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U 活性化方策の重点プロジェクト

1.天神橋筋商店街周辺回廊整備計画−天神橋大回廊−

1-(1) 提案の背景と目的


    ○歴史と伝統ある天神橋地域を大阪の新しい顔としてアピールしていくために、商店街の活性化とあわせて、周辺地域との回遊性を生み出したり、多様な資源や各種プロジェクトとの結びつきを高めることによって、商店街を中心として地域の一体性を生み出すとともに、ここを訪れる人々が大阪の新しい魅力を発見できるような回廊を創出することを目的とする。

    ○また、この回廊整備の際には、天神橋筋商店街の周辺資源を活かすとともに、商店街の環境問題に関しての課題を解決していくことを目的とする。

1-(2) 活用すべき資源

    ○大阪を代表する文化歴史ゾーン、自然景観ゾーンと商店街を結ぶ
    ・大川: 水の都大阪の歴史の中心であった大川は、緑豊かな水辺の風景や天神祭りの舞台、桜の通り抜けOAPなど、現代大阪の名所のひとつ。
    ・キタ: 大阪都心部の商業集積地として常に新しいトレンドを生み出す地区。天神橋地域とは天満宮への参詣道や天神橋筋商店街から西に延びるいくつかの商店街によって回遊性を持つ。
    ・中之島: 歴史的な建造物や文化施設、緑豊かな公園、水辺の景観など大阪の代表的なアメニティ豊かな地域。天満市場のあった地区として天神橋筋商店街とはゆかりのある地区。

    ○天神橋筋商店街に関連する鉄道駅と周辺の鉄道駅や水辺のターミナル等を結ぶ


      ・天神橋筋商店街の3つの駅

        地下鉄天神橋筋六丁目駅、JR天満駅+地下鉄扇町駅、地下鉄南森町駅+JR大阪天満宮駅

      ・周辺の3駅等

        地下鉄梅田駅+JR大阪駅、地下鉄淀屋橋駅+京阪淀屋橋駅、JR桜ノ宮駅、OAPの水上バスターミナル

    ○商店街周辺の資源やプロジェクト等を活かす

1-(3) 回廊ルートの設定

    ○回遊ルートの設定にあたっては、天神橋筋商店街を1丁目から6丁目までを一本の線として貫く軸と考え、商店街に立地するそれぞれの拠点(地下鉄天神橋筋六丁目、JR天満駅周辺、天満宮、天神橋三丁目商店街)と周辺地域の資源を結び付けるルートづくりをめざす。 ○回遊ルートについては、すでに整備されている「歴史の散歩道」や国道1号の大阪ひろばみち計画など、既存の整備ルートや計画との調和を考慮する。
    ○天神橋筋商店街の周辺地域の資源を活用した回廊ルートの設定については、次の4つのルートを基本として考えていく。

      1.大川ルート

      ・天神橋筋六丁目〜都島橋〜桜ノ宮駅〜源八橋〜OAP周辺(泉布観等)〜天神橋及び天神橋一丁 目商店街をつなぐ全長約3,700mのルート。

      ・大川沿いの水辺の景観を楽しむルートであり、川沿いに広がる公園内には緑豊かな遊歩道が設置 されている。また、桜の季節には通り抜けや天神祭りの見学ルートとして、OAPに接する水上バスターミナルからは水上バスによる川からの眺めを楽しむことのできる、「水の都」大阪らしさを感じさせる回遊ルートである。


      2.OAPルート

      OAP(歴史の散歩道)〜天神橋三丁目商店街をつなぐ全長約850mのルート。
      ・OAPのホテルや商業施設から歴史の散歩道に設定されている寺の集積する地区を通って天神橋筋商店街(天三)とを結ぶ。


      3.天満宮参詣ルート

      ・大鳥居〜老松通〜同和火災ビル(御堂筋プロムナード)に至るルート及びサブルートとして老松通〜 大阪地方裁判所〜中之島公園に至る全長約1,250mのルート。

      ・大鳥居から御堂筋に至るルートは天神祭りの参詣道として天神祭の際には地車が通る道である。また老松通にはギャラリー等も多い。サブルートの中之島へのルートは大阪地方裁判所周辺の緑豊かな遊歩道を通って、中之島公園内の中央公会堂や東洋陶磁美術館などの文化施設とバラ園や水辺の遊歩道等が魅力ある遊歩ルートである。


      4.扇町ルート
      ・JR天満駅〜扇町キッズパーク〜扇町公園〜扇町ミュージアムスクエア〜阪急東通商店街〜阪急東(泉の広場北側)をつなぐ全長約1,150mのルート。

