大阪商工会議所 HOME

資金調達・資金繰りに関する調査結果について
(平成12年9月)
大阪商工会議所では、四半期毎に実施している「経営・経済動向調査」(第113回)の付帯調査として「設備投資・雇用動向に関する調査」を実施し、 この度結果を取りまとめた。結果の概要は以下の通り。

<調査の概要>
調査時点 平成12年8月下旬〜9月上旬
調査対象 大阪府下に本社・本店を有する1,297 社の経営者
回答企業 642社(うち大企業298社、中小企業344社)
回答率 49.5%

<調査結果の概要>
 ・企業の資金調達は依然間接金融中心。資金調達の多様化はあまり進まず。
 現在の資金調達方法は、「銀行借入等間接金融中心」が67.1%、「自己資金中心」が20.2%、「間接金融と直接金融(社債、株式等の発行)の併用」が10.1%となっている。規模別にみると「銀行借入等間接金融中心」が大企業で60.1%、中小企業でも73.3%と、ともに間接金融が中心となっている。「間接金融と直接金融の併用」は大企業で18.1%、中小企業で3.2%に止まっている。今後の資金調達方法は、「現状とあまり変わらない」が73.5%、「現時点では不明」が11.2%、「間接金融の比重を増やす」が5.8%、「直接金融の比重を増やす」が5.5%となっている。


 ・ 金融機関の貸出態度が「厳しくなった」との回答は1割強。

 現在の金融機関の貸出態度については昨年同期と比べ「あまり変わらない」(74.1%)が大勢を占めた。一方、「厳しくなった」と回答した企業(13.2%)に金融機関の貸出態度が厳しくなった理由を尋ねると、「自社の業績が悪化した」が40.0%、「担保の資産価値が目減りした」が35.3%、「金融機関の選別融資が強化された」が18.8%となっている。また、金融機関側の具体的な対応は、「担保の追加を求められた」「既存借入金の返済を求められた」が29.4%と最も多くなっている。
T.資金調達について
1.現在の資金調達方法
 現在の資金調達方法について尋ねたところ、「銀行借入等間接金融中心」が67.1%、「自己資金中心」が20.2%、「間接金融と直接金融(社債、株式等の発行)の併用」が10.1%となっている。
規模別では「銀行借入等間接金融中心」が大企業で60.1%、中小企業では73.3%と、ともに間接金融が中心となっているが、大企業においては「間接金融と直接金融の併用」が18.1%と中小企業(3.2%)に比べ高い。
 業種別では製造業の大企業で「間接金融と直接金融の併用」が27.5%と直接金融の利用割合がやや高くなっている。
2.間接金融の主な資金借入先(複数回答可)
 1.で「間接金融中心」または「間接金融と直接金融の併用」と回答した企業に間接金融の主な資金借入先を尋ねたところ「都市銀行」(85.3%)、「地方銀行」(30.4%)、「政府系金融機関」(29.0%)の順となっている。
 規模別では「都市銀行」が大企業(89.3%)、中小企業(81.7%)とも最も多く、大企業は第2位に「地方銀行」(33.0%)、中小企業では「政府系金融機関」(31.9%)となっている。また、「信用金庫」の割合が中小企業で16.0%と大企業の7.7% に比べ高い。
 業種別にみても「都市銀行」が製造業(84.4%)、非製造業(86.1%)とも最も多い。
3.直接金融の資金調達方法
 1.で「間接金融と直接金融の併用」と回答した企業に直接金融による主な資金調達方法について尋ねたところ、「社債」と回答した企業が84.6%に及び、「株式」は7.7%にとどまっている。
4.今後の資金調達方法
今後の資金調達方法について尋ねたところ、「現状とあまり変わらない」が73.5%と最も多く、「現時点では不明」が11.2%、「間接金融の比重を増やす」が5.8%、「直接金融の比重を増やす」が5.5%となっている。
 規模別では「現状とあまり変わらない」が大企業(75.8%)、中小企業(71.5%)とも第1位となっている。大企業で 「直接金融の比重を増やす」が6.4%と第2位となっているが、中小企業では「間接金融の比重を増やす」が6.7%と第2位となっている。
5.特定社債保証制度に対する考え
 本年4月から私募社債に対して信用保証協会が保証を付与する「特定社債保証制度」がスタートしたが、その利用について各企業に尋ねたところ、「現時点では利用について不明」が43.6%、「利用しない」が30.4%、「中小企業ではないため同制度の対象外」が15.4%となっており、「利用を検討したい」は7.9%に止まっている。
6.私募社債を発行しない理由(複数回答可)
私募社債の発行を検討していない中小企業経営者にその理由を尋ねたところ、「社債発行に関するノウハウが不足」が20.3% となり、続けて「長期資金ニーズがない」が19.2%、「金利、手数料等発行コストが高い」が14.2%、「現行制度の発行基準 に満たない」が12.2%、「必要担保条件が厳しい」が11.3%となっている。
7.ナスダック・ジャパン市場に対する考え
 大阪証券取引所内に開設されたナスダック・ジャパン市場に対する考えを尋ねたところ、「特に関心はない」が82.4% となった。他方、「資金調達市場として将来的には利用(上場)したい」(9.0%)、「資金調達市場として利用(上場)を検討したい」(1.9%)はあわせて10.9%となっている。なお、「資金運用のための市場として利用(上場)したい」は3.0%。
U.資金繰りについて

