記者発表資料
大阪商工会議所 大阪商工会議所では、四半期毎に実施している「経営・経済動向調査」(9月 25日、資料配付にて発表済)の付帯調査として「設備投資動向調査」を実施し、 この度結果を取りまとめた。結果の概要は以下の通り。 〈調査の概要〉
〈調査結果の概要〉
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設備の稼働状況についてて | ||
現在の国内設備の稼働状況について尋ねたところ、「ほぼ適正である」との回 答は80.6%で、「過剰である」は11.3%、「不足している」は7.2% となった。「ほぼ適正」が全体の8割を占めたものの、前回の9年3月時点での 調査に引き続き、依然、過剰感が不足感を上回る状況が続いている。 規模別にみると、「過剰である」と答えたのは大企業で10.0%、中小企業 で12.6%と、中小企業の方がやや高い数字を示した。 業種別では、運輸業で過剰感が2割を越えたのが目立つ。 |
平成9年度国内設備投資計画について | ||
平成9年度の国内設備投資について、「実施する」と回答した企業は 65.5%で、過半数の企業が設備投資に踏み切っていることがわかった。 2. 国内設備投資実施額 問1.で設備投資を「実施する」と回答した企業435社に投資額を尋ねたと
ころ、1社あたり27億1,730万円で、8年度実績額と比べると9.7%
の増額となった。 3. 国内設備投資実施額と計画額の比較 問1.で設備投資を「実施する」と回答した企業435社に投資実施額と計画
額との比較について尋ねたところ、「計画どおり実施する」が76.3%、
「計画を増額して実施する」が12.2%(うち「計画にはないが実施する」
は4.8%)、「計画を減額して実施する」が10.6%となった。当初計画
と比べて減額、増額する割合はほぼ拮抗している。 4. 設備投資の理由 問1.で設備投資を「実施する」と回答した企業435社に理由を尋ねたとこ
ろ、「老朽化設備の更新」が65.5%で最も高く、次いで「能力増強」が
54.9%、「省力化・合理化」が46.4%の順になっている。 規模別での大きな差異は見られなかった。 5. 国内設備投資を実施しない理由 問1.で設備投資を「実施しない」と回答した企業229社に対し、その理由 を尋ねたところ、「売上見通し等があまり良くないため」が57.2%と最も 多く、以下、「経営環境の先行きが不透明なため」(42.4%)、「当面 の 必要投資が一巡したため」(35.4%)と続いた。 規模別にみると、「売上見通 し等があまり良くないため」と答えた企業が、 大企業で49.3%、中小企業で61.0%と大きな開きがあり、中小企業の 先行きにはより厳しいものがあるといえそうだ。 業種別では、「売上見通し等があまり良くないため」とした企業が、小売業 と運輸業で7割を越える高い数値となった。「経営環境の先行きが不透明なた め」を理由に挙げた企業では、建設業と不動産業でともに66.7%と最も高 く、公共事業の減少や不動産市況の低迷による影響を伺わせた。 |
海外拠点について | ||
海外に拠点をもっているか否かについて尋ねたところ、「ある」と答えた企
業は21.8%であった。 2. 海外設備投資実施の有無 問1.で海外に拠点を「もっている」もしくは「現在、計画中である」と回答 した企業150社に対し、海外拠点への設備投資実施の有無について尋ねたと ころ、36.7%が「実施する」と答えた。 規模別にみると、大企業では41.0%が「実施する」としたのに対し、中 小企業では21.2%にとどまっている。 業種別では、製造業が43.5%と最も高く、その中でも大企業は過半数を 越える高い数値を示した。 3.海外設備投資実施金額 問2.で平成9年度の海外での設備投資を「実施する」と回答した企業55社
に投資額を尋ねたところ、1社あたり41億8,094万円と、前年度に比べ
3.4%の減少となった。 4. 平成9年度の海外拠点への設備投資の目的 問2.で平成9年度の海外での設備投資を「実施する」と回答した企業55社
に目的を尋ねたところ、「現地需要の開拓・拡大に対応するため」と答えた企
