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6.中心市街地活性化法

(中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律)

6−1 概要

 中心市街地を活性化するため、平成10年度に総額1兆円ほどの予算が組まれ、関係13省庁にわたる総合的対策が講じられることになりました。平成11年度の予算においても、総額数千億円から1兆円程度の支援が予定されています。その法的枠組みである中心市街地活性化法は、平成10年6月3日に公布され、同年7月24日から施行されています。


<目的>

 空洞化の進んでいる中心市街地の活性化を図ることが目的となっています。

<基本的考え方>

 人口や産業が都市に集中し都市が拡大していたころ、中心市街地は「街の顔」であったといえるでしょう。しかし、郊外が発達するに従って、かつての「街の顔」では居住人口が減少し、商業の活力が低下してきました。つまり、中心市街地の空洞化です。このような背景から中心市街地活性化法は成立しました。

 今後は、都市の中へと目を向け、成熟した都市化社会へと転換していく必要があります。具体的には、これまでのように個店や商店街だけのことを考えるのではなく、中心市街地全体を面的に捉えることが重要です。その意味で、中心市街地活性化法は「市街地の整備改善」と「商業等の活性化」を柱としたものになっています。

 また、新しい制度では、関係13省庁が連携して取り組むことになっていますが、イニシアティブは市町村がとることになっています。従って、従来の法律に比べ、地域の個別事情にも対応することができます。その反面、国がメニューを示してくれるわけではありませんので、自分たちで地域の特性を把握し、それを生かした計画を作っていく必要があります。その点が、この法律の大きなポイントといえるでしょう。

<国と地方の役割>

@ 国が「基本方針」を作成(→資料:中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する基本的な方針の概要について)
A 市町村が基本方針に即して「基本計画」を作成(都道府県は助言)
B 基本計画に沿って、商店街整備などの「事業計画」を、中小小売商業の高度化を推進する機関(TMO)などが作成
C 国が事業計画を認定し、支援を実施
<中心市街地の位置および区域>

 市町村は、まず、以下の要件を満たす中心市街地について位置・区域を設定します。

@ 集積要件:一定以上の小売商業者、都市機能が集積し、市町村の中心としての役割を果たしていること 
A 趨勢要件:空洞化が生じているか、または生じるおそれがあること(土地利用、商業活動等の状況・動向が、横倍または衰退していること)
B 広域効果要件:中心市街地活性化事業の効果が周辺に波及し、その市町村の発展に寄与すること
 中心市街地の数は、原則として1市町村に1区域と考えられています。また、区域の広さについては、集中的・効果的な取り組みが可能となるように、一体性のある広さである必要があります。例えば400ha以内とか、50ha以上というような定量的な規定はありません。あくまで、市町村が中心市街地として活性化を行なうのにふさわしい適切な範囲であればよいということになっています。


中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する基本的な方針の概要について
平 成 10 年 7 月
通商産業省  農林水産省
建 設 省  運 輸 省
自 治 省  郵 政 省

 本基本方針は、市町村等が中心市街地活性化に向けた各種事業を、法に基づいて総合的かつ集中的に実施するための基本的な方針として定めるものである。

一.市町村の基本計画策定の指針

 1 中心市街地における市街地整備及び商業活性化の一体的推進の意義

     中心市街地は、様々な点で今後も各地域及び我が国全体の発展に重要な役割を果たすべきものであり、その活性化は今日の重要課題。

     中心市街地の空洞化が複合的な要因によることにかんがみれば、市町村は以下の点に留意して基本計画を策定し、市街地の整備改善と商業等の活性化を一体的に推進することが重要。

      (A)地域特性や住民の意向等を踏まえた中心市街地活性化の目標の明確化

      (B)市街地の整備改善・商業等の活性化以外の事業を含む各種事業の連携と集中実施による相乗効果

       また、施策を実施する上で基本的な視点となる事項は以下のとおり。

      (A)市町村が主体的に取り組むこと

      (B)地域住民の理解と協力を得ること

      (C)民間活力を最大限に活用すること

      (D)市町村を超えた広域的観点からの基本計画相互の整合性や連携の確保にも留意すること

 2 中心市街地の位置及び区域

    ・市町村は以下の要件を満たす中心市街地について位置・区域を設定。

      (A)法一号要件:市町村内の他地域と比較して相当数の小売商業者等が集積(集積要件)し、それを核として一定の商圏や通勤圏が形成されていること等

      (B)法二号要件:土地利用、商業活動等の状況・動向を参考に判断し、機能(趨勢要件)的な都市活動の確保、経済活力の維持に支障を生じ、又は生じるおそれがあること

      (C)法三号要件:当該市町村及び周辺地域の市街地規模・配置・相互関係の(広域効果要件)状等から事業の一体的推進が地域の発展に有効かつ適切であると認められること

      ・また、以下の点に留意して中心市街地の位置及び区域を設定。
      (A)数 :基本的には一市町村に一区域。ただし合併市町村等については複数存在することもあり得る。

