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関西経済の特徴
平成14年11月

1.概要(表1、表1-2、表2、表3)

関西(近畿)は日本のほぼ中心に位置し、大阪府、京都府、兵庫県、滋賀県、奈良県、和歌山県の2府4県で構成され、総面 積は27,171.04km2である。域内の人口は2,062.0万人で、全国比で16.3%を占めている。域内総生産は約81兆円と日本のGDPの16.4%に達している。1人当たりの域内所得は99年度308.1万円で、1人当たりの国民所得307.9万円を若干上回っている。


2.ビシネス風土
関西、特に大阪は、江戸時代に「天下の台所」と呼ばれるなど、近世以降、日本の産業・経済の中心として発展してきた。その中で、進取の気性を旨とし、経済的合理性を備え、文化的にも町人・大衆に土台を置いた都市の気風を作り上げた。
 その気風は、明治以降も引き継がれ、多くの企業家が大阪に集い、新しいビジネスにチャレンジした。この結果、さまざまな分野で、その後の日本の中核をなす企業が多数生まれた。
  現在も、関西には独創性あふれる商品・サービスを提供する企業が多数存在するほか、先端技術を活用した次代を担う産業分野でも新規創業が見られる。

3.構造変化の推移

(1).産業構造(表4)
関西の産業構造を就業者数で見ると、第1次産業が2.2%、第2次産業が30.3%、第3次産業が67.5%であり、全国に比べて第2次、第3次産業の比率が高くなっている。今後、関西においては、情報通信、バイオ関連や環境など、今後大きな成長が期待される新分野の比率を高めていくことが重要である。

(2).工業(表5,6)
関西は繊維、医薬品・化学、家電をはじめとする分野で多くの有力メーカーを生み出している。
関西の工業を業種別に見ると、出荷額で電気機器、一般機械、化学、金属製品のウエートが高い。
これを基礎素材型、加工組立型、生活関連型に分類すると、加工組立型のウエートが39.6%と最も高くなっている。

(3).商業(表7)
卸売業における年間販売額を見ると、商社の本社機能の東京への移転、また流通 拠点の地方分散などにより、全国シェアが17.2%まで低下している。内訳を見ると、繊維・衣服等卸売業販売高が全国比35.3%を占めており、次いで建築材料、鉱物・金属材料等卸売業が17.6%、飲食料品卸売業が16.5%となっている。

(4).貿易(表8,9)
商都大阪は港とともに発展してきた歴史を持つ。大阪港は、世界の主要港との間に航路網を展開し、広大な後背地を抱えたわが国有数の国際貿易港である。また、平成6年開港した関西国際空港は、わが国国際航空貨物の重要拠点となっている。
大阪税関の調査によると、関西は01年輸出額が9.7兆円、輸入額が8.2兆円であり、全国比はともに20%弱を占めている。
 品目別では、主要輸出品目は事務用品機器のほか、半導体等電子部品、織物用糸・繊維製品などのウエートが高い。また輸入は衣類・同付属品、電気機器、原粗油などの割合が高い。また地域別には、東南アジアや中国のウエートが高い。


4.関西の主要プロジェクト(関西活性化白書2002年版より)
2002年1月末時点のプロジェクト件数は691件で、総事業費は34.3兆億円となっている(プロジェクト数、総事業費は福井県を含む)。昨年1月時点と比較すると、件数、総事業費ともに減少している。主なものは以下の通 り。

1.関西国際空港2期工事
総事業費1兆5600億円。1期空港島の北西側200m沖合に約545haの土地を埋立造成し、2本目の平行滑走路(4000m)を整備する事業。

2.テクノポート大阪

総事業費2兆2000億円。大阪湾沖を埋め立て、咲洲・舞洲・夢洲の3地区を造成。先端技術開発、国際交易、情報通信などの高次都市機能を集積させた新しい街づくりを展開する。

3.りんくうタウン整備事業
総事業費6432億円。関西国際空港対岸において、空港機能の支援施設の整備を行い、地域の振興を図る。2000年11月に商業施設「りんくうプレミアムアウトレット」がオープンしている。

