4.商店街支援組織による活性化事業−町・街トラスト計画− 4-(1)設立主旨 天神橋筋商店街は大阪天満宮の表参道として歴史は古く、吉本興業発祥の地であり、大阪の芸能、文化が栄えた地としても有名である。商店街に息づく「なにわ商人」の心意気ややさしさ、そして人情が今も生きており、その中には形では表現できない大切な存在が感じられる。これらは商店街の当事者だけのものではなく、もはや大阪の大切な財産と言える。そこで、これら有形無形の財産を守り、次代に継承するために、イギリスの自然保護活動の発想法に注目した。 約100年前の1895年、近代化がすすむイギリスでたった3人の人々が乱開発から自然を守るべく「ナショナルトラスト運動」を提唱、以来この活動は世界中に輪が広がっている。日本では天神崎の保護でこの手法が採用された。多くの賛同者が共同で保存すべき自然を買い取り、開発の手から守るという「ナショナルトラスト活動」は、小さな存在である個人の想いがいかに大切かを示している。 天神橋筋商店街は人間が作った町である。しかし自然を保護することと同様に、ここには21世紀へ継承したいことが数多く存在する。 天神橋筋商店街を愛する内外の有志を募り、「天神橋筋という町、商店街の文化、街並み、なにわ商人の心意気・やさしさなど有形無形の財産を守る活動」を行い、名付けて「天神橋筋・町街(まちがい)トラスト計画」とする。
4-(3) 活動の基本的考え方 活動は、天神橋筋商店街を中心に多彩に展開する。基本的考え方として過去、現在、未来という3つの視点から活動を行う。第1に歴史を探ることにより、価値ある情報、文化、風俗、そしてなにわ商人達の変遷を次の時代に伝える。第2に現在の商店街の価値をもっと感じ、交流し、遊び、安らぐことのできる場づくりを実践する。
4-(4) 町街(まちがい)トラストの基本テーマ
天神橋筋には、1000年の歴史を誇る大阪天満宮や400年前に形成された寺町通り等、歴史あるものが多い。このことは大阪市民でも意外と知られていない面も多い。 特に寺町には歴史上著名な人々のお墓が点在し、大阪の歴史を知る上でも興味深い地であったことがうかがえる。天満宮周辺にも、天下の台所とよばれた天満の青物市場や造り酒屋など商売と食の町のルーツがあちこちに残る。 これらの歴史的な町街には当然さまざまな人々が集まり、文化が栄えた。井原西鶴もいわば天神さんの町のファンであり、当時の大阪のよさを謳歌しながら著名な作品を創作したと言えるのではないだろうか。 このような歴史を今改めて見直し、現在に活かす。単に歴史を掘り返し、研究するにとどまらない創造的な未来への町活かしの実践が活動の基本となる。 1.トラスト基本テーマ1「歴史ある町を見つめ直し、今に活かす」
4-(5) テーマ別の活動について 1.トラスト基本テーマ1「歴史ある町を見つめ直し、今に活かす」 大阪の天神橋筋商店街にしかない独自の文化は貴重な財産であるとともに、大阪人が次代に伝えるべき大事な財産である。この財産を多用な手法で守り、また現代の楽しみ方で多くの人々と交流の場を作る。単に歴史を研究するだけではなく、今に活かすことが大切だと考える。 <活動手法例>
○歴史散歩道のサイン設置(提言や設置支援活動) ○寺町の歴史散策ルートづくり(下地の調査から実際に楽しめるルート作成とネットワークの形成) ○各時代の商売の歴史の研究・体験機会づくり(各商店に残る歴史的財産、書物、各種道具、写真、教え、習わし、風習などの集大成化と情報発信活動。これは天神橋筋界隈の魅力づくり、賑わいの創出につながる) 2.トラスト基本テーマ2「人の温もりを守る」 <活動手法例>
○大阪弁、特に商い言葉の研究や関連イベントの実施 3.トラスト基本テーマ3「魅力ある町街づくりを応援する」
○高齢化社会に対応する環境の整備(点字による町のサイン表示、世代間交流の機会づくりー智恵の伝承・ふれあい活動など) ○新しい商店街づくりへの提言・夢づくり活動
4-(6) 活動事例について
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2003.4.1更新 |