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はじめに

大阪商工会議所 国際ビジネス委員長 西田健一

 冷戦体制崩壊後、民主化・市場経済化を推し進め、体制移行を成し遂げた中東欧諸国など10カ国は、本年5月に欧州連合(EU)に加盟します。この結果、加盟国が25カ国に拡大するEUは、人口4.5億人を擁し、世界のGDPの4分の1を占める巨大市場となります。さらに、2007年にはブルガリア、ルーマニアの加盟が確実視されるなど、世界最大の統合市場であるEUは今後も拡大を続けます。
 EUへの新規加盟国は、比較的安価で訓練の行き届いた労働力が豊富に存在し、インフラ整備が急速に進んでいます。このため、EU企業や先進国企業は、この地域を生産拠点として有望視し、既に多額の直接投資を行い、わが国も、大手を中心に新たに進出した企業は少なくありません。
 これまで、大阪・関西企業の海外ビジネスはアジアとの関係が深く、とりわけ中国との経済交流は近年急拡大し、2003年の貿易額が輸出入ともに過去最高を更新、2003年度の対中投資が前年度比で倍増する見通し(国際協力銀行融資分)と報じられています。一方、対中東欧諸国との経済関係は、わが国全体の貿易額においても僅か1%にも満たないなど、見るべきものがなかったのが実情です。
 しかし、大阪・関西企業の中国への関心がますます高まりを見せる中、昨年の新型肺炎SARSの蔓延が現地での生産活動の停止や駐在員の一時帰国など、日本企業にも影響を及ぼしたことは記憶に新しいことと存じます。関西経済にとっての対中ビジネスの重要性はますます増大すると思われる一方で、国際ビジネスにおける一極集中のリスクは十分に検証しておくことが肝要であると考えます。
 こうした背景から、大阪商工会議所では、2003年7月、中東欧諸国を中心にEUとのビジネス経験を有する企業の実務者で構成する「拡大EUビジネス研究会」を設け、新たにEU加盟国となる諸国への投資やビジネス拡大等の可能性を検討いたしました。 本研究会が対象とした国々は、今年EUに加盟するチェコ、ハンガリー、ポーランド、スロバキア、スロベニアと、2007年に加盟見込みのブルガリア、ルーマニアの7カ国です。この報告書は、約9ヶ月にわたる研究会での議論の成果を取りまとめたものであり、各国の概況や投資環境、既に進出済みの日系企業の経験や同地域に関する各種調査の概要、及び関連資料等で構成されています。会員各社がビジネスの国際展開において拡大を続ける欧州市場との関係構築・拡大を検討される際のガイダンスとしてお役立て頂ければ幸いに存じます。
 最後に、本研究会にご参画いただいた神戸大学の久保先生はじめメンバーの方々に、深甚より感謝の意を表します。



出所)外務省「欧州経済と日欧経済関係」





2004.3.29更新

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