4.梅田北ヤード地区再開発構想
総事業費1兆円。JR大阪駅北側の梅田貨物駅跡地を、関西の表玄関にふさわしい金融・国際交流・文化の中心地とする構想。2002年2月、大阪市・大阪商工会議所・関西経済連合会などで構成する再開発機関「大阪駅地区都市再生懇談会」が発足。


5.今後の課題等(表10)
日本経済が戦後最大の転換期を迎える中、構造転換の遅れた関西経済は厳しい局面 にある。
地域経済活性化のため、創業・ベンチャー支援を積極的に展開し、低下している開業率を引き上げるとともに、バイオなど関西が高いポテンシャルを持っている分野の振興、観光産業など新しい産業を育成することが大きな課題となっている。

「関西経済の特徴」資料編

表1.関西経済の現状
 
  単位 関西(全国比) 全 国
面積(02年) km2 27,171.04(7.2%) 377,883.65
人口(02年3月末) 万人 2,062.0(16.3%) 12647.9
域内総生産(99年) 兆円 81.0(16.4%) 493.8
事業所数(01年) 1,052,228(16.6%) 6,350,146
従業員数(01年) 万人 984.4(16.4%) 6,018.7
製造品出荷額等(00年) 兆円 49.7(16.4%) 303.6
商業合計販売額(99年) 兆円 108.8(17.0%) 639.3
卸売業販売額(99年) 兆円 85.1(17.2%) 495.5
小売業販売額(99年) 兆円 23.7(16.5%) 143.8
輸出額(01年) 兆円 9.7(19.7%) 49.0
輸入額(01年)
兆円 8.2(19.4%) 42.4
出所:国土地理協会「平成14年住民基本台帳人口要覧」、経済産業省「平成11年商業統計表」、同「平成12年工業統計表」、 内閣府「平成14年版県民経済計算年報」、総務省「平成13年事業所・企業統計調査報告(速報)」、大阪税関「2001年大阪税関貿易概況・確報」等

表1-2.関西経済の年代別推移(括弧内全国比)
 
項 目 1980(昭和55年度) 1990(平成2年度) 2000(平成12年度)
人口(人)
19,521,943(16.7%)
20,414,233(16.5%)
20,855,585(16.9%)
域内総生産(億円)
442,140(17.8%)
790,626(16.9%)
825,513(16.6%)
事業所数(所)
1,108,786(17.6%)
1,139,903(17.4%)
1,047,908(16.9%)
製造品等出荷額(億円)
405,067(19.1%)
572,581(17.7%)
478,058(16.4%)
商業年間販売額(兆円)
96,838(19.3%)
136,447(18.8%)
108,836(17.0%)
但し、1980年の事業所数、商業年間販売額は81年、1990年の域内総生産、事業所数は91年の指標を使用。
2000年の域内総生産、商業年間販売額は98年、事業所数、製造品等出荷額は99年の指標。
出所:総務省統計局『2002社会生活統計指標』

表2.2府4県と大阪市の現状

 
  単位 滋賀 京都 大阪 兵庫 奈良 和歌山 大阪市
面積(02年)
km2 3855.08 4612.93 1893.54
8392.81 3691.09 4725.59 209.17
人口(02年3月末) 万人 134.1 256.3 863.6 555.0 144.6 108.3 248.4
域内総生産(99年) 兆円 5.6 9.3 39.7 19.5 3.7 3.2 21.4
事業所数(01年) 6.1 14.2 48.4 25.2 5.3 5.9 23.3
従業者数(01年) 万人 61.1 120.7 480.2 233.0 47.0 42.4 244.1
製造品出荷額等(00年) 兆円 6.4 6.0 18.4 14.2 2.4 2.3 5.4
商業合計販売額(99年) 兆円 2.9 8.8 76.6 15.9 2.4 2.2 60.2
卸売業販売額(99年) 兆円 1.5 5.4 66.2 9.8 1.0 1.2 55.3
小売業販売額(99年) 兆円 1.4 3.4 10.4 6.1 1.3 1.1 4.9
出所:表1に同じ

