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プラスチック・リサイクルシステム構想研究報告書
平成10年11月4日
記者発表資料
大阪商工会議所は、その他プラスチックのリサイクルを推進するため、研究会で検討してきましたが、今般 その報告書がまとまりました。そこで、同報告書の提案を受けて、プラスチックのリサイクルを大阪・関西で事業化するための具体的な検討を行うための新しい研究会を11月4日に立ち上げ、来年9月を目途に検討することになりましたので、発表します。

1.プラスチックのリサイクルを検討・推進する目的・背景

○ 「容器包装リサイクル法」(昨年4月本格施行)にもとづき、ペットボトルや
ガラス瓶のリサイクルが実施済。平成12年4月からは新たに、その他のプラスチ
ックや紙の容器も法の対象に加わる。
○ その他のプラスチックは種類が多く、量もペットボトルと比較にならないほど
多く排出され、しかもその再商品化手法も完全には確立されているとはいえない。
このため、現行の同法の仕組みのもとで、そのリサイクルが果たしてうまく回っ
ていくかどうか懸念される。

2.大阪商工会議所の取り組み経緯

○ 平成7年度「プラスチック・リサイクルシステム研究会」で大阪におけるプラ
スチック・リサイクル推進のための課題を整理
○ 平成8年12月から「プラスチック・リサイクルシステム構想研究会」で大阪で
プラスチックのリサイクルを推進するための方策等を検討(結果概要は、別 紙−
2のとおり)


3.プラスチック・リサイクルシステム事業化研究会の設置

○ この報告書の提案を受けて、大阪・関西において全国のモデルとなるようなリサイクルシステムの事業化を進めるため、標記研究会を11月4日に立ち上げた。
・活動期間
 平成10年11月4日〜平成11年9月
・メンバー
同志社大学経済学部・郡嶌 孝教授を座長に、プラントメーカー、廃棄物処理業者、「再資源化エンドユーザー」等で構成。アドバイザーとして、行政にも参加を依頼。
(委員名簿は別紙−1のとおり)
・検討課題
大阪における廃プラスチックのリサイクル事業を推進する事業体設立の可能性と課題
1)組織のあり方     2)事業内容、採算性
3)用地取得       4)事業化スケジュール  など

■本件担当 ■
大阪商工会議所 産業部 産業振興担当 山本・福田
(TEL 06-944-6300)

別紙−1

プラスチック・リサイクルシステム事業化研究会メンバー

座  長

    同志社大学経済学部  教 授  郡 嶌   孝
委  員  
    エコマネジ株式会社

    エスク三ツ川株式会社

    株式会社神戸製鋼所

    サニーメタル株式会社

    三洋電機株式会社

    住友化学工業株式会社

    積水化学工業株式会社

    日本鋼管株式会社

    阪和興業株式会社

    株式会社日立製作所

    日立造船株式会社

以 上

別紙−2
プラスチック・リサイクルシステム構想研究会報告書概要

1)容器包装リサイクル運用上の課題(報告書本文P2)

ガラスびんとPETボトルのリサイクルが進められてから経過した1年半の状況をふまえると、次の3点が課題。
1)リサイクルの広域化をどう進めるか(市町村の単位を越えた広域化が必要)。
2)コストをどう抑えるか(トータルコストを見据えた効率的なリサイクルシステムの構築が必要)。
3)再生原料、再生品の需要をどう拡大するか。
2)プラスチックのリサイクルを推進するための課題 (報告書本文P12〜15)
1) PETボトルを除くその他プラスチックの問題
・分別排出の困難さ(一般市民にとって、そのプラスチックが容器包装リサイクル法の対象となるかどうかの見極めや、樹脂の見分けが困難)

・どの方法で分別収集を行うか(定期収集方式、街頭容器方式、拠点回収方式、集団回収方式)

・選別のための施設が必要(樹脂が混在し、異物の混入もあることから、再生利用を行うには、中間処理(選別 )のための施設が必要)


2) 容器包装リサイクル法では、再商品化手法について油化のみが認められているが、他にも、高炉還元、セメントキルンへの投入・エコセメント、熱分解ガス化、固形燃料化の手法がある。油化以外の手法も、技術の確立と経済性を勘案して、同法で認められるよう働きかけが必要。
3) 現在の容器包装リサイクル法に基づくシステムは、計画通りに再生原料や再生品の需要が市場で創出される保証がなく、常に「需給ギャップ」の不安がつきまとう。その他プラスチックは、多様な用途で再利用される可能性があるので、回収したプラスチックを市場動向に合わせて、どの再商品化用途にどれだけ流すか適宜決定していくという、弾力的な運用が必要。
3)大阪でプラスチックのリサイクルを推進するための提案 (報告書本文P16 〜18)
[システム・インテグレーターの必要性]
1)回収プラスチックを可能なすべての用途に再原料化できる設備を有し、その時々の再生原料プラスチック市場の動向に合わせて、適切なチャネルにプラスチックを流し分ける能力を有するリサイクル事業者(「システムインテグレーター」と呼ぶ)が必要。
2) 大阪において、このようなシステム・インテグレーターが活躍することが求められるが、すぐにビジネスとして成り立つことは期待できない。必要な資金と技術の調査を行うとともに、事業体のあり方についても検討が必要。
[再生資源エンドユーザーの整備]
1) システム・インテグレーターが機能するようになると、最終的に再生プラスチックを再利用する受け皿として「再生資源エンドユーザー」の役割が重要になる。リサイクルの輪は、小さいほど環境負荷の面 等から好ましいことから、大阪の近辺にエンドユーザーが立地することが望まれる。
2) 幸い、大阪湾岸は重化学工業地帯として発展した経緯から、再資源化に係わる技術の集積が大きい。この集積をベースに、再生資源エンドユーザーの整備がなされるよう、さらに検討が必要。
4)今後の課題
「民官共同的視点」でシステムインテグレータを中心とするプラスチック・リサイクルの事業体を大阪ないし関西で導入しうる可能性について、多面 的に検討することが必要。


2003.4.1更新
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