1.昨年同期と比べた金融機関の貸出態度の変化
 昨年同期に比べ金融機関の貸出態度にどのような変化があったか尋ねたところ、「あまり変わらない」が74.1%、「厳しくなった」が13.2%、「楽になった」は7.0%となっている。
 規模別、業種別にみると非製造業の中小企業で「厳しくなった」が18.3%とやや高くなっている。
2.金融機関の貸出態度が厳しくなった理由
 1.で「厳しくなった」と回答した企業に金融機関の貸出態度が厳しくなった理由を尋ねたところ、「自社の業績が悪化した」が40.0%、「担保の資産価値が目減りした」が35.3%、「金融機関の選別融資が強化された」が18.8%となった。
 業種別に見ると、製造業では「担保の資産価値が目減りした」が47.1%、非製造業では「自社の業績が悪化した」が43.1%とそれぞれ最も多くなっている。
3.貸出態度が厳しくなった金融機関の具体的な対応(複数回答可)
 貸出態度が厳しくなった金融機関の具体的な対応について尋ねたところ、「担保の追加を求められた」「既存借入金の返済を求められた」が29.4%、「借入申込を断られた、または減額された」「以前より高い金利を求められた」が24.7%、 「信用保証付きを求められた」「審査期間が長期化した」が18.8%となっている。
 規模別に見ると、大企業では「担保の追加を求められた」(36.7%)、中小企業では「既存借入金の返済を求められた」(29.1%)がそれぞれ第1位となっている。
4.貸出態度の厳しくなったことへの対応(複数回答可)
 金融機関の貸出態度が厳しくなったことに対する今後の対応について尋ねたところ、「資金計画を見直す」が51.8%、「自社の資産を売却する」が27.1%、「政府系金融機関を利用する」が25.9%、「信用保証協会を利用する」が21.1%、「取引金融機関を変更する」が12.9%と続いている。
 規模別では大企業で「資金計画を見直す」が70.0%、次に「自社の資産を売却する」が43.3%と続くが、中小企業では「資金計画を見直す」が41.8%に止まり、「政府系金融機関を利用する」が32.7%、「信用保証協会を利用する」が27.3%と続き、政策金融への依存割合いが高くなっている。
 業種別では、製造業の中小企業で第1位に「政府系金融機関を利用する」(48.0%)、第2位に「信用保証協会を利用する」(36.0%)となっているのが特徴。
5.貸出態度が緩やかになった金融機関の具体的な対応(複数回答可)
 1.で「楽になった」と回答した企業に貸出態度が緩やかになった金融機関の具体的対応について尋ねたところ、「以前よりも低い金利で貸してくれた」(44.4%)、「借入申込額を満額貸してくれた」(35.6%)、「借入期間の長期化に応じてくれた」(26.7%)、「信用保証付きでなくても貸してくれた」(24.4%)と続く。
 業種別では製造業で「以前よりも低い金利で貸してくれた」が54.2%、「借入期間の長期化に応じてくれた」が41.7%、「信用保証付きでなくても貸してくれた」が29.2%、「借入申込額を満額貸してくれた」が25.0%と続く。一方、非製造業は「借入申込額を満額貸してくれた」が47.6%、「以前よりも低い金利で貸してくれた」が33.3%、「審査期間が短縮化した」23.8%、「信用保証付きでなくても貸してくれた」19.0%となっている。
〔本件担当〕 経済部  西田
TEL 06−6944−6304


2003.4.1更新
Copyright(C) 1996-2003 大阪商工会議所