表3.従業員規模別事業所数・従業員数(99年)(単位:%)

 
  規模(人) 事業所数 構成比 全国比 従業員数 構成比 全国比
関 西 1〜29 1,000,329 95.5 16.1 4,843,042 54.3 9.0
  30〜99 38,817 3.7 0.6 1,903,933 21.4 3.5
  100〜299 7,140 0.7 0.1 1,129,643 12.7 2.1
  300〜 1,622 0.1 0.0 1,034,149 11.6 1.9
大阪府 規模(人) 事業所数 構成比 全国比 従業員数 構成比 全国比
  1〜29 465,230 95.0 7.5 2,320,823 52.7 4.3
  30〜99 19,925 4.1 0.3 977,448 22.2 1.8
  100〜299 3,581 0.7 0.1 566,449 12.9 1.1
  300〜 882 0.2 0.0 536,606 12.2 1.0
注:事業所数・従業員数については全産業―公務除く
出所:総務省「平成11年事業所・企業統計調査報告」

表4.産業別就業者構成比(00年)(単位:%)
 
産業 全国 関西
第1次産業 5.0 2.2
第2次産業 29.5 30.3
製造業 19.4 21.2
建設業 10.0 9.1
鉱業 0.1 0.0
第3次産業 65.5 67.5
運輸・通信業 6.2 6.5
卸・小売業・飲食業 22.7 24.3
金融・保険業 2.8 2.8
サービス業 27.4 27.0
その他 6.4 6.9
総数 100.0 100.0
第1次産業:農林水産業
第2次産業:鉱業、製造業、建設業
第3次産業:電気・ガス・水道業、卸売・小売業、金融・保険業、不動産業、 運輸・通信業、サービス業、公務
注:就業者は15歳以上の総数
出所:総務省統計局「平成12年国勢調査報告」
 
表5.産業分類別工業出荷額(00年)(単位:億円、%)
 
  出荷額 構成比 全国比
電気機械器具 95,763
19.3%
16.1%
一般機械 62,417 12.6% 20.5%
化学工業 46,716 9.4% 19.6%
金属製品 33,874 6.8% 21.7%
輸送用機器 32,345 6.5% 7.3%
鉄鋼業 26,443 5.3% 22.1%
食料品 34,343 6.9% 14.3%
繊維・衣服 17,601 3.5% 25.7%
出版・印刷 22,346 4.5% 17.1%
プラスチック製品 36,556 4.0% 18.7%
飲料・飼料・たばこ 19,839 4.0% 18.4%
合計 496,933 100.0% 16.4%
出所:経済産業省「平成12年工業統計表」

表6.分野別事業所数、従業員数、出荷額等(00年)
 
  基礎素材型 加工組立型 生活関連型
事業所数 39,955 24,205 52,123
  34.4% 20.8% 44.8%
従業者数 573,509 553,541 494,904
  35.4% 34.1% 30.5%
出荷額等 18.6 19.7 11.4
(兆円) 37.4% 39.6% 22.9%
・基礎素材型
木材・木製品(家具除く)、パルプ・紙・紙加工品、プラスチック製品、ゴム製品、窯業・土石、鉄鋼、非鉄金属、金属製品、化学工業、石油製品・石炭製品
・加工組立型
一般機械器具、電気機械器具、輸送用機械器具、精密機械器具
・生活関連型
食料品、飲料・飼料・たばこ、繊維、衣服・その他の繊維製品、家具装飾品、出版・印刷・同関連、なめし皮・同製品・毛皮、その他製造業
出所:経済産業省「平成12年工業統計表」

表7.産業分類別卸売業年間販売額(99年)(単位:億円、%)

 
  年間販売額 構成比 全国比
合 計 851,238.3 100.0 17.2
各種商品卸売業 97,004.2 11.4 15.2
繊維・衣服等卸売業 90,184.6 10.6 35.3
飲食料品卸売業 164,484.5 19.3 16.5
建築材料、鉱物・金属材料等卸売業 175,576.5 20.6 17.6
機械器具卸売業 191,147.1 22.5 14.3
その他 132,841.3 15.6 18.2
出所:経済産業省「平成11年商業統計表」

