール専属講師の小林美和子氏。受講料=会員24,000円、一般36,000円。定員60人。

【営業社員基礎講座】
 若手営業社員を対象に大競争時代に強い営業力とは何かを考え、営業の心をつかむ商談テクニックを養う。5月14日午前10時〜午後5時、大商会議室で。講師はマネジメント・コンサルタントの植田光明氏。受講料=会員24,000円、一般36,000円。定員60人。

【営業マネージャー指導力強化合宿】
 厳しい環境を勝ち残る営業パワーの創業と、日々の部下指導に即役立つ実践的な管理手法を習得する。5月21・22日(1泊2日)、コスモスクエア国際交流センターで。講師はマネジメント・コンサルタントの植田光明氏。受講料=会員63,000円、一般94,500円。定員30人。

【第11回幹部錬成合宿訓練】
 管理職などを対象に、優れた統率力・行動力を持つ真の経営幹部を育成する。6月9〜12日大商賢島研修センターで。講師は実践教育研究所所長の三浦操氏。受講料=会員92,000円、一般138,000円。定員30人。


▼以下の問い合わせは企業研修部 検定担当TEL:944−6422へ。
【商業簿記講習会】
 日商簿記検定3級合格を目指す。4月6日〜5月27日(計12回)午後6時30分〜8時30分、マイドームおおさかで。講師は大商簿記検定試験委員の井上賢二氏。受講料=会員30,000円、一般35,000円。定員90人。

【2級簿記受験対策講座】
 4月3日〜5月25日(計15回)午後6時45分〜8時45分、大商会議室で。講師は大商簿記検定試験委員の吉田常行氏(工業簿記)と矢野光利氏(商業簿記)。受講料=会員40,000円、一般50,000円。定員70人。

【カラーコーディネーター3級検定試験直前対策講座】
 6月21日開催の検定試験に向けて勉強方法や試験の予想、ポイントの把握を目的に講習会を開催。4月8〜17日(全6回)午後6時30分〜8時30分、大商会議室で。講師はカラリストの前田典子氏。受講料=会員・学生30,000円、一般35,000円。定員90人。

【3級販売士養成講習会】
 5月20日〜6月17日(全13回)午後6時30分〜8時30分、大商会議室で。講師は東海総合研究所チーフコンサルタントの神野俊和氏、阪神百貨店お客様相談室の鈴木栄子氏、日産学園カウンセラーの石井康治氏。
受講料=会員・学生30,000円、一般35,000円。定員70人。※ボックスNO.122
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【国際ビジネスマン養成講座】
 新入社員はじめ新たに貿易業務に携わる人を対象に貿易実務の基礎を理解してもらう。5月12日〜6月25日(全25回)午前9時30分〜正午、大商会議室で。受講料=50,000円。定員80人。
◎国際部TEL:944−6412

【プロジェクト集好評発売中】
 西日本2府17県で計画・進展中の主要プロジェクトの概要を、詳細なデータや絵図表で紹介する「関西圏・環瀬戸内圏主要プロジェクト」を好評発売中。1部 3,000円。大商売店(TEL:944―6566)などで販売。
◎プロジェクト推進部TEL:944―6333