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経済対策に関する緊急要望
平成10年7月

わが国経済は、97年度に戦後最悪のマイナス成長となり、その後も引き続き高水準の倒産件数や過去最悪の失業率を記録するなど、危機的な状況に陥っている。また、こうした日本経済の不振が急激な円安・株安を招き、小康状態にあったアジア危機を再燃させるなど、日本経済の停滞はいまや世界経済の波乱の芽ともなっている。
京都・大阪・神戸の三商工会議所は、このたび首脳懇談会を開催したのを機に、以上のような現状認識を踏まえ、先行きに対する不安感を払拭し、日本経済を一刻も早く着実な回復軌道にのせるべく緊急要望を行うに至った。
政府におかれては、以下の経済対策を果敢に実行するとともに、海外に対しても経済対策の実効性を早急に訴えるよう、強く要望する。

京都商工会議所
大阪商工会議所
神戸商工会議所



1.機動的な景気対策の実施


政府は、4月に16兆円を超える「総合経済対策」を打ち出したが、先行き不安による個人消費の落ち込みをはじめ、倒産件数や失業率など各種経済指標が過去最悪の水準となるなど、日本経済は危機的な状況に陥っている。一刻も早く総合経済対策を実行に移すとともに、その後の推移によってはさらなる景気対策を講じられたい。

2.税制改革

1)所得税・住民税の恒久減税の実施

所得の伸び悩み、社会保障費の増加という国民の先行き不安を払拭し、消費を喚起するため、所得税・住民税の最高税率の引き下げ、累進税率の緩和を実現されたい。

2)法人税実効税率の40%以下への引き下げ

わが国産業の活力を高め国際競争力を維持するためには一刻も早く法人税の実効税率を国際的な水準に引き下げることが必要である。ついては、早急に法人税の実効税率を国際的な水準である40%以下に引き下げられたい。また、法人税の引き下げに合わせて中小法人の軽減税率を引き下げるとともに、昭和56年度以来据え置かれている軽減税率の適用年間所得金額を1,500万円に引き上げられたい。

3)外形標準課税の回避

政府において検討課題となっている外形標準課税の導入は、中小企業やベンチャービジネスの倒産を誘発し、経済活力を削ぐ深刻な影響を与えることに鑑み見送られたい。

3.金融システムの安定化

1)不良債権処理の促進
    金融不安と信用収縮を招いている金融機関の不良債権の早期処理が急務となっている。政府におかれては、企業の再活性化とともに海外の日本経済への信頼を回復するため、ブリッジバンク制度を早急に実施し、不良債権処理の早期化と健全な借り手企業の保護を図られたい。
2)政府系中小企業金融機関の融資拡充
    1)融資審査の弾力化
      政府系中小企業金融機関にあっては、返済能力のない企業は別として、中小企業の存続を第一義に考え、従来以上に融資審査を弾力化されたい。

    2)小企業等経営改善資金融資制度(マル経)の充実
      平成11年3月以降、小企業等経営改善資金融資制度(マル経)の貸付限度額の本枠・別 枠の区別を撤廃し、限度額を1,000万円にするとともに、設備・運転資金の返済期間についても、それぞれ7年、5年とされたい。

    3)融資金利減免措置の延長
      金利5%超の政府系中小企業金融機関の貸付に対して講じられている金利減免措置を期限切れとなる本年10月18日以降も延長されたい。

    4)信用補完制度の充実
      信用力や担保力の乏しい中小企業金融の円滑化のためには信用保証制度の強化が必要である。そのため、現在の低金利状況下において相対的に高い水準に止まっている信用保証協会の保証率を引き下げるとともに、保険公庫、保証協会の経営基盤の強化を図られたい。


2003.4.1更新
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