表8.主要品目貿易額(01年)(単位:億円、%)
 
輸出 価額 構成比 全国比 輸入 価額 構成比 全国比
半導体等電子部品 9,094.3
9.4 24.9 衣類・同付属品 9,884.7
12.0 42.6
織物用糸、繊維製品 5,455.4 5.6 73.5 原粗油 5,311.0 6.4 11.3
事務用機器 4,854.4 5.0 17.2 天然ガス・製造ガス 3,797.7 4.6 17.9
鉄鋼 3,994.9 4.1 24.2 肉類・同調製品 3,643.9 4.4 35.7
原動機 3,497.6 3.6 20.3 事務用機器 2,890.0 3.5 10.5
科学光学機器 3,469.1 3.6 13.9 魚介類・同調製品 2,825.0 3.4 17.4
電気回路等の機器 3,257.7 3.4 27.1 半導体等電子部品 2,758.5 3.3
14.4
映像機器 3,224.1 3.3 23.7 映像・音響機器 2,678.6 3.3 24.5
有機化合物 2,914.0 3.0 23.9 医薬品 2,597.2 3.2 42.3
プラスチック 2,486.6 2.6 25.0 織物用糸・繊維製品 2,480.7 3.0 43.4
出所:大阪税関「2001年大阪税関貿易概況・確報」
 
表9.主要地域別貿易額(01年)(単位:兆円、%)
 
経済圏 輸出(全国比) 輸入(全国比)
関西圏 9.7(19.7) 8.2(19.4)
首都圏 21.2(43.4) 21.6(50.9)
中部圏 11.3(23.2) 5.0(11.7)
九州圏 3.7(7.6) 3.7(8.7)
東北圏 0.5(1.0) 1.1(2.5)

税関 輸出(全国比) 輸入(全国比)
大阪税関 5.5(11.2) 6.1(14.4)
東京税関 12.9(26.3) 14.6(34.3)
横浜税関 8.8(18.0) 7.9(18.6)
神戸税関 6.4(13.1) 4.3(10.1)
名古屋税関 11.3(23.2) 5.0(11.7)

輸出(全国比) 輸入(全国比)
大阪港 1.6(3.3) 2.7(6.4)
東京港 4.3(8.8) 4.8(11.4)
横浜港 5.8(11.7) 3.0(7.1)
神戸港 4.0(8.1) 2.0(4.8)
名古屋港 6.5(13.4) 2.6(6.2)

空港 輸出(全国比) 輸入(全国比)
関西空港 2.8(5.7)
2.0(4.8)
成田空港 8.3(17.1) 9.3(21.9)
名古屋空港 0.2(0.3) 0.5(1.2)
出所:大阪税関「2001年大阪税関貿易概況・確報」
 
表10.開廃業率(民営、非農林漁業)

 
  事業所数

 

 

 

 

 

 

  96年10月 99年
7月
96/10
〜99/7
開設数
(12ヶ月換算)
96/10
〜99/7
廃業数
(12ヶ月換算)
96/10
〜99/7
純増数
(12ヶ月換算)
開業率
(年率)
廃業率
(年率)
純増率
(年率)
全国 6,502,924 6,184,829 269,434
385,172 -115,757
4.1 5.9 -1.8
滋賀県 61,320 59,706 2,603 3,190 -587 4.2 5.2 -1.0
京都府 152,123 144,280 5,552 8,405 -2,854 3.6 5.5 -1.9
大阪府 526,077 489,511 23,792 37,098 -13,307 4.5 7.1 -2.5
兵庫県 257,205 246,746 11,872 15,681 -3,806 4.6 6.1 -1.5
奈良県 52,313 50,194 1,780 2,552 -771 3.4 4.9 -1.5
和歌山県 60,574 56,508 1,703 3,185 -1,480 2.8 5.3 -2.4
出所:国民金融公庫総合研究所編「平成14年版新規開業白書」  

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2006.11.21更新
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