      (B)規模:集中的・効果的な取組みが可能となるように、一体性のある適切な広さに設定することが必要。

      (C)各種土地利用計画:整合性に配慮。特に都市計画が設定されている地域については、商業地域、近隣商業地域を含むよう調整。 (D)境界:対象となる土地の範囲を町界、道路、河川、鉄道等で明確に表示。

 3 市街地の整備改善のための事業について

    ・対象となる事業は、
      (A)商業、業務、居住等の都市機能の集積及び再配置を進める土地区画整理事業、市街地再開発事業等の面整備事業

      (B)様々な都市機能及び都市活動の基盤となる道路、公園、駐車場、電線類地中化等公共の用に供する施設の整備事業

    ・事業選択に当たっては、土地利用や都市基盤の状況、地域住民や事業予定者の意向等を考慮。
      基本計画には、施行中又は5年以内に着手可能な事業について、事業の種類、実施予定者、おおむねの位置又は区域、実施時期等について記載。

 4 商業等の活性化のための事業について

    ・対象となる事業は、
      (A)多様な小売業者の集積活性化及び商業施設等の整備をタウンマネージメント的手法等を活用しつつ行う事業

      (B)コミュニティ調和型の事業や新たな事業展開のシーズとなる技術等の市場への導入を支援する事業等の都市型新事業の立地促進を行う事業

    ・事業選択に当たっては、現に立地している小売商業者の集積状況や新しい事業へのニーズ等を踏まえ、多様な事業手法の組合せや各事業の連携による相乗効果も考慮することが必要。
    基本計画には、事業の種類、実施予定者、おおむねの位置又は区域、実施時期等について記載。

 5 上記3及び4の事業の一体的推進に関する事項

    ・施策遂行のために市町村において例えば以下のような推進体制の整備に努めることが必要。

      (A)関係部局間の連絡調整会議

      (B)情報収集、窓口業務等を一元的に行う組織

      (C)商工会議所、商工会を始め民間組織との連携を図る協議会等

    ・また一体的推進のために以下の点に留意が必要。

      (A)歴史・文化等の尊重やソフト施策との連携を含む創意工夫

      (B)都市計画との調和や地方公共団体の基本構想等との整合性

      (C)環境等への配慮

 6 国等の支援の考え方

 国は、統一窓口や関係省庁の連絡協議会等の必要な体制整備を行い、市町村の主体的な取組みを尊重しつつ、独自性、先進性、熟度等の観点から評価して総体として優れた基本計画に定められた事業に対して重点的に支援。

 都道府県においても、同様に必要な体制整備を行い、広域的観点から適切な支援や助言が行われることを期待。

二.その他特定事業等に関する事項

 市町村は基本計画に必要に応じ以下の事項について定めることが可能。また、基本計画に定められた事業を実施する者は、事業の要件(場所、内容、資金調達、実施時期、推進体制等)に留意して適切なものを定めることが必要。

 1 市街地の整備改善のための事業及び商業の活性化のための事業等と一体的に推進する事項

 1-1 公共交通機関の利用者の利便を増進するための事業

 中心市街地へのアクセスや中心市街地内の移動の利便性の向上に必要な鉄軌道及びバスの整備とサービス改善、交通ターミナルの整備と機能の高度化等に関する事業。

 それぞれの中心市街地の規模や構造、交通体系等に即して、最も効率的で使いやすい交通システムを選択することが望ましい。

 

 1-2 電気通信高度化事業

 中心市街地における電気通信拠点施設の整備、電気通信システムの開発・普及、電気通信ネットワークインフラの整備、電気通信の人材・ベンチャー育成、地域に密着した電気通信の研究開発の実施等を推進する事業。

 地域の情報化に関する計画との関連性を明確にしておくことに留意。

 