      ・天神橋筋四番街商店街の天満駅周辺から扇町キッズパーク、扇町公園を通って扇町ミュージアムスクエアから阪急東通商店街を回遊し、梅田方面へとつながるルートである。


1-(4)拠点整備の方針

1. JR天満駅周辺環境整備プラン(JR天満駅〜扇町キッズパーク)

    JR天満駅周辺は地下鉄扇町駅との乗り換えや天神橋筋商店街の中間点にもあたることから、一定規模の乗降客が利用する。さらには、区民ホールでのイベントや「扇町キッズパーク」といった集客施設のオープンによって今後の利用客の増加も想定される。また、商店街の特色としてレジャー施設や飲食施設が周辺に集積していることにより、駐輪問題等をはじめとする環境整備上の課題が多く発生している。したがって、商店街施設の環境及び周辺地域とのアクセス性等について良好な環境を創出するために駅周辺を中心として歩行者に配慮した道づくりを進めていく。

    ○整備内容

      ●商店街と駅及び扇町キッズパークを結ぶ安全な道づくり
        駅の利用者が病院や文化施設など周辺の施設を利用したり、商店街へのルートにあたる道路については、高齢者や障害者など誰もが安全に行動できるよう、段差の解消や舗装路面の改修など適切な周辺道路整備を要望していく。


      ●歩行者が魅力を感じることのできるような沿道の修景整備

        レジャー施設周辺や駅利用者による見苦しい不法駐輪に対応するため、駅周辺に適切な規模の駐輪場を設置したり、規制の強化や利用者のマナー向上に向け、沿道の修景整備とあわせて商店街と行政が一体となって整備を進める。

      ●駐車及び進入車対策の実施

        駅周辺のマンション周辺の駐車車両や商店街への車での来客などに対して、駅周辺での交通規制の強化などを当局に要望していくとともに、商店街としてもマナー改善に向けてのキャンペーンなどを行う。

      ●JR天満駅前の景観整備


        駅前の出入り口については、商店街の裏側にあたり、レジャー施設等もあることから駐輪などによる景観阻害が見られる。駅施設の魅力的な景観づくりはもとより、前面の商店や居住者と協力して魅力ある駅前景観の整備を進める。

      ●駅から扇町キッズパークや商店街への適切な案内サインの設置


        天満駅から扇町キッズパークへの適切な誘導サインを設けるとともに、扇町キッズパークから商店街へのエントランス部については、魅力的な案内版等を設置して商店街への誘導を積極的に図る。


2.夫婦橋周辺整備プラン(夫婦橋の復元)
    天神橋三丁目商店街と天神橋筋四番街商店街を分断する阪神高速道路の高架下には夫婦橋の柱碑がある。これは、天満堀川が埋めたてられて現在の高架道路となる以前から歴史的な背景をもって二つの商店街を結んでいた夫婦橋のなごりでもある。現在の高架下の環境整備上の観点から、さらには、商店街の新しい名所として夫婦橋のイメージを活用した新たな空間づくりを進めていく。

    ○整備内容
      ●夫婦橋の復元

        ・昭和初期当時のイメージを活かした橋柱による照明の整備
        ・欄干の復元整備(昭和初期の夫婦橋)

      ●顕彰碑の設置


        ・天満堀川の歴史や夫婦橋のいわれなどを紹介する顕彰碑を設置

      ●案内板等の設置


        ・商店街を訪れた人々に夫婦橋を名所として認識してもらえるよう顕彰碑及び商店街の案内板等を設置する。

      ●休憩ベンチ等の設置


        ・回廊を歩く人々の休憩施設として、ベンチ等を設置する。

3.関連プロジェクトとの連携活用

    ●住まい情報センター

      天神橋六丁目に、「住むまち・大阪」の魅力をアピールする住まいのすべてがわかる情報センターが建設中である。館内は住まいや暮らしに関する情報提供や相談を行う住情報プラザや江戸期の大阪の街並みを再現したミュージアムなどで構成され、住まいに関する情報の提供だけでなく体験しながら楽しめる住まいの総合的な情報発信拠点となる予定である。

    <提案 >
    この住まい情報センターの1階エントランス部分は商店街に面しており、一定規模の広場スペースが確保されるため、この空間を活用して商店街のPRや活性化のイベントなどに活用していく。

