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年頭所感

全員参加で「千客万来都市OSAKA」をつくろう
平成23年1月1日


  謹んで新年のお祝いを申し上げます。

  昨年のわが国経済は、長引くデフレや円高、新興国との競合激化などにより、企業とりわけ中小企業の経営環境が一段と厳しさを増す年となりました。行き過ぎた円高、高い法人税率、労働・環境規制の強化、通商政策の遅れが「四重苦」となり、国内立地に伴うハンディが顕在化しつつあります。一方、政治においては、衆参両院の“ねじれ現象”下での停滞が続く中、外交・安全保障分野で国益を揺るがすような事態が相次ぐなど、憂慮すべき状況が続きました。

  景気の先行きは、今年も厳しさが続くものと思われます。まずは、最大のリスク要因である円高の是正に向け、粘り強い取り組みの継続が望まれます。その上で、経済を本格的な成長軌道に回帰させるため、経済のパイ拡大に資する「新成長戦略」の着実な実行が求められます。菅内閣には、こうした政策を通じて、わが国企業の国際競争力強化に向けた環境整備を急いでいただきたいと思います。

  一方、我々自身も、景気・経済のメインプレイヤーとして、自立自助の気概を持って、この1年を乗り切っていかねばなりません。幸い、大阪には、長らく「民」のまちとして培ってきた「企業家精神」という誇らしい文化があります。私は、大阪商工会議所の会頭に就任した昨年3月以降、工場や商店街を中心に30カ所以上を現場訪問し、大阪には前向きな企業が多いことを再認識いたしました。この大阪の底力をより強化するための具体的な取り組みが必要と考えます。

  そこで、大阪商工会議所では、このたび新しいビジョンとして「千客万来都市OSAKAプラン〜全員参加で『大大阪』『大関西』をつくろう」を策定しました。大正後期から昭和初期にかけて、近代都市として急成長した大阪は、「大大阪」と呼ばれていました。「千客万来都市OSAKAプラン」は、「大大阪」時代の企業家や市民の気概を念頭に置きつつ、アジアをはじめとする新興国から大阪・関西への集客と投資導入を図ります。同時に、大阪・関西で新たなビジネスを創出して、海外へ発信し、大阪・関西への集客と投資導入につなげるといったインバウンドとアウトバウンドの好循環を、企業、市民、行政、経済団体等の全員参加で実現します。こうした活動により、「千客万来都市OSAKA」をつくろうとするものです。
  「千客万来都市OSAKAプラン」では、その実現に向けた先導的、先進的な官民での取り組みとして、5つの戦略プロジェクト「旅游(りょゆう=中国語で『観光』の意味)都市化推進」「メディカル・ポリス(国際的な複合医療産業拠点)形成」「水・インフラ輸出拠点化」「環境・新エネルギー産業の研究開発拠点化」「新興国市場開拓」を掲げました。また、これらの戦略プロジェクトを支える中小企業が活力を発揮する環境を整えるため、ビジネス拡大、人材確保・育成、創業・経営支援、インフラ整備などの事業を基盤強化と位置付け、きめ細かな事業を展開いたします。

  「千客万来都市OSAKAプラン」は、特に、中小企業の成長分野への参入支援に力点を置いています。オープンイノベーションの促進や、新たな販路開拓に向けた大企業と中小企業の出会いの場づくりなど、これまで大阪商工会議所が実績を積み重ねてきたマッチング事業をより強化し、人が人を呼び、投資が投資を集め、新たなビジネスチャンスを創出する好循環を生み出していきたいと考えています。

  皆様方には、今年も一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

                                                            以 上


2011.1.1更新
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