2 特定事業等の実施についての指針

2-1 商業集積の活性化に関する事業

 中小小売商業高度化事業は、中心市街地の商業集積を一体として捉え、業種構成、店舗配置等のテナント配置、基盤整備、ソフト事業を総合的に推進し、計画的な整備を行うもの。市町村の関係部局間で連絡調整を行うことが重要。タウンマネージメント機関(TMO)については、幅広い関係者が基本的方針の決定に当たるとともに、高度の専門性を有する者を招聘、育成することが望ましい。

 また、商業集積活性化のために、中心市街地の大型店を含んだ商業集積の中に中核となる商業基盤施設又は相当規模の商業施設整備を行う特定商業施設等整備事業については、概ね150以上の商店や病院等公益的施設が存在するなどの要件が必要であり、また資金調達を適切に行うこと等が必要。

 

2-2 都市型新事業の立地促進のための施設整備事業

 賃貸型の事業場施設、共同研究施設、インキュベータ等都市型新事業を実施する企業等の立地促進のための施設整備を行う事業。

 概ね5事業者程度以上の利用が可能な施設整備事業であり、当該市街地及びその周辺に存在する技術的蓄積等を適切に活用する事業であること等が必要。

 

2-3 中心市街地食品流通円滑化事業

 商店街の食品小売店の集積や既存食品小売市場のリニューアル等、中心市街地における食品商業集積施設を整備する事業。

 食品小売店舗が5店舗以上集積し、駐車場や休憩所等の消費者利便施設が一体的に整備されていること等が必要。

 

2-4 乗合バスの利用者の利便の増進のための事業

 中心市街地に存する路線に係る乗合バスについて、運行系統ごとの運行回数を増加する事業。

 周辺商業施設の営業時間、時間帯ごとの施設利用客の多寡等や、他の公共交通機関との円滑な連絡に配慮すること等が必要。

 

2-5 貨物運送効率化事業

 共同集配施設を整備し、それを活用して中心市街地における共同集配を行う事業。

 貨物の交錯輸送が著しい地域において、既存運送事業者の全部又は大部分の集配を集約して行われるものであること等が必要。

 

2-6 中心市街地電気通信施設整備事業

 中心市街地において、新しい電気通信技術を利用した情報の受発信が容易に行われ、電気通信の利活用に関する様々なサポートが受けられる施設の整備を行う事業。

 情報通信面における先進的環境が整っているなど、高度な電気通信サービス事業を定着させる上で社会的受容性が高い地域であり、事業主体が幅広い利益を代表したものであること等が必要。


<基本計画の策定>

では、具体的な流れを考えてみましょう。

基本計画の策定

 市町村が策定する基本計画では、概ね次の点に留意して策定する必要があります。

 @ 中心市街地活性化に取り組む基本的な方針
 A 中心市街地の位置・区域
 B 事業の概要(市街地の整備改善事業、商業活性化のための事業)

事業計画の策定

 基本計画で定めた事業について、具体的な内容や実施主体などを事業計画で定める必要があります。特に、中心市街地活性化対策において柱となる商業活性化対策については、次の3点をポイントに手厚い支援策があります。

 @ 中心市街地全体をひとつのショッピングモールと見立てた事業の支援
 A タウンマネージメントを行うTMOへの支援
 B 総合的な活性化対策に取り組む地域を集中的に支援
 

<主な支援措置> 関係13省庁で実施される主な支援措置は、以下の通りです。

通産省

 ・市町村の基本構想策定への支援

 ・商業・サービス業、都市型新事業集積関連施設の整備主体への出資(地域振興整備公団)  ・施設整備への補助

 ・TMOへの支援

 ・テナントミックス管理のための基金の創設(高度化無利子融資)

建設省

 ・街なか再生型等の土地区画整理事業

 ・街なか再生型市街地再開発事業

 ・賑わいの道づくり事業

 ・駐車場の整備への支援

 ・歩行空間の整備

自治省

 ・商店街等振興整備特別事業

 ・ふるさとづくり事業

 ・街並み整備事業(都市生活環境整備特別対策事業)

運輸省

 ・旅客・貨物運送事業の円滑化のための許認可手続きの特例

 ・観光客の来訪促進による中心市街地の活性化

郵政省

 ・マルチメディア街中にぎわい創出事業

 ・中心市街地電気通信施設整備事業

文部省

 ・文化財建造物保存修理等事業

厚生省

 ・在宅介護支援センター運営事業

農林水産省

 ・食品流通機構改善基盤施設整備事業

労働省

 ・中小企業労働力確保法に基づく支援策

警察庁

 ・交通安全施設等整備事業

国土庁

 ・中心市街地活性化支援事業

北海道開発庁

沖縄開発庁

 