    ●天満卸売市場再開発

      「天満市場」は古くは、石山本願寺の門前に開かれた市までさかのぼり、江戸時代、大阪三大市場の一つと称され、場所も京橋南詰め(1616年)にはじまり、大川沿いの天神橋北詰め上手から滝田町までの浜側に移転(1653年)、青物市場として繁栄していた歴史を持つ。その後昭和24年に現在の位置に移転し、大阪天満市場(株)として開設してきた。しかし、近年は営業者の高齢化や後継者不足による空店舗の増加と施設老朽化に伴い、施設更新と市場活性化に向けて再開発に向けて事業が進められている。

    <提案 >
    天満市場は現在でも天神橋筋商店街の裏側に位置する、庶民向けの食材供給の場として独特の雰囲気を持った市場として賑わっている。再開発にあたっては現在の特色を活かしながら、周辺の界隈性の魅力づくりを進めていくために、案内機能や休憩施設の整備のほか、昔の市場らしさなどを生み出すような空間づくりを行う。

    ●扇町公園再整備計画

      天神橋筋商店街に隣接する扇町公園周辺では、子どものための博物館「キッズプラザ大阪」を中核とした放送メディア施設や飲食からなる複合施設である「扇町キッズパーク」が平成9年に完成し、新たな集客拠点となっている。そうした状況の中で、平成14年の完成を目標として扇町公園の再整備計画が進められている。

        ○公園整備の4つのテーマ
      • ・花と緑:都市の高密度空間における花と緑と潤いのある空間の創出

      • ・水と光:北区は三方を川に囲まれた水縁都市であり、水の都大阪を象徴した空間とする。また、潤い・安らぎを一層イメージづけるとともに夜も魅力的な公園として光の演出を行う。

      • ・スポーツ:ビジネスマン、若い人々、近隣の住民のスポーツの場として親しみのある場

      • ・イベント:人々が集い親しみ様々な表情を写し出す地域の華やかな賑わいの舞台。

    <提案>
    扇町公園整備計画については、大阪の森ゾーンの整備に関連して天満宮にちなんだ梅の木の植樹を要望していくとともに、公園から商店街へのエントランスとしての空間づくり、遊歩道の魅力づけを図る。


1-(5)街路整備の方針

1.天六から桜之宮駅


    ○整備内容
      ・天神橋筋六丁目駅から都島橋までの道路の修景整備、歴史の散歩道との連携
      ・桜之宮中野地区及び大川方面への案内サインの整備とルート上の休憩施設等の整備
      ・天神橋七丁目商店街及び飛翔橋から淀川リバーサイド地区へのルート整備

2.OAPから商店街


    ○整備内容

      ・OAPから天三商店街までの道路の修景整備及び歴史の散歩道と調和させながら、アメニティストリートとしての魅力づくりを促進。 ・ルート上の地域資源の発掘や案内サインの設置
      ・沿道の緑化や歩道の整備

3. 天満宮からキタ・中之島

    ○整備内容
      ・ルート上に関連する都市計画道路の整備
      ・大鳥居から参詣道にかけての高架下の修景整備
      ・老松通のギャラリー街、アンティークショップ街との連携
      ・中之島公園への誘導サイン等の整備

4. 扇町公園(天神橋筋六丁目・中崎町)から阪急東

    ○整備内容
      ・扇町公園の再整備による遊歩道整備と商店街への誘導サインの整備
      ・扇町ミュージアムスクエアとの連携
      ・扇町公園周辺から中崎通商店街、天神橋筋六丁目方面へのルート整備

1-(6) サイン等の整備


    回廊の拠点や街路事業とあわせて、歩行者にわかりやすく、特色のある案内板や標識などの整備を行う。


1-(7) 回廊のモデルコース設定及びガイドマップの制作

    回廊のモデルコースとして各ターミナルから30分、1時間、3時間等の時間別コースを設定し、コースを紹介するガイドマップを制作して事業の周知・普及を図る。以下に、参考例を示した。

1-(8)事業化に向けた課題

    ○ルート上にあたる街路事業の事業スケジュールとの調整及びルート化の連携
    ○各ルートにおける統一サインの検討及び事業化に向けての検討
    ○ルートづくりにおいて課題となる道路施設の環境阻害要因への対応
    ○拠点地位整備に関しての行政への要望及び連携
    ○ルート作成にあたっての周辺関連機関や周辺商店街等との合意形成
    ○ルートに関する詳細な調査と活用すべき資源の発掘及び活用方策の検討
    ○ルート全体の実現に向けた長期的なスケジュールの作成と整備の優先順位や段階的整備に関する方針の検討


<目 次>


2003.4.1更新
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