年頭所感(2018年)

 
平成30年1月1日


  謹んで新年のお祝いを申しあげます。

 昨年の日本経済は、世界経済の回復や円安基調を背景に緩やかな回復が続きました。今年も同様の傾向が続くものと見られますが、北朝鮮問題や米国トランプ政権の動向、ブレクジットの行方など、政治的な不安定さが経済に与える影響が懸念されます。
 世界のビジネス環境は、新たな技術を駆使した新興企業が市場を席巻したり、業種・業界の垣根を越えたダイナミックな競争が本格化したりするなど、変化が一段と加速しています。こうした経営環境を見据え、今年は、企業の成長分野への新たな挑戦を後押しすることで、大阪・関西経済ひいては日本経済の潜在成長率を引き上げ、力強い経済成長への道筋をつける1年にしたいと思います。

  大阪商工会議所では、2017年度から3年間の中期計画「たんと繁盛 大阪アクション」をスタートさせました。2030年の大阪のあるべき都市像に向け、大阪・関西を元気にする60の具体的な事業に取り組んでいます。昨年11月からの新体制のもと、議員、会員の皆様とともに、会議所一丸となって「たんと」アクションし、大阪・関西経済の成長を牽引してまいります。

  目指す都市像は、日本全体の成長を引っ張る「極」であり、アジアとつながって共に成長する「イノベーションハブ(創発の拠点)」であります。国内外から人材、企業、投資を惹きつけ、最先端の分野で技術革新を起こし、新たなビジネスや産業を創り出していきます。外から呼び込んだ力を大きく育て、その果実を他の地域にも還元し、資源を循環させながら共に成長していく「光を発する都市」を実現したいと考えています。
 そのための仕掛けの一つが「オープンイノベーション」です。関西では既にライフサイエンス産業において実績があり、産官学の連携による産業振興やベンチャー企業の集積が実現しています。今後は、それに続く新たな分野での産業集積を創り出していかなければなりません。
 現在、大阪商工会議所では、京都、神戸の両商工会議所と連携し、関西に関連産業の集積が厚いスポーツ産業分野を核に、健康・医療やIT等の異分野・異業種の企業を巻き込んで新たなビジネスづくりに挑戦しています。さらには、健康増進、疾病予防を重視した「ウェルネスビジネス」の創出にも取り組んでいきます。
 また、AIやⅠoT、ビッグデータなど第4次産業革命分野の先端技術を活用した新ビジネスを生み出すため、その土壌となるイノベーション・エコシステムの構築にも挑戦します。具体的には、大阪市との実証事業に関する包括的な提携のもと、市の土地や施設を利用した企業の実証実験を支援するほか、大阪工業大学と共に、大企業や中小企業、ベンチャー等、多様な企業の連携・共創を可能にする拠点づくりを目指します。

 人手不足や事業承継といった、中小企業にとって喫緊の課題への対応も急務です。深刻化する人手不足の対策としては、中小企業の採用支援、ならびに産業用ロボット・ITの導入など生産性向上の支援に取り組むとともに、それらを政策に反映する要望活動にも注力してまいります。
 また、今後10年間で中小企業経営者の6割が70歳を超え、世代交代がピークを迎えるなか、事業継承の成否は日本の経済発展を大きく左右しかねません。円滑な事業承継を促し、経済基盤を強固なものにするには、ここ数年が極めて重要な時期となります。大阪商工会議所では、事業承継に関する支援体制を強化し、今後3年間で1万社に対して実効ある支援を実施していきます。

 2025年、大阪での万国博覧会開催に向け、今年一年、誘致活動は正念場を迎えます。できることは何でもするつもりです。大阪商工会議所では現在、まちをあげて誘致機運を高めようと、「万博ステッカー・キャンペーン」を実施しており、今後、京阪神の3商工会議所が一体となって展開していきます。経済界と国・自治体が密に連携して誘致実現に全力で取り組んでまいります。

  今年は明治維新から150年の節目の年となります。大阪商工会議所は、五代友厚をはじめ大阪に近代産業の礎を築いた先達の「変革の志」に思いを馳せ、「光」を発する都市・大阪の未来に向けて、新たな挑戦をしてまいりたいと存じます。
 皆様方には、今年も一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申しあげます。

 以 上  

2018.1.1更新
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