<国の相談窓口>

法律を所管する関係省庁が13省庁にわたるため、各地への情報提供や個別相談、市町村が策定する基本計画の受付窓口として、「中心市街地活性化推進室」が設けられています。

  「中心市街地活性化推進室」
   東京都千代田区霞が関3-1-1中央合同庁舎4号館11階
   TEL 03-3580-1471,1472 FAX 03-3580-1473
   受付時間 10:00〜12:00 13:00〜17:00

<大阪府の相談窓口>

 大阪府でも、中心市街地の活性化に取り組む市町村を総合的に支援するため、庁内関係各課の調整を行なう「大阪府中心市街地活性化連絡会議」設置しています。商工部、建築都市部をはじめ庁内12部局19課室長で構成され、情報収集や情報提供、基本計画や個別事業への助言などを行なっています。


  「大阪府中心市街地活性化連絡会議」(大阪府庁内)
    建築都市部総合計画課 施設計画第一係  TEL 06-6941-0351(内線3965)
    商工部商業観光課 小売商業第二係   TEL 06-6941-0351(内線2672)

6−2 Q&A

Q1.中心市街地は、「1市町村に1区域しか認められない」と聞きました。大阪市のような広域商圏をもつ政令指定都市でもそうなのでしょうか?

 A1.基本的には、1市町村に1地域ですが、政令指定都市や合併市町村については複数存在することもあり得ると言われています。ただ中心市街地の区域については、事業効果が発揮できる適切な広さである必要があります。都市計画区域においては商業地域、近隣商業地域を含むところに設定し、その境界が道路、鉄道などで明確に表示されることが求められています。

Q2.中心市街地の活性化のためには、商店街の活性化が不可欠だと思うのですが、商店街対策の概要を教えてください。

 A1.既存の商業振興策は、個々の店舗や商店街の単位に着目した、いわば「点」や「線」の対策でした。これに対し、中心市街地活性化法では、広く中心市街地全体をひとつのショッピングモールとして、「面」的にとらえて支援しようというものです。従って、商店街対策としても、多様な規模・業種・業態の店舗やコミュニティ施設などの計画的配置・整備を促進するよう、各種の支援措置を組み合わせて活用できるようにしています。特に、商業活性化を図る機関としてTMO(タウンマネージメント機関)の役割が期待されています。

Q3.TMOとは何ですか?


 A3.一般的な大規模商業施設では、望ましいテナントミックスや、駐車場などの環境整備、より洗練されたサービス、ソフト事業などを一括的に管理・運営しています。それと同じことを中心市街地で行うのがタウンマネージメントです。TMOは、中心市街地活性化法に基づいた基本計画に従って事業を推進し、中心市街地のマネージメント(管理・運営)を行う組織です。国では、TMOとなり得る組織を商工会議所、商工会、第三セクターと想定しています。


Q4.TMOは具体的に何をするのですか?

 A4.TMOが行なう中心的業務は、中心市街地の商業地をひとつのショッピングモ ールとして再構築することです。具体的には、キーテナントや各商店街など区域内のテナントの配置・誘致、駐車場やポケットパークなどの環境整備、域内の美化やイベントなどのソフト事業の実施、などが挙げられます。そのような事業を実施するための手続きとして、@関係者のコンセンサスの形成、ATMO構想(中心市街地活性化に向けて実施する予定の事業概要と期待される効果を記したもの)の作成、BTMO計画(TMO構想を具体化する事業計画)の作成、を行なう必要があります。

Q5.中心市街地の活性化に向けて取り組みたいと考えているのですが、専門知識をもった人材がいません。どうすればよいのでしょうか?

 A5.中心市街地活性化を進めるには、地域の実情に応じた取り組みを先導できる企画力や指導力のある人材を確保・育成することが重要です。このため、通産省では、まちづくりの専門家である「タウンマネージャー」を育成、派遣する事業を行なっています。また、建設省では再開発プランナーや土地区画整理士の積極的な活用を推進し、自治省では地方自治体が主催するまちづくりに関する人材養成事業の支援を行なっています。

Q6.中心市街地の活性化には、いわゆるまちづくり関連3法が一体的に機能することが不可欠だと思いますが、その関係はどうなっているのでしょうか?

