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関西の活気あふれるまちづくりに向けての要望
平成10年7月

新しい全国総合開発計画は、関西の発展方向として「わが国の文化、学術、研究開発を代表する圏域」「アジア・太平洋とわが国との交流のセンターとしての機能の強化」を求めている。こうした方向に沿って、関西が発展していくためには、関西の中核となる京阪神の経済基盤、都市基盤の再構築、観光振興など集客・交流の視点をも踏まえた活気あふれるまちづくりへの取り組みが不可欠となる。
こうした観点から、京都、大阪、神戸の三商工会議所は、関西の活気あふれるまちづくりを推進するため、下記の諸点について特段の措置を講じられるよう要望する。

京都商工会議所
大阪商工会議所
神戸商工会議所



1.地域特性を活かしたまちづくりへの支援


1)大都市のリノベーションの推進
国境を越えた都市間競争の激化や国際交流の活発化に対応し、わが国の大都市における経済機能の強化、生活環境の整備が急務となっている。このため、新しい全国総合開発計画において基本的戦略として掲げられた「大都市のリノベーション」を推進するための総合的な施策体系を確立し、早急に大都市の再構築を図られたい。

2)中心市街地の活性化
地域の生活・文化や経済の担い手として重要な役割を果たしてきた商店街や小売市場をまちづくりの中核拠点として位 置づけ、都市におけるコミュニティの再生をはかることが重要である。従って、街づくり関連3法の今後の運用にあたっては、中小小売業が混乱をきたさぬ よう十分配慮されたい。また、大規模小売店舗立地法の施行に際しては、地域総合経済団体としての商工会議所の意見・役割を重視した法運用を行われたい。

3)工場立地に関する規制の抜本的見直し
産業振興のみならず、地域整備やまちづくりの視点からも弊害となっている都市圏における工場立地に係わる規制の見直しを図られたい。具体的には、制定以来すでに30年以上が経過し、既成都市区域における製造業事業所数、従業者数とも減少傾向を示し、すでにその目的が達成されている「近畿圏の既成都市区域における工場等の制限に関する法律」の廃止を強く要望する。

4)密集市街地の再編整備
京阪神地域には、市街地においても木造老朽住宅が密集する地域が残されており、阪神・淡路大震災の教訓からも明らかなように、これら地域は防災上極めて危険な状況にあるといえる。政府においては京阪神各市の密集市街地を整備するための「密集住宅市街地整備促進事業」等住環境改善事業に特段の配慮をされたい。

2.集客・交流機能の強化と広域交通 網の整備

1)観光振興施策の強化
次代を担う基幹産業、地域に密着した地場産業としてもとらえることができる観光産業の育成・振興のため、観光振興に関わる大幅な予算枠の確保を図られたい。さらに、都市整備においても文化・観光振興の視点を踏まえた一体的なまちづくりが可能となるよう、これまで以上に省庁間での施策連携を図られたい。 また、より実効ある観光振興策を展開するため、観光を学問的対象として捉え、その研究基盤の強化を図られたい。具体的には、既存のシンクタンク・団体の研究活動に対する助成や、大学での観光学部や学科の創設、観光専門の研究機関等の設立などに取り組まれたい。
さらに査証については、アジア諸国との交流がより重要性を増してきた今日、円滑な訪日を図るためにも可能な範囲で査証の発給手続きの簡素化および発給基準の緩和を図るべきである。
2)大規模プロジェクト等の推進

2008年オリンピックの大阪招致や関西文化学術研究都市のセカンド・ステ−ジ・プラン実現、国際園芸造園博「ジャパンフローラ2000」の開催など、関西圏の魅力向上をはかるイベントやプロジェクトの推進に向けて、全面 的な支援を行われたい。さらに、京都迎賓館等海外からの賓客の受け入れ施設の整備についても引き続き特段の支援を講じられたい。
3)集客・交流を図る広域交通網の整備

関西圏への観光需要の増加と広域観光の推進、集客・交流機能の強化を図るため、圏域の交通 インフラの整備促進に努められたい。具体的には、関西国際空港全体構想の早期実現をはじめ神戸空港の早期着工、紀淡連絡道路、第二名神自動車道、第二京阪道路、京奈和自動車道、関西・伊丹両空港間の連絡道、阪神高速道路湾岸線の延伸、京阪奈新線など広域交通 網の整備促進を図られたい。

3.阪神・淡路大震災被災地域の早期復興と地域活力の創造に向けた支援

1)産業復興のための先導的プロジェクト等の推進
被災地域の産業が本格的な復興を果たすため、次世代の産業活動を展望した新たな産業基盤を整備し、産業復興を牽引していく先導的なプロジェクトの実施が不可欠である。ついては、東部新都心やポートアイランド第II期等の拠点となる新たな街づくりをはじめ、復興プロジェクトの早期実現のための支援措置について、特段の配慮を図られたい。
2)被災企業等への税制面等での支援
被災企業等の本格的な復興を促進するため、以下の税制面等の支援措置を講じられたい。
1)地方税法による固定資産税・都市計画税の「代替家屋の特例」の減額期間(現行3年間)の延長

2)災害復旧高度化事業の事業計画書提出期限の延長


2003.4.1更新
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