業が58.2%と最も多かった。 5平成9年度の海外拠点の設備投資先 問2.で「実施する」と回答した企業55社に投資先を尋ねたところ、「中国」
と答えた企業が54.5%と最も多く、次いで「北米」(34.5%)、「E
U」(31.3%)の順になった。ただし、タイ、インドネシア等、アセアン
諸国を合わせると8割を越える企業の投資先に挙がっており、中国を上回る。 |
リースについて | ||
1. リース利用の有無 リースの利用について尋ねたところ、「利用している」と答えた企業が 88.0%と9割近くに上った。とくに大企業に限ってみると、94.0%と
ほとんどの企業が利用している。 2. リース年間利用額 問1.でリースを「利用している」と回答した企業に対し、平成9年度の年間 利用額について尋ねたところ、1社あたり1億8,382万円に上った。 規模別 にみると、大企業(2億9,834万円)、中小企業(5,709万 円)となっている。 3. リースを利用している分野 問1.でリースを「利用している」と回答した企業584社を対象に、利用分 野を尋ねたところ、「情報関連機器」が93.2%と圧倒的に多く、次いで 「事務用機器」(78.4%)、「輸送用機械」(47.1%)が高い割合を 示した。こうした分野では、設備投資のかなりの部分がリースに代替されてい るものと思われる。 4. リースを利用している分野 問1.でリースを「利用している」と回答した企業584社に理由を尋ねたと ころ、「減価償却等の手間が省けるため」が66.8%で最も多く、次いで 「商品サイクルが短くなっているため」(61.0%)、「所有するよりリー スの方が割安なため」(33.9%)と続いた。「その他」と回答した企業の 中には、「費用を平準化できるため」とする答えが多かった。 5. リースに対する今後の利用の意向 リースに対する今後の利用の意向について尋ねたところ、「現在リースを利
用中で、今後の利用については現状のまま」と答えた企業が66.5%と最も
多かった。 |
資金調達について | ||
1. 主な資金調達先 主な資金調達先について尋ねたところ、間接金融では「都市銀行」と答えた
企業が82.8%と圧倒的多数を占め、次いで「公的金融」(34.0%)、
「地方銀行」(30.1%)の順になっている。「外資系銀行」の利用は4件
(0.6%)と最も低い数字にとどまった。 2. 金融機関の貸出状況 問1.で間接金融における主な資金調達について「借入なし」「その他」と回
答した企業を除く586社を対象に、借入を申し込む際、以前よりも難しくな
ったと感じたことがあるかどうかを尋ねたところ、18.9%が「ある」と答
えた。 3. 借入が困難な場合にとった対策 問2.で以前よりも借入が難しくなったと感じたことが「ある」と回答した企 業111社を対象に、その際にとった対策について尋ねたところ、「とくにな し」とする答えが54.1%と最も多く、過半数を越えた。「その他」と回答 した中には、「資産売却」といった答えがいくつか見られた。 規模別にみると、大企業では「民間の金融機関を活用した」(20.0%) が「公的金融機関を活用した」(17.5%)が上回っているのに対し、中小 企業では全く逆の結果となった(14.1%、28.2%)。 4. 今後の資金調達の方針 今後の資金調達の方針について尋ねたところ、「とくに変更なし」とする答 えが圧倒的に多く、93.7%にも上った。今後の資金調達のあり方には、と くに大きな変化がみられないといえそうだ。 ただし大企業に限ってみると、「直接金融の比重を増やす」が9.1%(う ち製造業に限れば12.1%)と割合が高くなるので、大企業を中心に直接金 融指向が強まるのではないかと思われる。 5. 金融ビッグバンに伴う資金調達への影響 金融ビッグバンによる資金調達への影響について尋ねたところ、「困難にな
らないか心配である」が15.4%に上った。 規模別にみると、「困難にならないか心配である」とする回答は、大企業
(13.0%)よりも中小企業(17.7%)に多く見られた。審査機能の強
化等による金融機関の貸し渋りに対しては、中小企業の方がより強い懸念を抱
いているようだ。 |
〔本件担当〕 大阪商工会議所 経済部 大西 TEL 06−944−6304 |
2003.4.1更新 |