 A6.確かに、まちづくり関連3法の整合性を確保することは必要です。例えば、ある市町村の駅前地区を中心市街地と定めて活性化計画をたてているときに、郊外へ大規模小売店が出店するとどうなるでしょう。活性化計画は、その内容の変更を余儀なくされる可能性があります。ただ、現在の仕組みでは、その整合性が十分図られているとは言えません。まちづくり関連3法では、まず「都市計画法」などのゾーニング的手法で大規模小売店の立地の可否を判断した上で、大規模小売店が生活環境に及ぼす影響については「大店立地法」でチェックするということになっています。「中心市街地活性法」は、これら一連の流れとは、別の地域商業振興策としてとらえられているため、上記のようなケースに対しては、事前にゾーニング的手法で立地規制をしておかないと対処できない、というのが現状です。

6−3 活用事例

 中心市街地活性化法が施行されて約半年が経過し、全国の多くの市町村では、基本計画の策定が進められています。すでに基本計画の策定を終え、国の受付窓口である中心市街地活性化推進室に提出した市町村も35市町村あります。(→資料:中心市街地活性化法に基づく基本計画の提出状況等)

 基本計画に従って事業を推進し、中心市街地の管理・運営を行なうTMOについても、取り組みが本格化してきました。すでにTMO構想を策定し、市町村からの認定を受けているところは、長浜商工会議所、彦根商工会議所、遠野市商工会、財団法人葛飾区地域振興協会、株式会社まちづくり佐賀の5団体あります。(2月26日現在、中心市街地活性化推進室調べ)


<事例紹介> まちづくり活動に中心市街地活性化法を活用(滋賀県・長浜市)

 長浜商工会議所では、長浜市の基本計画に従ったTMO構想をまとめました。これまでも長浜市では、まちづくりに積極的に取り組んできた歴史があります。その意味で、今回の中心市街地活性化法を利用した商店街改造事業と共同施設事業も、一連のまちづくりの効果を地元商店街へ波及させようとしたものです。

かつて、湖北地方の中心として、また、浜ちりめんの産地として栄えていた滋賀県長浜市も、昭和50年代から60年代にかけては、商店街はもとより都市全体が沈滞していました。それが今では、年間150万人の観光客が訪れ、平成10年1月4日付日経新聞では、「全国で最も魅力的なまち」という評価まで受けました。また、衰退したまちが、現在のような賑わいのあるまちへと変貌を遂げたまちづくりの過程は、官民一体となったまちづくりの成功例として、広く知られています。

 このようなまちづくりの背景には、昭和54年、大手スーパー2社が大型店出店申請を提出したことがあります。この出店申請を機に、長浜市と長浜商工会議所は、都市全体が活性化しなければ商業の繁栄などありえないのではないか、そして、都市を活性化するためにはどうすればよいのかということを、積極的に議論するようになりました。その後、都市全体を活性化していく中での商業振興という方針は、市や会議所の中にとどまらず、商業者や住民も含めて話し合われるようになります。まちに抱いている愛着や、まちの将来をどのようにしたいのかという夢を、みんなで語り合いました。そして、その夢を具体化するような計画をハードソフト両面で作成し、比較的容易なものから事業化してきたのです。

 なかでも、株式会社黒壁のダイナミックな事業展開は、長浜市の入り込み客数を飛躍的に増大させることになりました。株式会社黒壁は、昭和63年4月、民間と市からあわせて1億3,000万円の出資を得て設立された第3セクターです。当初は、明治33年建築の建物を保存することから始まりましたが、ガラス工芸品を扱うことになり、平成元年から現在まで、空き家・空店舗を中心に29の黒壁関連店舗を出店しています。ガラス工芸品の小売店から、工房、レストランなどを出店させることで、長浜市の観光客が増え、またそれが刺激となって、民間資本の投資が促進されるという、観光と商業を結び付けた活性化策です。

 さらに現在は、長浜市の高齢者人口比率が高まっていることから、高齢者の人々とのまちづくりも始めています。「プラチナプラザ構想」といわれるそれは、65歳以上の方が、5万円出資し商店街の空店舗で、おかず工房・野菜工房・井戸端道場・リサイクル工房を営業するという事業です。これにより、入り込み客数の増加だけでなく、市街地の定住化を促進させ、住環境を整備しようと試みられています。今後、長浜では、地域に住む人々がいきいきと楽しく暮らせるような、そして誇りと思えるようなまちづくりを進めていこうとしています。



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2003.4.1更新
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